【イベントレポート】自分のコアをつらぬく強さ #アンドミリュー
「戦う女性」であり続けたのだな、と感じていた。
極限まで気を遣ってインターネットの海を強く強く泳ぎ続けている人なのだ、と。
朝日新聞と塩谷舞さんの事件的コラボセミナー「塩谷舞さんに聞く いま求められるwebコンテンツの作り方と届け方」に参加してきた。
わたしがWEB業界について学びはじめたとき、誰もが「しおたんさんは凄い」と口を揃えて言った。
しおたんさん。塩谷舞さんってどんな人なんだろう。
Twitterをフォローして、記事を読んで、塩谷さんが登壇されるセミナーのレポートを読んで、なんてきめ細やかな人なんだろう、と思った。
文章からはもちろん、動画からですらも伝わる、きめ細やかな気の配りようと、自分の確固たる芯を持ってる姿にどんどん惹かれて、いつかお会いすることができたら、と思っていた。
そんな矢先にまさかの無料イベント。
「お金払いたい……!」という思いはありつつ、こんなチャンス二度とないと急いでチケットを手に入れた。
「すみません、マイクはこう持ったほうがいいと思います!」
初めて直で聞いた塩谷さんの声は後方からで、それは司会の方のマイクの持ち方を正すもので、そんな姿にしょっぱなから、やっぱりこの人かっこいいぞ!と思いが強くなった。
「普段は二時間かけて話すものを一時間半で短縮して話しますので!」と宣言して始まったセミナーは非常に密の濃い、これでもかと自分の甘さを感じることのできた時間だった。
橋をかけろ!のろしを上げろ!
「良いものをつくる」だけでは意味がない。それを伝えなければ、ただ無人島でお祭りをやっているのと同じことだ。お祭りをやっているなら、橋をかけて、のろしを上げて、お祭りをやっていることを知らせないといけない。
でもどうやって?
…ということで、橋のかけ方についてここまで話してしまって良いのか、と不安になってしまうくらい塩谷さんが気をつけておられることを教えてくれた。
まず、塩谷さんが掲げているポリシーとして
・下品にしない
・誰かを傷つけない
・高尚にならない
・結果を出す
インターネットの世界では誰もがなんでも発言できる、自由だからこそどこまでやったら良いかがわからなくなってしまうことがある。自分のなかでの「これだけは」を決めることが、むしろ動きやすくなるのかもしれないと思った。
1%が反応してくれることを目指す
自分が一生懸命つくったものであっても拡散されないことがある。
なぜか?それは至極当たり前のことだけれど有益ではないから。第三者に見せても恥ずかしいから、理解されないからと思われてしまうからである。
Twitterでの拡散力を高める方法はとにかく専門書になること。
みんなが同じようなことを呟いているときでも、例えばより詳しい情報を(URLなど)載せるだとか「ちょっと面倒だな、と少しずつ省いてあげる」と拡散されやすい。
ニュースであってもただシェアをするだけでは受身であることと同じことなので、自分なりに咀嚼するだけでもオリジナルティが出てくる。
そのときに前後の文脈がわからない人でも伝わるように作ることがポイント。
Twitterというのはみんなが片手間にやっていることなので、時間をかけるとすごく目立つ。
…とは言いつつ、気楽にやってよいものでもある。とにかくいろいろやってみよう!とTwitterの酸いも甘いも噛み分けてきたからの説得力のあるお言葉。
どれだけ自分の世界に引き込めるか
しかし、今年の塩谷舞はInstagramに力を入れる!と宣言。
ただInstagramは様々な分野ごとに山があってまだいまいちわからない部分もある…ということでコスメ、美容関係の山を極めているゲスト・菅本裕子(ゆうこす)さんが登場。
最初こそ、え、ここでですか!!となりつつ、さすがのゆうこすさん、とことん作り込んでいるそのInstagram特有の広げ方を教えてくれた。
Twitterとの最大の違いは拡散機能がないこと。なので、逆を言えば自分がほしい層の人たちをつかまえることができる。ではつかまえるためにはどうするのかというと、何よりも大切なのはハッシュタグ!
・ハッシュタグで文章を作るのは最たる無駄
・ファッションなどの当たり前のことをつけても誰も検索しないし、人気投稿の部分が変わりすぎて意味がない
・ブランド名だけでもカタカナ、英語、スペルミスなどあらゆる部分でフォローする
とにかく人気投稿の上9つにどれだけ入れるかが勝負。例えばスタバの新作「抹茶」だと緑色で埋まりがちなので「じゃあわたしはオレンジでいったれーー!」と変えてみる、など。
Twitterはトレンドだけ追っても、あまりフォロワー数に直結しないが、Instagramは逆にトレンドを使ってどれだけ自分の世界に引っ張り込むことが出来るかが命!
今の時代はなんでも可視化できるから、なんでうまくいかなかったのかすぐわかる。届けたいものが届けたい場所に届かなかったとしたら、それは届け方が間違っているだけだからどう改善したらいいかその見えているデータを調べ上げてやればいいんですよ、と。さらりと言うゆうこすさんに、わたしが高校生くらいのときにこの人に出会っていたらファンを通り越して崇拝していただろうな…と惚れてしまいそうだった。
この人も戦う覚悟を決めた人なのだ、と強く思った。「マイナスからのスタートなので」と朗らかに笑えるゆうこすさんはずるいな、と思ってしまうくらいにきらきらしていた。
なぜ、ここまでするの?
四六始終SNSを見て対策を練って、なぜここまで?と聞かれることがある。
それはもちろんすきだから、というのがいちばん。
だけど、WEBライターがに誰もがなれる…という時代になったいま「ライター」というだけで、まとめてるんでしょ?とか炎上したいんでしょ?と言われたりげんなりされてしまうのはもったいない。
もっと世の中からの信頼を得ていきたいんだと。
橋渡しの方法は教えることはできる。
なので、もっともっとお祭りをあげるその島自体をしっかり作ることから始めてみてほしい。
…とここからは、土台づくりの方法についての説明へ。
「これはゆずれない」を大切にしてほしい。
記事を作るときは力技でいくのではなく、出来るだけ感情に寄り添ったものを書く人がこれからは重宝されていくと思う。
感情によりそう、というのは例えば旅行記事やイベント記事を書くときに「行くぞー!!!」「楽しみだーー!」となるだけではなく、そうはなれない人たちに届けるようにしてみる。あんまりハイテンションになりきれない人や、milieuでのゆうこすさんの記事なんかでは「ゆうこすに憧れてるけどあそこまでできない。そんな自分が嫌だ」となってしまうような子でも共感出来るような部分を目指す、など思わず「自分のことかも」と思ってもらいながら読んでくれるように気にすることが大事である。
読者のどの部分から見てあげるかというだけで、ぐっと記事は変わってくる。
そして、記事を書いたあとはただの1媒体で終わるのではなく、どれだけの人が見てくれたのか数字やコメントなどのデータを作って渡すことで、WEBに疎い人でもわかってもらえる。
また、「わかってくれるだろう」とせずに全く知らない人に読んでもらい、ありのままのコメントをもらう、「おかんチェック」が非常に大切。文章がつまらない、というのは人格否定であると捉われがちでみんなあまり言ってくれないので忌憚のない意見が貴重なのである。
最後に
使い方、ハードの部分はどんどんまねしてほしい。だけど、自分にしかないコアの部分はぜひともぶれないでやっていってほしい。
と、最後に話してセミナーの部分は終了。
こんなにも、読者の目線になってものを作っている人がいる…と、自分はどうだろう、と終わったあとは悶々としてしまった。そこは、駆け出しだから、とか、技術がないから、とかの部分では全くなくて。
拡散力についての話も具体的かつ分かりやすくとても参考になったが、まずそれを届けられるものづくりができているのか?本当に届けたいものであるのか?届けられる状態であるのか?というのも常に考えながらやっていきたいと思った。
塩谷さんの強さや気配りは一朝一夕で出来るものではない。だけど、彼女が長年かけて少しずつ積み重ねてきたものをおすそ分けいただいたからには、その強さに少しでも近づきたい。
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この時間のセミナーはお腹が空くよね、とBAKEのプレスバターサンドを差し入れてくれたり、ゲストとして菅本裕子さんが来てくださったりとトークの部分以外でも何から何まで塩谷さんのきめ細やかな部分を感じることのできるとても充実した時間でした。本当にありがとうございました。
追記:今回、この記事をアップするにあたり、塩谷さんの意図する内容と違った解釈をして書いてしまっては失礼になる、とLINE@を利用して下書きを送ったところ秒で「確認します!」と返信してくださり、感激で心震えました。重ねてお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。