神様の話(5)「私がミスをしたのだけど、それでも納得がいかない話」改訂版
これから書く内容は、前に書きました
「私がミスをしたのだけど、それでも納得がいかない話」
の改訂版になります。
2017年の5月、美味しいマグロを食べたくなって、青森県の大間に行きました。このときは怖いことは皆無でした。
大間のマグロは津軽海峡で獲ります、なので津軽半島や函館の漁師さんも同じ漁場でマグロを獲るのですね、で函館の漁師さんたちが「大間のブランド名使わせてくれないか」と頼んだけど断られたと聞きました。津軽半島は最初から自分たちのブランド名を立ち上げて頑張っているとか。
なので、今度は函館でマグロを食べたくなりまして旅程を立てまして、
1.函館でマグロを食べる
2.函館から下北半島と津軽半島を見る
を中心にして、
3.函館半島にある灯台を見る
4.松前藩時代に栄えた松前城を見る
と計画しました。
で、今までの旅行の経験上、灯台だけを名所にしている観光地って、一泊でじゅうぶんなんです。お昼くらいに到着して、灯台を見て、翌朝すぐ次の目的地に出発しても構わないことが多いのです。なので函館半島の東端に恵山岬というのがあり、そこの灯台を見るのは最後にして、それまで別のところを見るよう計画を立てました。
これ、2021年10月の話です。
ネットの旅行代行サービスに往復の航空券から全ての宿の予約から一括して行ったのですが、最終確認ボタンを押した後、恵山という山は下北半島の恐山にも劣らない霊山である、ということを知りました。
だったら登ってみたいのですが、一泊で登るのはちょっと厳しそう、天気も雨が降るかもしれませんし、なので旅程を変更しようと思ったのですが、宿のキャンセル・変更は無料でも、航空券の変更はキャンセル料がかかるのですね、航空会社に直接予約したら一度は変更が無料なのですが、代理店を通したので有料、ならばしかたがない、一泊で臨もう。
出発して、あちこち行きまして(松前にも灯台があるのですが上り方を誰も知らない)、恵山岬の宿から出ている無料送迎バスが函館駅に13時30分に来ます。
バスの中でいろいろ調べましたら、その日の日の入りは16時45分なんです。
また、頂上&途中の展望台とホテルの位置関係なんですが、地図の方位記号、4みたいなやつをイメージしてください、上が北です、その東の端がホテル、西の端が頂上&途中の展望台、北の端が正規の登山道入り口です。
この正規登山道は展望台まで素直には続いていません、東西と南北の線が交わる方向にグッと曲がっていまして、うねうねと西に向かいます。
そしてこの方位記号4の東西と南北の交点、中央部分が森です。
ホテルの駐車場のところにハイキングコース入り口がありまして、森の中を歩いていくと、登山道に合流します。なのでハイキングコース入り口も東の端だと思ってください。
宿に着いたのが15時、チェックインして準備してハイキングコース入り口に立ったのが15時15分、一時間半あればかなりのところまで行けるかな、と出発します。
森の中は遊歩道なぞ無く、まんま森の中を歩くのですが、木の枝にピンク色のリボンが結ばれていて、それに沿って歩くとハイキングコースとなります。
てくてく歩いて、T字形に登山道に合流しまして、標識があります、東から西に向かって歩きますので右に行くと登山道入り口、左に行くと頂上、今来た方角にホテルと三方向示しています。当然左折。
そのまま道なりに歩きますと、拓けたところに出て海が見えるのですが、ゴツゴツと平(たいら)なだけで何かおかしい、少し休んで海を見て、また進みます。
するとまた拓けているのだけどゴツゴツと平、また進むと拓けていてゴツゴツと平で、さすがにここまで来れば気がつきます、これ砂防ダムだ。
でまぁ海も見られたし、まぁここでいいかと気が済んでしまいまして、降りることにしました。
で気がついたのですが、上り始めるときに記録映像を撮ることを忘れていました。函館半島は北海道です、ヒグマが怖い、襲われて命を落としたときに後の人が解るよう道中を撮影しようと思っていたのですが、往路はすっかり忘れていました。復路で撮影開始。
https://youtu.be/tlL3Gorrhgo
山を下りまして、まだ時間があるので灯台を見たり海を見たりして満足したのですが、夜になったらまた展望台に行ってみたいという気が起こりまして、
調べたら日の出が5時45分、ホテルの朝食が8時から9時まで、帰りのバスが10時出発なので、朝の6時に出発し、8時30分までの二時間半あったらかなりのところまで行けるんじゃないかと思いまして、また登ることにしました。
夜が明けて太陽が昇っているのを確認し、朝6時にハイキングコース入り口を出発しました。
https://youtu.be/M8oYeCj06nw
そこで大きな計算違いをしていまして、日の出が朝5時45分、出発が6時だと、まだ太陽が高くないのですね、日が差さなくて森の中が暗いのです、リボンが見えないほどに。(動画で五分から)
これやべぇなぁと思いつつ、また方位記号4をイメージしてください、東から出発して、北から延びている道に合流して西に行く、ならばリボンが見えなくとも、右斜め前に進んで行けば道に合流するはずなんです。なので右斜め前、右斜め前と進んで行き、道に合流し、左に曲がります。
どんどん進んで第一砂防ダム、第二砂防ダム、第三砂防ダムと進んで行き……第四?第五?砂防ダムで行き止まりになりました。
え?なんで?と。
インターネットで見た登山道にも、ホテルでもらった登山マップにも、展望台には木の看板があって展望台としての設備がある、しかしここはどう見ても砂防ダムだし行き止まり、頂上に続く道がない。
えーと思うのですがここで怒ったってどうしようもない、山を下ることにします。
https://youtu.be/hjmic246vxQ
下って下って下って……アスファルト舗装された左右に延びる道に出ました。当然右に曲がります……のですが、なんかおかしい、違和感がある、そこで左の方角に行ってみますと……ホテルがありました。
え?なんで?と頭はクエッションマークであふれます。
出るんだったらホテルの北側だろ、なんでホテルの南側、ハイキングコース入り口の南側に出るんだよ、と謎で思考が埋め尽くされます。
まぁ謎は謎としてどうしようもない、また山に入る気にはなれず、近くにある海中温泉を見に行ったりしてホテルに戻り、朝食を食べ、函館駅に行き、赤煉瓦倉庫街や箱館山を登って飛行機に乗って家に帰ったんですけどね、
家に帰って録画した道中を見てみますと、ハイキングコース(は外れてましたが)から登山道に合流したとき、思いっきり右に曲がっていました。
読んでくださった方、「なんだそりゃ!」と思うでしょうか、それともYouTubeにアップした記録動画を見た人は「なに言ってんだ?こいつ」と思ったでしょうか、いや、私も動画を見て頭がおかしくなったのか、なんで右に曲がったんだと不思議でなりません。
にしても私の頭がおかしかったのは事実ですから、これは公表できないなと思ったのですが、
たまたまその直後に見たYouTubeのドラマ、フェイクドキュメンタリー「Q」の「動画配信者が辿り着いた最悪の目的地 - Bivouac」 https://youtu.be/-KjNHBZ8tA4 を見まして、ハイキング/山登りのベテランである主人公が道に迷ってテントで一泊せざるを得なくなり恐ろしい経験をする、これ初回はプレミアム配信で視聴者はリアルタイムでコメントを書けるのですが、大勢が「おいおい、なんで標識見ないんだよ」と指摘して、で不思議だ怖いと。
そうか、標識を見ない、なんでだか頭がおかしくなっていても、それもまた怪異のせいになるんだな、と公開することにしました。
で改めて二日目往路の映像をきちんと見てみますと、暗闇の中右斜め前右斜め前に進んでいるつもりだったのに、左前左前に歩いているのですね。目の前に木があったらその右側を進むのではなく左側に進んでいる、見方によればもっと左の木の右側を進んでいるとも思えますが、カメラのアングルはあきらかに左に左に進んでいる。
つまり、方位記号4の東から南西に向かって進んでいて、登山道に見えた道を右に曲がる、つまり南西から西に歩き始めた、その道を道なりに戻ってハイキングコース南側にある道を出た、そもそもこの道は、初日に歩いた砂防ダムとは別の砂防ダム群のメンテナンス道路だったのでしょう、しかしその道はインターネットに書かれた登山地図にもホテルでもらった登山マップにも描かれていないので解らなかった、というのが真実なんでしょう。
にしても、展望台に行けなかったことは残念ですが、何事もなく、無事に帰ってこられたんですよ、ヒグマに遭わずに。
これ、実は山の神様が、二日目早朝、予定通りに山を登っていたらヒグマに遭って襲われるから、私の頭をおかしくして安全な道を歩かせたんじゃないかって思うのですよ。無事に済んでいたら危険な可能性を知ることはできないパターンといいますか。
でこの話にはオチがありまして、帰ってきてネットを見ていたら、知る人ぞ知るすばらしいぬいぐるみを作る作家さんが新作複数を発表し、抽選販売をすると。競争率高くて今まで何度も落選したんですけど、今回は当選しました。
シロクマが。
そしてくだんの女の子、ヒグマが当たりました。
うーむ、と。
私がヒグマに遭うのは変えられない運命だった、しかし山の神様が本物のヒグマからぬいぐるみのヒグマに変えてくれたんじゃないかと思うのですよ。
どう思います?