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ホテルライクとは何なのか

家造りを進めていく上で、またインテリアを少し知っていくと、
「ホテルライク」という単語が結構な頻度で出てきます

ホテルライクとは一体何なのでしょうか

インテリアは好きですが、それでも正直私にはわかりません
実際、どれほどの方がホテルライクを言語化し、こういうスタイルがホテルライクだ!と自信を持って言えるのでしょうか

私が家造り中に感じたことや、インテリアが好きだからこそ感じていることをベースに掘り下げていきたいと思います


ホテルライクは解像度が限りなく低い

まず、「ホテルライク」という言葉
具体的にはどのようなスタイルを指すのでしょうか

私は、家造りをするときに鮮度の高い情報を得る目的として、SNSで情報を集めていました
その中で、

  • ホテルライクな家造りと発信する住宅会社

  • ホテルライクな家を目指すと発信している施主

  • ホテルライクな家を集めましたというインスタのキュレーションアカウント

が驚くほど散見されます

ただ、どの投稿もホテルライクが何なのかをハッキリ書いている人もあまりおらず、そして書いていたとしてもホテルライクの方向性が色々あり、まとまっているようにも感じません

「ぜんぜんわからない、俺たちは雰囲気でホテルライクをやっている」

そんな状況です

よくよく考えてみてください
ホテル」ライクのホテルという単語はかなりあやふやです
ファッションの「綺麗め系」、「モード系」くらいふわっとしています

アパホテルのようなビジネスホテルもホテルです
リッツカールトンのようなハイクラスのホテルも同様にホテルです
沖縄にあるようなリゾート地のホテルもそうでしょう

どのホテルのどの内装のことを指しているのか
各々の認識とホテルによってスタイルが違いすぎるのです

私がSNSをみて感じた個人的見解にはなりますが、
ホテルライクとは

「空間の色数が少なく統一感があり、高級感のある生活感のない非日常空間」

のことを指しているのだと思います

ホテルライクを実現する方法とは

さて、ホテルライクの定義をふんわりしたところで、
どのようにして

「空間の色数が少なく統一感があり、高級感のある生活感のない非日常空間」

を実現するのか考えてみましょう

まず、「生活感がない非日常空間」から考えてみます
これがどういう状況かというと、端的に言えば

「人が住んでいないような空間」

だと捉えられます
つまり、「あなたが家に住まなければ解決する」ということです

写真で言えば「フィルムライク」
この単語が出てきたとき、
「じゃあフィルムで撮ればいいのでは?」
と話題になることがあります
つまり、ホテルに住めばいいのです!!!

という結論には実際はならないのですが、極論そういうことです
逆にいえば、人が住む以上どうしたって生活感というものはでます
それは致し方ないことです

極力減らす手段として、よくある手段はクローズドな収納に物を隠すことだったり、コードや隠したりと、人がいた痕跡を消す方法がありますが、それは効果的でしょう
生活が不便でない範囲であれば・・・

次に空間の色数を少なくする(これによって統一感を出す)という部分

これについては概ね正しいでしょう
まず、空間の色数、つまりベースカラーは抑えたほうが空間にいる人間の視線が散漫になりません
そのため、空間にあるオブジェクトに人が集中できるようになり、空間にノイズを感じていないため、スッキリして見えるわけです

ホテルライクを目指す方は、さらにベースカラーの範疇で小物を揃えたほうがいいでしょう
小物も揃えた場合、空間に緊張感が生まれます
緊張感は違和感に、違和感は非日常感へと繋がっていきます

ただ、気をつけるべきなのは、そもそもそういうホテルって実はあまりないという点です
意外と景色や地域性に合わせたカラーをしていたり、何かしらコンセプトを持った作りになっているはずです

最後に「高級感」についてです

これは安物買いの銭失いをせず、しっかりお金を出す
それしかないです
例えば、ホテルライクなのですから、風呂は造作、洗面が2つ以上、どこかに大理石などの石を用いる等です

世の中には安くていいものはいっぱいあります
俗に言うコストパフォーマンスが高いものです
それ自体は正しいのですが、圧倒的にコストをかけた物のパフォーマンスにはどうしても勝てません

PP Moblerという家具メーカーがあります
デンマークのメーカーですが、品質は然ることながら従業員にもしっかりとコストをかけ、コスト勝負を一切せずに長期的な視点でものづくりをしている素晴らしいメーカーです

このメーカーが販売しているPP19、通称パパベアというラウンジチェアがあります
https://www.connect-d.com/c/18/1156/1796/1798/pp19-oo-mo16

価格的には450万くらいするのですが、座ったことがあるでしょうか
私はあるのですが、凄まじい座り心地です
中のクッション材が化繊ではなく天然素材を使っており、ほどよい弾力があるものの、あまり感じたことのない不思議な弾力のクッションです
また、フレーム自体の剛性の高さしより、チェアに体を預けてもたわむ様子もない上、座面の絶妙な傾斜とハイバックの機構により、体の力が抜けてリラックスできます
つまり、秒で寝ます

この450万のラウンジチェアのパフォーマンスを超えてくる椅子は、個人的には今のところお目にかかったことはありません

何が言いたいのかというと、コストをかけてパフォーマンスをしっかり出した製品は、住設や内装といったジャンルにもあり、「高級感」を出すためには、本当に高級な物を買って使わないといけないのです
高級感さその積み重ねによって成り立ちます

安価に実現するにも、結局のところ質感という壁を超えられず、なんだかまとまりはあるけど、雰囲気ないんだよなぁとなることは多いはずです

ホテルライクじゃなくてもいい

さて、長々とホテルライク実現への道を考えてみましたが、現実的だったでしょうか

簡潔にまとめると

  • 物を極力減らし、隠す

  • 色数を抑えて、空間に緊張感をもたらす

  • ちゃんと高級な物に金を出す

ということです
実現するにはお金も必要ですし、常に片付けるマメさも必要です
それがどれほど現実的か?は、ご自身の中で少し考えてみてください

ただ、冷静に考えてみて欲しいんですが、自分が仕事で疲れて帰ってくる家になぜ非日常感が欲しいのでしょう
そして、生活感があることは、一体何が悪いのでしょうか
人間が営む以上、住まいがある以上、そこに生活感は生まれます
そんなにホテルライクをみんなが目指さなくていいんじゃないでしょうか

私が思うに、ホテルライクの文脈ででてくる非日常という単語や、生活感を無くすという言葉は、別の意味が含まれている気がしています

それは、

生活感がある家 = 散らかっている家

という意味です
つまり、散らかっているのが嫌だからホテルライクにしたいのでは?ということです

もしそうであるなら、まずはやるべきことは違うはずです
物を片付けて、物が多いのであれば整理しましょう
もしくは、片付ける習慣がないのであれば、まずは身につけるところからです
このへんは、整理収納アドバイザー的な方々の話を参考にしてください
断捨離提唱したやましたひでこさんは、捨てることが目的じゃねぇって言ってるので個人的に好きです

生活感のある洗練された暮らし

私が好きなYoutubeのチャンネルに北欧暮らしの道具店があります
家造りにおいても参考にさせて頂いたチャンネルでもあります

全体的に「ホテルライク」ではないお家が多く、また物も多いお家が多いです
そして、彼ら、彼女らの家は、よく使う物がそのまま出してあったりします
これは俗に言う生活感がある状況だと思うのですが、その空間が非常に心地よさそうに、そして洗練されているように感じます

登場される方々は作家や料理家、デザイナーといった職種の方が多く、そういった方々は、自分の価値感で、自分がいいと思った物を何かしらのストーリーがあって置いてあるからなのかと勝手に推察しています
端的に言えば、なんとなくで物を買っていないということです

高級感と同じように、なんとなくで物を買わないことの積み重ねが生活感がありつつも洗練された家を作り上げるのだと思います

おわりに

ホテルライクを本当に目指したいと思ってる方は、そのまま突き進まれていいと思っています
なんとなく、みんながやっているから・・・で目指すのであれば、目指さなくていいと思います

そうじゃないスタイルでも、QOLをあげたり、居心地のよい空間は作れるはずです

今一度、どういった生活がしたいのか、憧れるのか
自分はどういう物に惹かれるのか
少し冷静に考えてみてもいいのではないでしょうか
自分の価値観を正解としていきましょう

自分の価値観がわからない?
そういうときは、インプットをどんどんしていきましょう
その中で、価値観や方向性が磨かれていくはずです
ちなみにSUUMOのチャンネルも参考になったりします
ホテルのような家に住んでる人ってそんなにいないんじゃないかな〜と思いますよ

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