【ライブレポート】彼女とまだまだ見たい景色がある　May'n Acoustic Tour「Hang jam Vol.3」

「届けるから！後ろまでちゃんと！」

後ろを指さし高らかに宣言する彼女は、心の底から歌うことが大好きなんだということが伝わってくる。

心の底から歌うことを観客と共有することが大好きなんだと伝わってくる。

『あたらしいそら 』『コイトゲ』と軽やかに始まったMay’nのAcoustic Tour「Hang jam Vol.3」。

最終日に行われたのは、横浜の大さん橋ホール。ステージの後ろがガラス張りになっており夜景まで含めて楽しむことのできる会場だが、後ろに長く、最後尾の人はステージが良く見えないのでは、ということから冒頭の言葉が飛び出した。

続く、 『小さな幸せ』では一昨年から始めたギターを演奏しながら、『ジェマイユ 』では少し大人な、アコースティックVer.としても度々披露されるようになった『今日に恋色』では乙女心をたっぷりと歌い可愛さを、と曲によっても全く違う 一面を序盤から次々と見せてくれる。

『What 'bout my star?』では会場を３パートに分割し、それぞれ違う音程で観客自身も歌い手に回すことで、ツアータイトル通りjamする（音楽用語でのセッションという意味）ことをみんなで楽しませてみせた。

『What 'bout my star?』でホールいっぱいに広がる歌声に「すごい！楽しい！」と繰り返し、タンバリンを鳴らす姿は無邪気そのものだが、その後の『ダイアモンド クレバス』『もしも君が願うのなら』では一転「歌手」としての強さを見せつける。二曲ともしっとりしたナンバーではあるものの、その確かな歌唱力を冒頭の「届けるから！」の宣言通りホールの後ろまで響きわたらせた。

今回のツアーは同じタイトルをもつシリーズの三度目のツアーでもある。しかしVol.２はツアー開催中に喉の療養のために中止を止む無くされた経験をもつ。

そういった事情もあり、今回のツアー開催にはMay'n自身並々ならぬ気合が入っていたのだろう。

「普段はセットリストを組む時は曲順がかぶらないようにしているのだけど」と前置きが入り、Vol.２のセットリストから最初の３曲でもある『Grand Piano』『My Lovely Thing』『恋』が続けて歌唱された。

今回のツアーの最終公演は上記でも述べたように大さん橋ホールで行われたが、この会場はVol.１でも、そして中止にはなってしまったがVol.２でも公演予定だった。

「最初のツアーでも歌わせてもらって、だけど二回目では来られなくて、そんな場所に今回また立たせていただけて本当に嬉しいです。歌わせてもらえることが本当に幸せって伝えられるように歌います。」と、珍しく涙まじりに語る姿にただ中止になってしまったツアーのやり直しをするのではなく、前に進むために「３」と名付けたのだとわかり、思わず胸が熱くなってしまう。

そんなしんみりした雰囲気になったかと思えば、続けて歌唱されたのは『Scarlet Ballet』『AMICITIA』。ライブでは盛り上がる定番曲だが、アコースティックでもつい拳を握りしめてしまうくらい熱く熱く歌い上げた。特に『AMICITIA』では、終盤にマイクなしでアカペラで歌うという場面もあり、曲途中であるにも関わらず拍手喝采となった。

本編最後に歌われるのは去年Wake up girlsとコラボしたことでも話題になった『One In A Billion』のMay'n ver.だ。歌詞をもじり「この広い広い世界のなかでこんなに楽しく過ごせる仲間に出会えるなんてこんな奇跡ないよ。本当にありがとう」と曲が紹介され、歌い終わると笑顔いっぱいでステージを去っていった。

興奮冷めやらぬ観客達から、あだ名でもある「ぶちょー！」コールがホールいっぱいに広がると、グッズのTシャツに着替えたMay'nが再度ステージに。

「アンコールにお答えして、歌っていきたいと思いますが、実は曲は全く決まっていません！」といたずらっぽく笑うと「わたしがお客さんを当てるので好きな曲を言ってください。歌詞カードも配るのでぜひ一緒に歌いましょう！」

会場中を巻き込んで一緒に楽しもう、というMay'nの趣向がここでも前面に出された。誰があたっても、どの曲がきても、すっかりアットホームな雰囲気で楽しそうに歌う姿が印象的だった。

そして、最終日であるこの日は２月７日に発売される新曲『You』もアコースティックVer.の特別版で披露された。

「Hang jam」の最後はお決まりの曲である『Heart & Soul』で締めくくられる。「BYE BYE！See you again！」とバンドメンバーを引き連れて会場を左右に回り、笑顔全開で締めくくり、ライブは終了した。

たのしい！と満面の笑顔で伝えてくれるMay'nは見ているこちらまで嬉しくなってしまうパワーがある。彼女の魅力はその圧倒的な歌唱力であることはもちろんだが、心から楽しそうに歌うところにあると思う。こんなに楽しそうに歌う人が他にどれだけいるのだろうかとすら思わせてしまうことは「歌手」としては最大の強みなのではないだろうか。

ツアーの終わりはいつもさみしくなってしまう。

けれど、力いっぱい「まだまだみんなに見せたい景色があるの。だから、次のツアーでもたくさん一緒に旅をしようね」と言ってくれたMay'nのこれからを見ていくことがとても楽しみだ。

May’n Acoustic Tour 2017~2018 「Hang jam vol.3」
2/3　神奈川県　大さん橋ホール　SETLIST
１：あたらしいそら
２：コイトゲ
３：小さな幸せ
４：ジェマイユ
５：今日に恋色
６：What 'bout my star?
７：ダイアモンド クレバス
８：もしも君が願うのなら
９：Grand Piano
１０：My Lovely Thing
１１：恋
１２：Scarlet Ballet
１３：AMICITIA
１４：One In A Billion -May'n Ver.-
【EC】
１５：HERO
１６：my teens,my tears
１７：キスを頂戴         
１８：You
１９：Heart & Soul

May'n公式HP：http://mayn.jp/