薬屋さんの化け物退治
薬屋さんの化け物退治 鳥取県の民俗行事等
12月の雪の日。富山の薬売りが薬の入れ替えに訪れた。
ある集落につくと村の中がどんよりとしていて雰囲気が悪い。
薬屋さんが尋ねると氏神がいて、娘を人身御供に差し出せという。そうして娘は帰ってくることがないという。
薬屋さんはその様を見届けさせてくれないかと頼むと庄屋さんは祟りがあってはならないと断った。村人も昼のうちに神社に娘を置いて去っていくきまりだった。
しかし、薬屋さんは内緒で氏神がくるという神社でこっそり見る事にした。
日も落ちて夜中になり現れたのは、大きな化け物だった。目はぎょろんとしており、口は裂け、手には大きな大きな黒い爪がある、
それは娘をひっつかみ、山の中に消えていった。
薬屋さんは庄屋さんにそのことを話した。
庄屋さんは話を聞いた、なんとかしないといけないと決心した。それを見た薬屋さんは
「庄屋さん、今年は見届けさせてもらった。来年のこの時期またやってきて退治さしてもらう」
翌年、薬屋さんはやってきた。そうして、庄屋さんは、村の人に化け物を退治することを告げた。
娘はいつも通り人身御供にあげ、隠れていた薬屋さんが退治するというものだった。
その策はうまくいき、娘さんは無事に戻った。
村人は薬屋さんにやり方を聞いたが、
「教えてあげたいけど、内緒のことで話されん。来年も頼みますけんな」
といって去っていった。