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脳味噌破裂するような

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2019年5月の記事一覧

脳味噌破裂するような(12)

 執拗いんだよ、御前……。

――疑う迄もなく、死す可き男

 殺す可き、彼奴めを手に掛けよう、敢えてその手を汚す迄もなく。

 先刻(さっき)、死ぬ程偉そうに口を叩いていた姿等見る陰も無くしていて、それでさっくりいってもそれ程、何だろう、惜しくない気がした、のだろうか……。
 彼の首へ飛び蹴りを繰り出すも、あと少しのところで躱されてしまう。しかし、それを見越して、二発目――腰にある銃を掏っておく

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脳味噌破裂するような(11)

 あのとき、彼が言っていた、公平なコインの理不尽どうこうといった話は矢張り間違っているのだろう。
 それにしても、有限的資源とか、燃料とか熱機関がどうとか……、そんなこと、何を言ってどうなるんだろう?

 笑みが、浮かぶ。

 どこまでも歩いてゆこうとしているかのような彼、あの男に追いつくことが出来そうだった。
 しかしながら、まだ足りない……、歩みが足りないのだ。
 より歩こうとしてゆく。
 メ

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脳味噌破裂するような(10)

 足を踏み出そうとする度、何か膜のようなものに圧されているようにも僕は感じる、……あいつに近付こうとしないかのように。
 近付きたくないと思っているかのように。
――それは何故……?
 あいつの穢れた身体を、その機能を停止させられる、終わりにさせられるんだ……。僕を閉じ込め、拘束していたあの男を。
 あるときには肌に触れてこようなぞした、仮面の男……、気持ち悪い。僕は同性愛者じゃないと断ったけれど

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脳味噌破裂するような(9)

 死ぬのは嫌だろう……、空想の銃を翳す、凛として時雨の『鮮やかな殺人』が再生される、殺害される意欲を駆り立てられるある種の自殺病患者となった彼を夢想し、幾らテロリストとして力を持っても、幾らか国際社会に影響力を持つ存在になっても、いずれは金属塊がその身体を射抜くというのなら、ヒトラーよろしくベッドで死にたいと思わない訳でもあるまい、と、ここは冷たい石の床の上だけれども。
 見る者すべてを不快にさせ

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