映画「唄う六人の女」考察その2
あ、「宇和島にも三分の理」で書き忘れた、
宇和島は現実主義者です。自分の目的のために国がらみの大企業に話を持っていき、信用され用地買収を任され、何年もかけていい人を演じ、そのぶんの仕事を全うしました。
冒頭あんな細い山道であんなスピードを出したのだって、村人達を何度も送り迎えやったんでしょう、道が解っているからスピードを出せたんですよ、竹中直人氏演じる不動産屋の松根が自然に「駅まで送っていってあげたら」を言ったのも、そういう宇和島の姿勢を見ていたからとも読めます。
そんな宇和島が仕事をやり遂げて島田相手にもうひと頑張り、と思ったら変なところに閉じ込められ、萱島と違って食べ物も飲み物も満足になく眠るところも野宿。
で、現実社会、私たち観客が現実に生きたり生活したりするこの世界で、「殴れる怪異は怖くない」という人がいましてね、宇和島にとって斧を振りかざして襲ってくる萩原みのりさん演じる「牙を剥く女」って、現実の怖さはあっても怪異の怖さは無いはずなんですよ、それよりもアオイヤマダさん演じる「濡れる女」は、勝手に家に入っても何も言わないし、食べ物飲み物をかっさらっても何も言わずに見ているだけ、こっちのほうが怖かったと思うのです。
現実主義者が理解不能の場所に放り込まれて「牙を剥く女」以外は何を考えているんだかさっぱり解らない、そりゃ頭もおかしくなって凶暴性も増すってもんですよ。
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