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コペンハーゲンの街角で

いつかまた北欧を旅することがあったら、行きたい街がある。それはデンマークの首都コペンハーゲンだ。

何だか、おとぎ話にでてきそうな名前に感じるのは僕だけだろうか。

「北欧のパリ」と呼ばれるほど、首都コペンハーゲンは美しい。

市庁舎、旧証券取引所、クリスチャンボー城と番兵さん、王宮、サーカス劇場、レストランやバー、ティボリという遊園地から聞こえてくる黄色い声。

そして、色白で金髪でニコニコ顔の三拍子揃ったデンマーク美女たち。

驚いたのは、「ガール」よりも「ボーイ」だと打ち明ける正直な青年に出会ったことだ。

ある時、バス停にいた美女3人組が楽しげに話していたので、僕はこの辺に安く泊まれる宿はないかと試しに聞いてみた。

すると、そのうちの一人が「私が下りるバス停の近くにユースホステルがあるわよ」と教えてくれ、一緒にバスに乗ってその近くまで案内してくれたことがあった。

そう、実は僕はユースホステルの存在は知っていたのだ。このバス停から行けることも知っていた。だが、聞いてみるものである。

そのうち、美女のうちの一人が僕にどこから来たの?と聞いてくる。

日本だと言うと、その瞬間彼女たちは声を揃えて一斉に言った。

「ヤァ~パン~~!!」

僕がヤーパンだと分かった瞬間の喜び方は想像以上であった。3人とも本当にニコニコして喜んでくれたのだ。

総じて、北欧の人たちの多くは僕たち「ヤーパン」に対して、遥か極東に浮かぶ島国として関心を寄せてくれているように感じる。

また別の日、宿までの道が分からなくなって夜の住宅地を歩いていると、何やら車のボンネットの中を覗き込んで点検をしている一人の爽やかな青年が遠くから声を掛けてきた。

「そこの君!こんな所を歩いてどうしたんだい?」

「この宿までの道が分からなくて...地図はあるんだけど」

「見せて!あーここか、ちょっと遠いな。俺が車で連れて行ってあげるよ」

「えっ、ありがとう!」

僕は、彼の車の助手席に乗り込んだ。とはいえ、1時間も2時間も乗るわけでない。ほんの少しの時間だ。

が、当初彼は宿まで連れて行ってあげると言いいながらも、突然妙な質問をしてくるようになった。

「君は男の子と女の子のどっちが好きだい?」

僕は一瞬考える。いや、好きかと言われればどちらも好きである。だが、「LOVE」という点においては女の子ということになる。妙な質問だったので、ここは両方の意味を問われていると仮定して、僕はこう答えた。

「えっ、両方好きだよ。だけど、女の子の方が愛おしい」

「そうか、僕は女の子より男の子の方が愛おしいよ!」

そう、彼の英語は全て「LIKE」ではなく「LOVE」が使われていた。

彼は続けて言ってきた。

「今晩、僕の家に泊まったらいいじゃないか!お金もかからないし」

そうきたか、と僕は思った。感じもいいし、別に怪しいルックスは全然していないのだ。紛れもない好青年である。

だが、彼の得意げな「LOVE」に僕は身構えた。

「せっかくなんだけど、もう予約してあるし到着の件も電話してあるから」

「そうかぁ~それは残念だよ!」

青年は僕が泊まる宿の目の前まで行ってくれた。僕は、車を降りるとお礼を言って別れた。

しかし、彼の表情は最後まで穏やかだった。彼は正直だったのだ。それを決して恥じる様子などなかった。

もし彼が表向きを偽る人間だったとしたら、僕は彼の厚意に甘えて家に行っていたかもしれない。



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