親権とは?浮気・不倫は親権決定に影響しない!?
こんにちは。ゆりです。
パートナーから離婚の話をされたとき、このように言われませんでしたか?
「子どもの親権は、私がもらいます。」
あなたはこう思ったはず。
「離婚もしたくないし、子どもと離れて暮らすのも絶対に嫌だ!」
たとえ浮気をして離婚のきっかけをつくったほうであっても、そのように思いますよね。
(当然ですね。あなたは浮気のつもりだったのですから。)
これまでの楽しさから一転、
パートナーや子どもと別れて暮すことになるかもしれない未来に、大きな不安を抱えているのではないでしょうか。
● 浮気をして離婚原因をつくったほうの親は、親権を得ることはできないのか?
実はこの答え、意外にも法的には「No」なんですよ。
浮気という離婚原因は、親権を決めるための判断に影響しないケースが多いです。
これ、ちょっと驚きですよね。
この理由は、親権の本質を知れば理解できると思います。
円満な夫婦関係の中で「親権」を意識することはあまりないので、親権のことをよく知らないという方も多いでしょう。
そこで、今回は「親権」について以下のようなことをお話しします。
● 親権とはどのようなものか?
● 親権は子どもがいくつまで続くのか?
また、親の離婚は子どもに大きな影響を与えます。
あなたの大切なお子様のためにも、ぜひ最後までお読みください。
親権とは?
親権とは、未成年の子どもの世話をし教育をしていくための権利や義務のことです。
親権は2つの要素に分けることができます。
親は子どもを保護し養育していかなければなりませんし、適切な教育を受けさせる義務もあります。
また、未成年者が契約を結ぶときには、原則として親権者の同意が必要となります。
これらのことを法律に定めたもの、それが親権です。
結婚している夫婦は両方に平等に子どもの親権があります。その状態を「共同親権」といいます。
ですが、日本で離婚すると「単独親権」になります。
子どものいる夫婦が離婚をするときは、離婚前に必ず子どもの親権者を決定しておかなければなりません。
子どもが複数いる場合は、それぞれの子どもについて誰が親権をもつのかを決めることになります。
◆親権の詳しい中身を解説◆
先ほどの図をもっと詳しくみていくと、それぞれ次のような権利が存在します。
【居場所指定権】
子どもがどこに住み、どこで生活するのかを決める権利。
【懲戒権】
子どもを監護(世話)・教育をしていく中で、子どもをしつける権利。
親権者には、適正な範囲内で子どもを叱ること、注意することが認められています。
【職業許可権】
子どもが仕事をすることを許可する権利。
反対に、親権者の判断で辞めさせることもできます。
【身分行為の代理権】
子どもの身分行為(認知の訴え、15歳未満の子の氏の変更、養子縁組・離縁、相続の承認・放棄など)を代理する権利。
【財産管理権】
子どもの財産を管理する権利。
子どもの財産に関する法律行為をおこなう場合、法定代理人となることができる権利。
親権者が未成年者が結んだ契約の代理人となったり、取り消したりすることができるのもこの部分です。
この先、子どもが贈与を受け取ったり、事故に遭い損害賠償を受け取ったりすることも考えられますね。
そんなとき、親権者はその財産を適正に管理する必要があります。
監護権とは?
親権を調べていると出てくる言葉に「監護権」があります。
「監護権」とは、子どもの近くで生活しながら、世話や教育をする親に認められた権利と義務です。
通常、親権者は「身上監護権」と「財産管理権」の2つの権利の両方を同時にもつのが一般的です。
ですが、特別な事情が認められる場合は、例外的に親権の中の「監護権」の部分を切り離すことができるとされています。
つまり、「親権」と「監護権」を父母で分けることもできるのです。
【親権と監護権を分ける場合の特別な事情とは?】
・親権者に子どもと暮らせない事情(海外出張など)がある場合
・親権者ではない親の方が子育てをするのに適していると判断される場合
など
この内容が詳しく知りたい方は、私のブログの記事を参考にしてください。
私は、元夫に親権だけは絶対に譲りたくないと考えていたので、離婚前に必死でいろいろと調べました。
その時に感じたのは、次のようなことでした。
【親権の本質】
いろいろな面において未熟な子どもを健全な社会人へと育てていくことは、親に課せられた義務だということ
その義務を果たすために与えられる権利こそが親権の本質であり、親にとって親権は義務という考え方が強いものだということ
子どもの親権を考えるなかで、親としての責任の重さを改めてかみしめました。
親権はいつまで?適応される期間について
親権の適応期間は、基本的には子どもが未成年の間のものであり、成人した子どもに親権の問題は発生しません。
例えば、子供の年齢が長男20歳、次男18歳、長女15歳というケースで親権を考えるのであれば、次男と長女にそれぞれ親権者を決めることが必要です。
◆成人年齢が18歳に引下げられた場合はどうなるか?◆
2022年4月には、成人年齢が18歳へ引き下げられます。
そうなれば、親権の対象になる子どもの年齢も18歳までとなります。
◆未成年の子どもの親権がなくなる例外とは?◆
民法第753条では「未成年者であっても婚姻すると成人したものとみなす」と定めています。
なので、子どもが未成年であっても、その子が結婚をした時点で親権という考え方はなくなります。
その後、その子どもが未成年のうちに離婚したとしても、親権はなくなったままであり、復活することはありません。
一度成人したとみなされると、基本的には離婚後も成人として扱われます。
※ 18歳成人となると、女性の婚姻開始年齢が18歳へ引き上げられます。(成人年齢が20歳の現在は、婚姻開始年齢は男性18歳、女性16歳です。)
※ 飲酒・喫煙・ギャンブルは、18歳成人後や未成年で結婚したとしても20歳以降にしか認められません。
親権は誰のためのものなのか?
平成24年4月1日の民法改正により、民法第820条に「親権は子どもの利益のために行われる」という内容が追加されました。
民法 第820条
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
引用:WIKIBOOKS
親権の歴史をたどると支配的な性質を持っていた過去もありますが、現在は親権は子どもを保護するものという捉え方がとても強くなっています。
そうです、親権は子どもの利益を最も優先して考えられるもの、つまり子どもが”幸せ”であるためのものです。
決して、親が子どもを支配したり、思い通りにしたりするための権利ではありません。
しかし、実際にはこのことを理解していない、または勘違いしてしまう親がいるように感じることは少なくありません。
(私も離婚経験者ですから、離婚という非常にストレスのかかる状況において、冷静に子どものことが考えられず、必死になってしまう心境は分からなくもありません。
しかし、子どもも一人の人間であり、そのように扱われるべきです。)
離婚を望まないあなたにとって、今の状況はとても辛いでしょう。
離婚で別れたきり子どもに会えなくなったというケースもあるため、子どもを渡したくないという気持ちも理解できます。
ですが、あなたたち夫婦の離婚劇に巻き込まれている子どもの心を考えてみたことはありますか?
若い小さな胸の中に、あなたよりももっと辛く悲しい思いを抱え苦しんでいるのですよ。
どんなに苦しくても、自分にはどうすることもできないのですから。
(あなたには、まだできることがありますよ。)
裁判所の親権に対する考え方
裁判所も親権者の決定に「子の幸せ」という観点をとても重視しています。
子どもの年齢が15歳以上であれば、子ども自身に意思を必ず確認し尊重します。
先ほど私は、親権の本質は親としての義務を果たすためのものだと説明しました。
それらを怠っていたり、おろそかにしていなければ、裁判所がおこなう親権者決定の判断においてマイナスになることはありません。
では、浮気はどうでしょうか?
浮気は裁判で離婚が認められる法的離婚事由の1つです。
ですが、それは夫婦の結婚生活を終わりにするかどうかの話であり、親権者を誰にするかという話とは別に扱われます。
浮気が親権者決定に影響するとすれば、次のような行為があった場合です。
【浮気が親権者決定に影響するケース】
・浮気相手と会うときに子どもを連れ回していた
・子どもの世話をせずに家に残して浮気相手と会う
このようなことがなければ、法的には浮気が親権取得に不利になることはありません。
裁判所がパートナーとあなたを総合的に比較し、あなたが親権者となるほうが子どもの利益になると認められたのなら、例え浮気をしたとしても、あなたが親権者に指定されるでしょう。
◆裁判所が親権を判断する要素について◆
そうすると気になるのは、裁判所が何をもって親権者としての判断を下すかですよね。それは、以下のようなことです。
【裁判所が親権者を判断する要素】
・これまでの子どもを世話してきた親はどちらか
・子どもが頼りにしている親はどちらか
・今後の生活で子どもはどちらの親といる方がよいのか
・子ども自身はどう考えているのか
この裁判所の親権者の判断基準については、次の記事に詳しく書いています。
親権者ではない親に認められている権利について
この先離婚することになれば、父母のどちらかは親権がなくなります。
ですが、大切なことは 親権がなくても子どもの実の親であることは変わらない、という事だと思います。
また、親権をもたない親に認められている権利もあります。
【親権を持たない親にある権利】
・未成年の子の婚姻の同意権
・面会交流権
・財産を子どもに相続させる権利
◆親権者でない親にある義務◆
さらに、子どもを扶養していく義務もあります。
つまり、子どもと離れて暮す親は養育費を支払わなければなりません。
あなたは、子どもと暮らすこともできず、子どもの成長もそばで見守ることもできないのに、お金だけ支払うなんて・・・と、不満に思うかも知れません。
しかし、子どもはあなたの子であり、あなたの支えを必要としています。
また、養育費は一緒に暮さない子どもに示すことのできる愛情表現のひとつでもあります。
ここで、私が出会った離婚経験のある親子のお話をご紹介します。
母親(Sさん)はお子さん(女の子)が幼い頃に離婚をしました。
Sさんは、元夫に対し養育費を支払ってもらえるようお願いしていましたが、離婚時に養育費に関する正式な取り決めは行なわれませんでした。
離婚後もSさんは元夫に養育費を支払ってほしいとを何度も伝えたそうです。しかし、一度も支払われることはなく諦めたそうです。
また、元夫はもともと家庭を顧みるような人ではなかったので、お子さんとの面会交流が実施されることもありませんでした。
お子さんが小学校の高学年の頃にこんなことがあったそうです。
娘さんが「お父さんは私のことなんてどうでもいい。大切に思っていない。」と発言したことに対し、Sさんは「そんなことはない。」と娘のためを想い反論したそうです。
しかし、娘さんに「それなら証拠を見せて。」にいわれ、返す言葉がなかったそうです。
そのときSさんは元夫から養育費をもらうことを諦めた自分をとても責めたそうです。
養育費を支払わなければ、給与や財産を差し押さえられる可能性もあります。
あなたの未来は 今どう行動するかでかわる
親権は、未成年の子どもを世話をしたり、教育したり、子どもの財産を管理するための権利と義務のことです。
離婚をするには、父母のどちらか一方を親権者に決めなければなりません。
実質、親権を持つ親が子どもと一緒に暮すことになるので、すんなりと親権が決まるというケースの方が少ないでしょう。
では、ここで考えてみてください。
”あなたの本当の願い” はなんですか?
それは、親権を得ることですか?
【私の相談者さんが望む未来として教えてくださったこと】
・家族3人で暮すこと
・家族で楽しく食卓を囲むこと
・たわいもない会話で笑っていたあの頃に戻ること
・夫婦で子どもの成長をみつめ喜びあうこと
これらのことは、あなたにとって簡単に諦められるようなことではありませんよね。
あなたが自分のしたことを心から後悔し反省をしているのなら、私はまだこれらのことを諦めないでほしいと思います。
あなたの行動で、あなたの子どもの未来も変わります。
なすすべが分からず、このままの流れに身を任せていては、あなたはこの先ずっと後悔と孤独に苦しむことになってしまいます。
あなたはパートナーに精一杯の謝罪をしたとおもいます。
きちんと伝わりましたか?
あなたの気持ちがパートナーに響かないのは、やり方が間違っていたり、的が外れていたりする可能性がありますよ。
次回は、親権を決める流れと親権に関する裁判所の判断についてお伝えします。
その中であなたの状況についてお伝えし、あなたのすべきことも考えていきたいと考えていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。