肆 私なんかが…という、カベ
《前回のあらすじ》あとはやるだけだというところで、湧き出てきた「めんどくさい」という気持ちは、夢が叶ってしまうことへの恐さだった。気分よくなるタイミングで行動し、無事に準備を終えた。→参 めんどうくさい、というカベ
ーーーさあ!オンラインショップに必要なことはすべて揃いました。あとは公開するだけだと思うのですが、まさか??
『はい、出ますね。ここでも。ここまでやってきて完成したけど、美大も出ていないしあの勉強もしていない“わたしなんかが”絵を売っていいのだろうか、という思いが湧いてきました』
ーーーすでに、わをん三人展のときに、販売してますよね?
『そうですねw なので、実際に販売するかどうというよりも内面的な問題、つまり自分の中に「こういう人は売ってもよい。そうでないとダメ、知らないでやってるのは恥ずかしい」という思い込み、価値観、思考の基準があって、それが現実の動きを邪魔しているということです』
ーーーそういった思考の基準は、どこで生まれるのでしょう?
『この場合は、生活している過程で自然と入ってきていましたね。たくさんの情報に触れるうち、絵を描いて売る人というのは美大を卒業している専門的に学び訓練した人、という基準が、いつのまにか生まれていました。そういった人は実際にいるので正しいのですが、自分で絵を描いたり売ったりすることに資格は必要ありません。自由です。けれど、わたしはわたしの中に生まれた基準に当てはまらず、苦しみました。』
ーーー……自分の基準を変えればいいのでは?
『元も子もないことを言ってくれますねw でも。その通りです。自分の中の基準を変えることは、内容がなんであれ、難しいです。けれど、不可能ではないし、あっけなく一瞬で変わることもあります。そもそも、自分の中の基準というのは、本来自分の身を守る、生きていく上で必要なものだとわたしは思っています。いま生きていて、その基準を持っているということは、少なくとも安全の役に立っていると判断してしまうのではないでしょうか。なので、もしその基準を手放したら危険な目にあってしまう、と本能レベルで感じているのかもしれません。だから、自分を変えるには、清水の舞台から飛び降りるような勇気が必要なことがあります。それがたとえ、飲みたいジュースを2本買う、という小さなことであっても。けれど、そうやって少しずつチャレンジしながら、これな大丈夫だった、危なくなかった、と確認していくことが大切だと思っています。』
ーーーなるほど。では今回の”絵は美大卒の人が描いて売るもの”という基準には、どう対処したのですか?
『まず本当の本当はどうしたいかを確認しました。この先、絵を一生描けないとしたらどう?と自分に訊ねました。ものすごくストレスが溜まるな、と思いましたw では、描いた絵を外に出さなかったら?と自分に訊ねると、自分の世界は窮屈なまま、それは嫌だ、絵を見てもらうことで手にしてもらうことで世界を広げたい、人を識りたい、繋がりたい!と思いました。これは 序 で話した絵を売ろうと思ったきっかけそのものでした。それならば、前へ進もう!批判とかされてもしゃーない!自分が大切にしたいものを大切にしよう!と決めました。これは自分の絵だし、ここは自分の店だし、思った通りにやろう!と。ここで自分の中の基準が少し変わりました。』
ーーーもうなんも言えないんですけど。これ、本当に大切。
『なんか感動してますね。』
ーーーだって、私も大変なことあったから。それがあっての今で。
『お互いがんばってきたね。』
ーーーなんだか最後、ぐっときてしまきましたが、次回からもカベがあります。お楽しみに。
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