神様の話(4)
私に良くしてくれる女の子ゆかりの神様は全国展開されていて結構力がある神様なのですが、怪異を防いでくれることができても、もっと力の強い神様には敵わない、
2020年10月の話です。
テレビを見ていて沖縄の特集があり、行ってみたいと計画を立ててみたのですが、沖縄より石垣島のほうが面白そうだ、いや、石垣島に行くのなら日本最西端の与那国島に行ってみよう、昔読んだ北杜夫さんのエッセイで「ヨナグニサン」と言われている大きな蛾の話を読んだ、その昆虫館があるらしい、あと日本最西端の岬から見る夕日も良さそうだ、と計画を立てまして、行きまして、石垣島から八重山諸島に船が出ているのを知って、他の島にも行くことにしました。
竹島に行き、黒島に行き、波照間島にも行きました。
島に着いて、さてどこに行こうとスマホで検索しましたら、御嶽(わん)という神社があると。
紹介しているページをじっくり読めば
「御嶽は島の人にとってとても大切な場所です。観光客がずかずか入っていいところではありません」と書いてあるのですが、そこはそれ、私なりに神様との付き合いはあるので、別に構わないだろうと。
もちろん付き合いがそれなりにあると自負していますので、私なりにではありますが礼儀は尽くします、徹底的に畏まってお邪魔します。
港でレンタル自転車を借りて、あちこちにある神社を巡りまして、その一つで鳥居のところにおじさんとおばさんがいました。
私を睨んでいます。
近づくと「入っちゃ駄目だよ!バチがあたるよ!」と怒られました。
私も喧嘩を売りに来たわけではありませんから
「あ、すいません」と言ってUターンしましたけど、心の中では
(ふーん、来た人がどんな人だか関係なく、一律で怒るのか。ふ~ん)と思っておりました。
見えなくなるまでずっと睨まれていたようです。
そしてお昼時になり、レストランに入って、注文を取りに来た女性に料理を頼みがてら
「いやぁ、あそこで怒られちゃいましたよ」と愚痴ると、そのときは興味なさげだった女性が料理を持ってきたときに
「今日は○○の日(儀式の日)ですよ!それは怒られますよ」と教えてくれました。
「私もこの島に来て長いですが、あそこには一度も行っていません」と、島生まれの人でないと立ち入り禁止のようです。
教えてもらって初めて、それは申し訳ないことをしたな、と反省しました。謝りに戻るわけにもいかないので心の中でだけですが。
でまた自転車で走り始めまして、一本道を走っていたんですが、直線道路の途中で右に曲がる道が見えまして、何故か、何故だか、自分でも解らないというか覚えてないのですが、自転車を停めて降り、自分の足でその右への道を曲がりました。
曲がって進むとき、視界の隅左右に、砕けた石柱の根元が見えたのは覚えています、微妙に下を向いていたのですね、できちんと前を向きましたら、廃神社がありました。
いや、驚きましたしビビリましたよ、思わず逃げ出しそうになりましたが、そのとき作家の加門七海さんの文章を思い出しまして、
「神社というのは神様の家だ、勝手に訪れた者が、感性が合わないからといって大騒ぎするのは失礼極まりない」という感じの文章でして、うむ、逃げるのはよくないと。
「初めまして、どこどこから来た○○と申します、お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした」と声に出して謝って、それでゆっくり出て、また自転車に乗って港に戻りました。
実名と住所言うのは拙いかな、とも思ったのですが、言わないわけにはいかないだろうと。
旅行自体は何事もなく進み帰ることができましたが、帰ってから背中がムズっとするようになりましてね、
合理的に考えたら、乾燥肌かもしれません。旅行中に背負っていたリュックの箇所が肌荒れを起こしたのかもしれません。
しかし、ひょっとしたら、おじさんおばさんに怒られたときの御嶽の神様か、廃神社の神様が私に怒ったのかもしれません。
とはいっても、たかがムズっとする程度で病院に行ったって、かゆみ止めの薬をくれるだけでしょう、神様の話なんてしたって聞き流すでしょうし、背中が酷い状態になっているわけでもない、言われたって薬を処方するだけでしょう。
まいったな、とは思ったのですが、しばらくしてもそれ以上状態が悪くなるわけでもない、ひょっとしたら八重山の神様が観光旅行でもしたくて付いてきたのかな、という気がしないでもない、観光に付いてきたにしても、怒られたにしても、この程度だったら別に構わないのではないか?気にしないでおこう……とは思いつつ、年末ジャンボ宝くじのシーズンになりまして、仮にも神様が付いてきているのなら、当たるのではないか?と買ってみましたら、末当しか当たりませんでした。残念。
と、ここで話が終わったら、この状態が続くなり終息していったのなら良かったのですが、そういうわけにもいきませんで、年が明けて、2021年1月の後半になってから、両手の甲に皮膚病が起こりました。
痒くて痒くて、眠っていても眠りながら掻いてしまう、手袋をして寝ても外してしまう、手の甲って肉が薄いので、掻くととても痛くなるのですね。
困ってどうしようか悩んでいたら、2月に入って、右手の甲と左手の甲一部の皮膚病は自然に治り、元の状態に戻りました。
しかし左手の広い範囲はずっと痒いままで、黒くなってどんどん広がって行きます。掻かないようにしているのですが、その部分の肉が盛り上がってきて、市販のかゆみ止めの薬を塗っても全然効果がありません、ようやく病院に聞きましたら、
「手湿疹ですね」だったかな?とてもあっさりと、よくある病気です、というふうで。
「いま盛り上がってるじゃないですか、これが進行すると、固くなっていきます」
塗り薬を処方されまして、塗ったらとても楽になりました。しかし2022年2月末の現在、盛り上がりは戻りましたが、黒くなっているのはうっすら残ったままです。もう塗り薬も空になったのだけど、色が消えるまで塗り続けないといけないのでしょうか?
右手の甲と左手の一部は完全に元通りです。
そして背中のムズっはどうなったかといいますと、2021年の冬が終わり、春になって梅雨になって治まったかなと思ったら、また冬になって、背中は大丈夫なんですが両二の腕がムズっとするようになりました。
乾燥肌にしろ手湿疹(?)にしろ、科学的に理由はつけられるでしょう、何十年もそんなこと一度もなかったのに、それらが短期間で一気に起こったことを除けば。
にしてもただの偶然で起こっているのか、島の神様に怒られているのか、よく解りません。
そして今度は、山の神様に助けてもらったっぽいことが起こりました。
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