パラレルワールドにまつわるよく解らない話
これ書いたと思っていたんですが、書いていなかったようです。どっかで見たぞという人がいたら、すいません。
YouTubeに話したのはアップしたんですが、あらすじに間違いがあったので、そこは直しています。
この話は「怪談新耳袋 絶叫編 うしろ「記憶」」を中心としています。
この「記憶」のあらすじを簡単に説明しますと、
A君B君C君の三人が心霊スポットに行った。
特に何もなくて「面白かったー!」と帰りまして、A君が車の運転をし、B君が助手席に、C君は後部座席です。
走っているうちにC君が叫び始めまして、B君が振り返るとC君が座席と座席のスキマに埋まってグイグイ中に引っ張り込まれている。
A君は運転してますしいきなりですので何も出来ず、B君がC君を引っ張り出そうとするんですが何もできず、C君が座席のスキマに吸い込まれていなくなってしまいます。
車を止めて周囲を探しますがC君いなくて、どうしようと。
悩んだ挙げ句C君の親には言わないといけないだろうとC君の家に行くんですが、お母さん「こんな夜中に!」「すいません、でもC君が」「誰?そんな人、うちにはそんな子いません!」と怒られて、玄関締められてしまいます。
これが一日目夜です。
朝になりまして、二人はバイトしているレストランに出勤し、仕事仲間に「Cがいなくなっちゃった!」と言うのですがみんな「C?誰?」と誰も知らない。C君のタイムカードももともと存在してないようです。
これが二日目。
また日が替わりまして、A君とB君が「あの廃墟に行けば何か解るかもしれない」と行くことにしますが、B君待ち合わせ時間に来ない。E子さんがやって来て一緒に行くと言います。
「Bどうしたんだろう」と言いますとE子さん「B?誰?それ」。
「Bと付き合ってるだろう!」「知らない」。
とにかく二人して心霊スポットに行って手がかりを探してみるんですけど、特に何もありません。
絶望したA君、とりあえず町まで戻ってきてE子さんを降ろそうとするんですけど、ここでE子さんがA君に「ずっと思っていた」と告白するんです。「初めてのデートが心霊スポットだったけど、楽しかった」って。
A君も本当はE子さんを想っていたんですが、口に出せないうちにB君と付き合ってることを知り、諦めていまして、今がこんな大変なときなので微妙なんですが、二人してE子さんの部屋に行きまして一夜を共にします。
これが三日目。(開店前の掃除をしてたから朝番で、その日の夕方に行ったのかもしれませんが、まぁ便宜上三日目ということで)
で四日目の早朝、A君はレストランに仕事に行くために一度自宅に戻るんですが、別れ際E子さんとガラケーでツーショット写真を撮りまして、
「俺のこと忘れないでね」と帰ります。
すぐE子さんのケータイが鳴って、ツーショット写真が送られてきます。
これを四日目の早朝とします。
画面が替わりましてE子さんは身繕いをしてレストランに行きまして、開店準備をしているときに「おはようございます」ってモブの人が入ってきまして、E子さん(あれ?)って顔になるんですが、同僚の「どうしたの?誰か待ってるの?」という問いかけに「いいえ」と笑顔で答えてドラマは終わります。
便宜上ここを四日目の朝とします。
さて、この「記憶」という作品なんですけど、ネットで評判を検索してみると、好意的な意見は少ないんです。意味が解らないとか、何がトリガーだったの?とかが明示されていませんし、リア充爆発しろってのもあるでしょうし。
私がこの「記憶」を知ったのは、放送が最初ではありません。
ドラマ版新耳袋は他にも考察が面白い話がたくさんありまして、他の話の考察を読んでいるうちにこの「記憶」の考察で知りまして、その人はこう解説しておりました。
話はC君が消えてB君が消えてA君が消えたことを表現しているように見えるけど、実は人が消えたのではなく、A君とB君はパラレルワールドに行ってしまったんだ、というのです。
一日目の夜三人が車で帰るとき時の抜け穴に入ってしまい、C君だけが通れなくて弾かれた、だからシートとシートの間なんて弱い部分に身体が入ってしまい、B君が引っ張っても駄目だった、A君とB君の視点だとC君が消えたと見えますが、C君の視点でみてみれば、いきなり進行方向に進めなくなってほっぽりだされて、気がついたらA君もB君も車もなくなっている。そしてA君とB君はC君が存在しない世界に行くんだけど、他の事は何一つ変わっていないからC君が消えたとしか思えない。
そして二日目から三日目になったとき、A君がまたパラレルワールドに移動してC君もB君もいない世界に来ている、これがB君視点だとA君がいなくなって大騒ぎして、レストランの同僚も不思議だ不思議だ言ってる状態なんでしょう。
で四日目の早朝と四日目の朝の身繕いE子さんはパラレルワールドの別人です。
四日目早朝のE子さんはB君C君がいないけど、A君はいる世界です。
シーンの切り替えがあって身支度を調えているE子さんは、A君もB君もC君もいない世界のE子さんです、
と解説者が書いていて、それはそれでへぇ面白いなってくらいなんですけど、
そもそもこのドラマが基本的に評判よくないのって、ドラマの進行と視聴者の視点が不自然なんです。
ドラマの主役はA君が消えるまではA君なんですけど、ドラマの開始ってE子さんの身支度から始まるんですよ。時系列としてはC君がいなくなった、二日目の朝なんです。
E子さんの視点では、身繕いをして出勤したらA君とB君が「Cがいなくなった」って言っていて、「C君?誰それ?」状態なんですが、そこからA君の視点で物語が進んで、基本的にE子さん関係ない。
E子さんは、最後でA君を忘れることでA君がいなくなったことを暗示するために存在するんです。
ドラマの進行は、A君が「Bもいなくなった!」って騒ぎ出して心霊スポットに行くことになって、そこでE子さんがまた話に参加する、A君がいなくなるのは、B君がいなくなるときもそうなんですけど、C君のような直接の描写が無いんです。なんでいなくなったかが解らない。
四日目早朝にA君が退場してE子さんが忘れて終了という視点の変わりようがこのドラマを面倒なものにしているんだと感じるのですが、解説者はそこに監督の仕掛けたトリック、「視聴者への挑戦」を見抜きまして、
話の冒頭E子さんは身繕いをしているのでE子さんの部屋が映り、レストランに出勤してロッカールームで着替えます、
そしてA君が退場した四日目の朝、またE子さんは身支度をするので部屋が映り、レストランに出勤してロッカールームが映るのですが、その二シーンに間違い探しのように小さな違いが点在していると指摘していたんですよ。
スタートして何分何十秒のこの箇所と、何十分何十秒のここが違う、何分何十秒のここには何もなかったのに、何十分何十秒のここには何かがある、そんな指摘がかなりありまして、まぁ一日二日ではこうはならないだろうって違いがありまして、これが監督の仕掛けなんだって書いていたんです。
繰り返しますが私はこの「記憶」をこの解説で初めて知りまして、解説を読んだ際に「なるほど、そういうことなのか」と思いながら見ていましたが、さすがに何分何十秒のこの箇所と、何十分何十秒のここが違うっていうのの確認はしませんでした。
そして何年か経ち、また新耳袋の感想をチェックしていたら、やっぱりこの「記憶」は評判がよくない、わけが解らないって言う人が多く、あぁこれらの人はあの考察ページ見てないんだなと思って久しぶりにそのページを探してみましたら、もう見つかりませんでした。
でまた何年も経ちまして、怖くはないけど不思議な話だったよなぁと思い出しましてね、話そうと思って改めて「記憶」を見てみたんですよ。
最初に考察ページを読んでもう十年くらい経つと思います。
十年以上経つと何が変わるかと言えば、個人的に、十年前はテレビで見ないといけなかったんですよ、だから何分何十秒のこの箇所と、何十分何十秒のここが違うと言われても、ビデオテープでもハードディスク録画でもいちいち行ったり来たりしないといけなくて面倒だからやらなかったんですよ、十年以上経った現在は何が変わったかといいますと、パソコンのモニターで見ることができるようになったんですね。
パソコンのモニターで見ることができるとはどういうことかと言いますと、
インターネットのブラウザで見ることができるのですね、
でブラウザで見ることができると何ができるかと言うと、
ブラウザを複数立ち上げて、左右に並べて画面の比較ができるようになるってことなんですね、
二つのブラウザを並べて、左はドラマが始まったときのE子さんの部屋を映し、右でA君が退場したあとのE子さんの部屋を映してみたら、私には違いが全く解らないんですよ。
何度見ても同じにしか見えない、撮影のカメラの位置が違うんで角度は違うんですが、それを考えて、壁とか冷蔵庫とか部屋の飾りを見ても、何も違っているところが見つけられない。
それじゃぁと、A君がE子さんの部屋に入ったとき、朝起きて二人が部屋の中にいるときの状態を見ても、違いは見つけられないんです。
E子さんがレストランに来てロッカールームでも違いがあるって書かれていたのですが、ここでも私には違いを見つけることができないんです。
それでですね、この話を聞いたみなさんが、それじゃってんでYouTubeやニコニコ動画やHuluを見て、実際に比較して見てみて、違いが見つけられた、なんだよこいつが見つけられないだけじゃねーかよとなるんだったら、それはそれで一向にかまわないんです。
しかし皆さんが見ても、誰一人として違いを見つけることができなかったら、あの解説者は何をあんなにも指摘していたんでしょう?
そのページ自体がなくなったのは、モチベーションが切れたとかサービス運営会社が終了したとかいろいろ可能性があって不思議でもなんでもないんですし、ひょっとしたら膨大な勘違いに気がついて恥ずかしくなって自分で消したのかもしれません、それは解りませんけど、この話の正解が人間が消えたことに見せかけたパラレルワールドに移動した話なんだってのは、一つの考え方としてはそんなに悪くないと思うのですが、もしそうなら、
実は私が知らないうちに、「画面に違いがあった」世界から、「画面に違いが無い」パラレルワールドに来ているのかもしれません。だから、違いなぞ存在しないから解説者はそのページを書かなかった。
それ以外は何の違いもない世界だから気がつかないだけなのかも知れません。
あと一点気になっているのは、考察ページを見てから数年後にまた評判を見回したとき、私一度だけ
「URLは忘れちゃったんだけど、こういう考察をしている人がいました」って書いたことがありまして、それは残ってるんですけど、当時の私は
「その解説者さん、カレンダーがないことを指摘していました」と書いているんです。
三人が心霊スポットに行ったときはカレンダーがあって
「もう何年も人が住んでいないようです」ってシーンはあるんですが、E子さんの部屋にもレストランの更衣室にもカレンダーがないことを判断材料にしていたようです。そこは覚えてないんです、日付がはっきりしないことがパラレルワールドへの移動にどんな意味があるんだか。
そういうことがありました。