禍話のかぁなっきさんの忠告を聞かなかったために起こった不思議なこと:トイレには行かない方がいいんじゃないかなぁ、というお話

 みなさんこんばんは。
 ツイキャスで かぁなっき さんが禍話という、恐ろしいだけではなく禍々しさてんこ盛りの話を毎週しているんですが、毎回毎回、
「みなさん、トイレなんですけどねえ、トイレには行かない方がいいんですよ」と忠告しているんですよ。
 それだけトイレにまつわる禍々しい話があるんですけどね、かぁなっきさんが毎回毎回言ってるのに、聞いてる人は
「でもトイレでしょ?行きたくなったら行かなきゃダメじゃん」って思うんでしょう、笑うんですよ。それでトイレにまつわる禍々しい話を聞かされて「ぎゃー!」となるんですけどね、それでもやはり
「そうなのかー、トイレには行かない方がいいのかー」とはならないわけなんですよ。
 私もそうなんですけどね、それでも、いやー、やっぱりかぁなっきさんの忠告ってのは重いなーってことがありましてね。

 私はポケモンgoやってるんですよ。
 このポケモンgoを知らない人がどれだけいるか解りませんけど、簡単に説明しますと、携帯電話とかタブレット端末に、現実の地図を基本にした仮想地図が表示されましてね、道は現実の地図なんですよ、周囲の建物とか樹木とか、そういうものは表示されないんですけどね、その道々にポケモンと括られるさまざまな小さな動物が現れまして、ボールを使って捕獲するんです。
 現実の地図を基本にしてますんで、実際に道を歩いて、ポケストップとかジムと呼ばれている拠点で捕獲のためのボールを補充してポケモンを捕まえて、捕まえたポケモンを他人の捕まえたポケモンと戦わせたりするんですけど、オリエンテーリングの要素もあるんです。
 それと、たくさん歩くとボーナスとしてポケモンを捕まえるための道具がたくさんもらえたり、ポケモンが生まれる卵がもらえたりするんですが、その歩く距離が、一週間で5km、25km、50km、100kmと四段階あるんです。100kmはやったことないです、がんばって50kmまでです。
 でポケモンgoやって歩いてましてね、歩き始めて、あるところで折り返して行きの道を歩いて帰ってくると、スタート地点に戻ったところで10km歩いている区間が見つかったんですよ。
 でもポケモンgoの距離判定ってちょっと渋めで、その区間をGoogleMapで調べると12、3kmあるんですけど、そこはまぁ文句を言っても仕方がない、10kmだと切りがいいからそこを歩くコースにしようと、仕事がない土曜日と日曜日に歩くようにしてるんですよ。
 平日のいつも歩くコースは片道2.3kmくらいで往復で5kmに満たなくて、5*5の25km足らず、で土日に20km歩くので45km足らず、その5kmちょいを頑張ってなんとか歩いて、一週間で50kmになるようにしているんですけど。

 平日なのに仕事が早く終わったんですよ、いつもなら夕方の四時半ごろに終わって会社を出るのが五時過ぎになるので2.3kmの往復を歩くのですけど、その日は四時に退社できたんで、まだ明るいからたまには夕方に10kmコースを行ってみるかなと。普段の土日は朝十時に出発しているんです。お昼を満喫する時間で。それを夕方に歩くといつもの通りはどうなっているかなと興味がわいたんですが、問題はトイレなんです。
 私はトイレが近いもので、10kmコースを歩くときは最低三回はトイレに行くんです。一回目は繁華街のショッピングセンターのトイレで、二回目三回目は山にある公園のトイレになりましてね、普段はいいんですよ、明るいし人もいますし。
 けど夕方四時に出発すると、二回目三回目のトイレは暗くて人気がなくなるので、かぁなっきさんの忠告ドンピシャになるなーと考えたんですけど、四時退社は滅多にないことですので、よし、ここは行こう!と決断しました。
 さっきも言いましたけど、一回目のトイレは何も問題はないです。繁華街のショッピングセンター、明くるくて清潔で人が大勢います。
 そこを過ぎて、どんどん歩いて行って、見晴らしのいい人がいる公園を通り過ぎて、もう少し山の方にある、折り返し地点にしている公園に向かいまして、やはりおしっこがしたくなる。
 それまでは普通の商店街があり、住宅地がありでどんどん歩くんですけど、二回目のトイレは我慢できるだろうか?考えて、禍話は怖いから我慢しないとダメだろうなぁと歩いて、ようやく折り返し地点にしている公園の、こっち端が見えてきました。
 やっぱり遠目に暗いんですよ。公園のこっちは端は駐車場になっていて、その出入り口にトイレがあるんです、遠目に見て車が止まってなくて、駐車場の明かりはありますしトイレも電気は点いているんですが、うん、トイレには行かない方がいいだろう我慢しようと近づいてって、トイレに通じる道を通り過ぎました、とそこに女の人が立っているのが見えたんですね。
 トイレの向こう前、駐車場なんですけど、車を止めるようにはなっていないスペースがあって、そこで女の人が何人かでお喋りをしているんです。
 街灯があって、女の人がいて、私がいてで女の人がシルエットで見えていて、二の二の二で六人いました。
 みんな手に紐を持っていて、なるほどこの時間に犬の散歩をしている人たちが、顔見知りになってここで世間話をしているのかと。
 女の人が一人や二人だったらトイレに行かない方がいいでしょうけど、六人いたら大丈夫じゃね?と思って、こっちの通路に入ってトイレに行くことにしました。
 女の人をじろじろ見るのは拙いだろと俯いて、その人達の側を通り過ぎるとき、話し声は聞こえてきたんですけど、聴覚って目の視覚のように、焦点を合わさないと、音は聞こえるんだけど話し声なんかは何を言っているのかって解らないものなんですね。聞き取れない。
 なので六人が楽しそうに話しているのは解るんですが何を話しているのかは解らなくて、別にそれも気にならないから通り過ぎる瞬間に、私に一番近くにいた人が
「そんなに私たちの話を聞きたいのかねぇ」
って言ったのは、ちゃんと聞き取れたんですよ。
 聞いて、あぁ会話をしていたら職場の人だか近所の人だかそれは解りませんが、「ねぇねぇ、何話してんの!」と会話に加わりに来る人がいるのかなって思って、トイレに入って用を足して。
 スッキリしてトイレから出たら、もう誰もいないんですよ。でも、あぁあの人達、もう解散したのかなと。暗いし寒いし。
 それで折り返し地点までもう少しなのでまた歩き始めたら、歩道の前に三人が並んで歩いているんですよ。
 あーさっきの人たちのうち三人、こっちに家があるのかーって。
 で、ですね、みなさん、私は歩くスピードが速いか遅いかって自分ではよく解らないんですけど、10kmだか本当は12kmだか、出発して戻ってくるまで、二時間四十分かかるんですよ。60*2で120、それに40足して160分、10km歩いているとして単純計算で1kmを16分で歩いていて、それが遅いのか速いのかはよく解らないんですが、普段歩いていまして、前を歩いている人を追い越すことはあっても、誰かに後ろから追い越される事ってめったにないんです。
 あることはありますけど、そういう人には私がさらに急ごうと足を速めても、まず追いつけないんです。なので個人的には、結構速いほうなんじゃないかなぁと思っているんですけど、前の三人との距離は縮まらないんですよ。
 と言っても別にずっと歩いているのに距離が縮まらないんじゃないんですよ、客観的にモノサシをつけてみますと、三十秒、一分、一分ちょっと歩いて距離が縮まらない、その程度なんですけど、それまで片道一時間以上歩いていて意識も歩くギアもトップに入ってますんで、その数秒数秒がそれなりに長く思えるんです。
 あれ、あの人達はえーなーと思った瞬間、三人が揃ってスピードを落としたんです。
 こっちのスピードは変わりませんから、今度はぐんぐん距離が縮まってきた。しかしこっちはスピードを落とす謂われもありませんので、距離が詰まることを想定して、車道に降りたんですよ、車なんて全然来ませんから。
 そうするとどうなるかと言いますと、歩道で女性ー私と一直線だったのが、私が車道に降りたことで、角度が生まれたんですね。
 角度が生まれまして、彼女たちの前が見えるようになったんですけど…彼女たちの足の先が真っ暗なんです。
 んんんん?!と。
 三人とも、リードは持ってるんですよ、でリードの先端は引き摺られているわけではなく、ちゃんと前に降りてるんですよ、でリードの先が真っ暗なんです。
 …え?犬は?と凝視してしまうんですけど、そういえばさっき、トイレに入るときに、俯いて下を見て六人の横を通ったって言ったじゃないですか、なんにも気にならなかったなって思い出したんですよ。
 最近犬と暮らしている人は、お金があれば首輪にピカピカ電気が付くのを付ける人がいますけど、まぁそんな首輪を犬にしないからと言っておかしいことはない、なので暗くて犬が視界に入らなくても気がつかなかったのはあるんでしょうし、犬が鳴かずに静かにしていたのも躾がきちんとしていたのかも知れませんし、犬が全く動く気配がなかったのもちゃんとお座りしていたのかも知れませんけど、なんで今犬が見えないの?真っ暗なの?
 目が釘付けになって、でも数秒の話ですよ、すぐに車道側の女性の体が視界に入ってきまして、私の方に体を向けて、
「そんなに私たちの話を聞きたいのかねぇ」
って大声で言うんですよ。
 へってなってその人の顔を見て、あーっ!!となって、目の前に壁があるんです。
 え!と思って辺りを見回すと、さっきのトイレなんです。
 え!と思って下を見ると、幸いに用を足し終えていてズボンがびしょびしょになってるなんてことはなくて無事でして、
(おぉ!大丈夫だ!)と安心して、それでさっき見た女の人の顔が全く思い出せないんです。
 思い出せなくて、(あぁ!そうだ!覚えてないほうがいいんだ!)ってホッとして嬉しくなっちゃいましてね。
 ポケットとかあちこちに手をやって、無くなってるものがないのを確認して、ポケモンやってるスマホも無事なのを確認しまして、トイレの出口からそっと外を見てみますと、やっぱり誰もいないんです。
 それでもう折り返し地点なんて行きません、さっさと帰ろうって帰ってきたんですけどね、幸い帰り道にあとの三人がいるってこともなくて、無事に帰ってこられました。
 もちろんまっすぐ家には帰りませんで、ショッピングセンターに着いたら閉店時間までコンビニとか本屋さんで立ち読みして時間を潰したり、家まではありとあらゆる遠回りをして、誰もついてこないことを確認しながら帰りましたけどね。

 まぁこの程度で済んだわけで、かぁなっきさんが普段話している禍話ほど怖いことはなかったんですけど、それでもかぁなっきさんの忠告は聞かんと恐ろしい目に遭うんだなと。
 みなさんもねぇ、いやぁ、トイレには行かない方がいいですよ。
 あの10kmルート、どうしよう。お昼なら問題ないとは思うけど。


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