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母子・父子自立支援プログラム策定事業

今回の記事は「母子・父子自立支援プログラム策定事業」について記載します。「シンママの就業支援」だけでも結構な数の事業が実施されています。ただ、詳細を見ていくと似ていることをやっているように見えるのは私だけでしょうか?

では早速、どういう事業なのか、詳細を見ていきたいと思います。

対象者は児童扶養手当受給者だけ

この事業の対象者は「児童扶養手当受給者」だけになります。そして「生活保護受給者」は対象外です。「生活保護受けていたら、自立してはいけないの?!」なんて思った方、ご安心ください!「生活保護受給者等就労自立促進事業」という同じ内容のものがあります。わざわざ別にしているってことは・・・まあ、お役所的に何かあるんでしょうね(笑)

なお、実施主体者は国(厚生労働省)ではありません。都道府県、市(特別区を含む)及び福祉事務所設置町村となっています。

意思表示しないとサービスが受けられない!

実際のサポートは「母子・父子自立支援プログラム策定員」と呼ばれる相談員が対応します。「母子・父子自立支援員」と兼務可能とあります。両者の違いを調べてみましたが、ちゃんとした規定を見つけられませんでしたし、同じ意味合いで記載されているものがほとんどだったので、おそらく違いはないものと思います。以後、策定員と記載いたします。

策定員は「福祉事務所、母子家庭等就業・自立支援センター等に配置または駐在」となっています。ですので、お近くの福祉事務所を尋ねるのが一番いいと思います。こちらに一覧表がありますので、ご参照ください。

このサービスはシンママが「受けたいです!」と意思表示をしないと受けられません(国・地方自治体のサービスはほぼ全てこちらから意思を示さないといけません)。ですので、まずはお近くの福祉事務所で自分の意思を伝えましょう!

策定員と話をして計画を練る

意思表示をすると、策定員と面談になります。相談できる内容は、就業に関する内容だけでなく、子育ての話、住環境の話、精神的に困っていること等、ほぼ何でもOKみたいです。

策定員の選定には、「ハローワークの職員OB」「企業の人事経験者」といった就業のプロだけでなく、「母子家庭、父子家庭に対しての理解と熱意があり、積極的に活動してくれる人」という条件も含まれています。

また、策定員には「ひとり親家庭支援の手引きのポイント」というマニュアルが配布されています。このマニュアルでは、シンママと面談するときの注意点だけでなく、策定員として関係部署と積極的に連携することを求めています。ですので、策定員との面談では、安心してシンママが不安に思っていることを全てお話いただければと思います。

実例から実態を探ると・・・

厚生労働省のHPには、この事業の実例がいくつも載っていました。その中で、特に私が印象に残ったものをいくつかご紹介します。

実例1:5年かけて小学校の先生になった例

30代の方が、5年かけて小学校の先生になった事例が掲載されていました。先生になる前は、何度も転職を繰り返し、仕事にやりがいが持てなかったそうです。

そのため、策定員が何度も聞き取りを繰り返し、やりたいことは何かを見つけていったそうです。そして「小学校の先生になりたい」という希望を持っていたが、年齢のこともあり諦めていたことが分かったそうです。

それを策定員の方が「まだ実現可能だよ!」とアドバイスし、通信教育課程で大学に2年通って、教員免許を取得されたそうです。その間の生活費は給付金を利用し、公営住宅に転居するなどでしのぎ、最終的には非常勤ですが小学校の先生になったそうです! この間も策定員の方が常にサポートされていたそうです。

実例2:3年かけて介護福祉に携わる仕事に就いた例

こちらも30代の方が3年かけて、自治体運営の福祉センターに非常勤ですが就職できた事例になります。

この方もまずは策定員が丁寧に聞き取りを行い、看護師になりたいという希望を引き出します。そこで、策定員から「高等職業訓練促進給付金」を使って公立の看護学校へ行くことを提案されます。この提案に基づき、自治体の母子自立支援員に相談してみたそうですが、残念ながら利用が認められなかったそうです。

ここで一度、方向性を見失いますが、策定員が介護福祉士を養成する公共職業訓練を提案されたそうです。そして、近隣の福祉専門学校を見学し、決意を固めます。無事、入学が決まって2年間就学されたそうです。

その間の生活費は、雇用保険を延長措置を行う、公営住宅に引っ越す等でしのぎ、介護福祉士の資格を無事取得します。紆余曲折あったそうですが、無事就職も決まり、今は正規職員への転職にチャレンジされているとか。

約6割が就職に結びついている

平成25年度のデータになりますが、策定員のサポートを受けた、およそ62%の人が実際の就職に結びついているそうです。策定員の方が親身になってシンママをサポートしているから、この結果が得られたと思います。

ただ、気になることが一点あります。それは自治体によって、サポートに温度差がありそうだということです。

その理由の一つは、サポートを必要としている人数が違うことです。東京都、千葉県、埼玉県、大阪府、福岡県など、都市部では児童扶養手当受給者数が多いので、予算が割きやすいのではないかと思います。ただ、それだけが理由ではなさそうです。

先ほどあげた都府県でも、埼玉県所沢市、千葉県野田市、東京都足立区、大阪府寝屋川市、福岡県北九州市などは、プログラムの策定率が比較的高く、積極的に取り組んでいる自治体と厚生労働省が判断しています。

逆の言い方をすると、熱心ではない自治体があるのを、暗に示していると私は感じました。さすがに名指しはできないでしょうから・・・。

この温度差がなくなり、どこでもある一定レベル以上のサポートが受けられるようになると、心身ともに苦しいシンママがもっと救われていくと思うので、こういうところにもっと予算をつけて欲しいなと思います。

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