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対等な関係

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「『天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず』と言えり」というのは、福沢諭吉の有名な「学問のすゝめ」の冒頭の一節です。福沢諭吉は、日本が江戸時代から明治時代に移行して、国家も国民も新しい歩みをするにあたって、士農工商という身分制度から社会的にも精神的にも解放され、人は皆平等であることを訴えました。人はそれぞれ不平等にこの世の生を受けるけれども、学問に励めば、全ての人が平等にチャンスを与えられ、希望の仕事に就き、人生を豊かに生きることが可能になると説いたのです。

 それにしてもこの有名な一節の最後には「と言えり」という言葉が付いていることにお気づきだと思います。つまりこの一節は福沢諭吉の言葉でなく、どこかからの引用だということです。どこからでしょうか?それは「アメリカ独立宣言文」からの引用なのです。

 ですからここの「天」とは聖書が教える「神」のことを指していると分かります。そうです。「神の前で全ての人間は平等であり、価値ある人間である」という意味です。もう少し深く掘れば、全ての人が神を認め、神を畏れ敬う時に、人は皆へりくだって平等(対等な人間関係)を大切にすることができるということではないでしょうか。

 ところが神を認めず、神を畏れ敬うことを忘れた人間は、人を神格化してしまいます。ある人は自分が神であるかのように振る舞い、周りの人を服従させようとするでしょう。またある人は他の誰かを神のように信じ込み服従したりしてしまいます。やがてそういう関係は悪魔化していくでしょう。決してそこには対等な愛はなく、幸せな関係を築くことはできません。

 人間社会には健全な秩序と役割の違いが必要です。これがないと無政府状態になってしまいます。しかしこれは人を神格化することでは絶対にありません。神を神として認めて、神のみを畏れ敬う時に、人は平等となり、対等な関係を築き、幸せな関係を生きることができます。


***暗証聖句***
「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。ルカ2章14節

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