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TikTokで日本初のオープンキャンパス実施で志願者増をめざす。“やってみよう”の精神で飛躍した中央大学商学部の物語

いま、海外では大学などの教育機関が広報活動の一環として、積極的にTikTokを活用する動きが生まれているのをご存知でしょうか。

こうして教育にTikTokを活用する大学は国内ではまだまだ少ないのが現状ですが、中央大学商学部は昨年12月にTikTok公式アカウントを開設

現役の学生とともに毎月20本ほどのペースで動画投稿を行っています。

そして、今年8月27日にはTikTok LIVEでのオープンキャンパスを日本で初めて実施。

教授や在学生が中央大学商学部の魅力や大学生活のリアルな声をライブ配信で伝えました。

大学が広報活動としてTikTokをスタートさせたことで生まれた意外なメリットが明らかになりました。

■「実際はおもしろい先生がいっぱいいるんです」

教員や専門分野などについて紹介する動画や、実際の在学生である商学部生が主体となって企画した動画が投稿されている中央大学商学部TikTok公式アカウント

@commerce1909

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早速、商学部長の渡辺岳夫教授にTikTokアカウントを開設した経緯をお聞きました。

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「私のゼミの卒業生がTikTokの運営会社に転職した縁があり、TikTokで『国内の教育コンテンツを充実させたい』とのことでお声がけいただきました。商学部に限らず中央大学は非常に特色ある良い教育をしていますが、世間では地味なイメージが強いことに、かねてから私は問題意識を持っていたこともあり、挑戦してみることにしました」(渡辺岳夫教授)

学部長補佐を務める斎藤正武教授は、教育プログラムだけでなく、教員を紹介する場としての魅力をTikTokに感じたと語ります。

「大学の教員は堅苦しいイメージを持たれがちですが、実際はおもしろい先生がいっぱいいるんです。でも、大学としては紹介する場はHPくらいで顔写真すらない。特に中高生の方は親しみを持ちにくいと思いまして。短尺のTikTok動画の中で、少しでもそんな先生方の人となりや研究の魅力をお伝えできればと期待しました」(斎藤正武教授)

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■「お前の親父、TikTokで見たぞ」

商学部の事務室にはTikTokを見た在学生から「授業選びの参考になる」といった声も寄せられ、学外からもさまざまな反響があったそうです。

「私は一番下の息子がTikTokを始めたとき高校3年生で、特に知らせてはいなかったんですが、同級生に『お前の親父、TikTokで見たぞ』と言われたらしいです。特に中央大学の附属高校とかでもなかったので、改めて高校生の間でTikTokが深く浸透していることを実感しました」(渡辺学部長)

斎藤教授はICTやソサエティー5.0について解説するTikTok動画が人気ですが、コンテンツづくりで意識していることはあるでしょうか?

「テーマ選びが大事だし、一番難しいところですね。ニュースなどでよく耳にするキーワードを拾い、気づきや学びになるテーマを選んで、中高生の視聴者にもわかりやすい言葉で解説するようにしています。研究内容について短い時間で正確に伝えるのは限界があり、要点だけ凝縮して伝えるかたちですが、その短さが逆にTikTokの良さだとも思っています」(斎藤正武教授)

■「中大の動画からきました」と学生アカウントへのアクセスも

今年6月には中央大学商学部公式アカウントを運営する学部生を募集し、現在7名ほどの学生が3チームに分かれ、動画制作を行っています。8月の「TikTokオープンキャンパスライブ」にも出演した、3名の商学部の学生さんにも話をうかがいました。

「TikTokは高校生の頃から投稿してきました。まだまだユーザーが少ない、日本でサービス開始して間もない時期で、バズる感覚が楽しくてハマった感じです。私はいまSHIBUYA109でSNS運用のお仕事もしていて、そうした知見を今回の取り組みでも活かしたいと考えました」(もんちさん)

こう語るのは、会計学科3年のもんちさん。

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現在、4万フォロワーの自身のTikTokアカウントとの相乗効果もあるようで、「中大の動画からきました」といったコメントやDM が寄せられることも増えたとのこと。

「特に公式アカウントの動画ではより多くの人に中大について興味を持ってもらうために、インパクトを重視しています。ファーストインパクトとカットの繋ぎ、見やすさを考えて、いいねを伸ばすのが私の強みだと思うので。内容も検証動画というかたちで、最後まで見たくなるような構成にするなどの工夫をしています」

金融学科3年みおさんと会計学科2年のまなみさんも、高校時代からTikTokには視聴者として親しんできたそう。

今回の取り組みに参加した理由を聞くと、まなみさんからは

「2年生の私はコロナ禍でまだオンライン授業の経験しかなくて。大学で新しい友達ができにくい状況なので、この活動を通して新しい友達ができたらいいなと思いました」

との答えが。

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そんなまなみさんと一緒のチームで動画制作に参加しているみおさんは、普段の撮影の雰囲気や反響について紹介してくれました。

「制作チームのメンバーとは初対面でしたが、撮影などはスマホということもあり、気軽に楽しみながら撮影できました。他の学部の中大生からも、他の大学に通う友人からも、大学がTikTokアカウントを設置していることに驚く人は多く、『自分の大学・学部でもやってほしい』という声をよく聞きます」

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■就活の自己PRにも使える!TikTokオープンキャンパスの意義

また、8月のオープンキャンパスの感想については、

「SNSを使った公開型のオープンキャンパスは中大としても初ですし、TikTokとしても日本初の取り組みとのことで、とても貴重な体験ができたと思います。今回のオープンキャンパスに出演したことで、もっと小さい規模のイベントでも積極的に発信していきたいと思うようになりました」(みおさん)

「オープンキャンパスではリアルタイムで寄せられた質問にうまく答えられるか緊張したんですが、もんちさんやみおさんたちのフォローもあって乗り切れました。普段、動画制作でどんな人に何を伝えたいか、短い時間でわかりやすく伝える方法を考えることは、就活の自己PRなどにも通じる学びがあると感じます」(まなみさん)

とコメント。

それぞれ学生生活や自身の活動に今回の取り組みを通して得た経験などを活かしている様子です。

■学部長「基本、企画内容や撮影・編集は一任しています」

渡辺学部長はそんな学生たちの活躍ぶりの背景、そして学生が主体的に動画づくりに関わる意義について紹介します。

「中央大学の中でも商学部は、PBL(プロジェクトベースドラーニング)という学生の能動的な学習を促す授業に注力しています。学生が主体的に商品開発に携わるなど、“対社会”で学ぶ場が多く、TikTokの取り組みは本学部が重視する方針との相性も良かったと思っています」

「学生の動画って何気に大学の自虐もあるんですが、まあ、それもひとつの魅力の伝え方かなと。大学側でも投稿前にチェックしますが、基本、企画内容や撮影・編集は一任しています」

オープンキャンパスの反響は大きく、30分間の延べ視聴者数は1万2000人以上、常時200人以上が視聴しました。配信後、公式アカウントのフォロワーは600人ほど増えたそうです。

「従来のオープンキャンパスは2日間で、中央大学の全学部まとめて約2万人という数字です。そう考えると、今回の1万2000人の中身としては地理的な関係などで本来のオープンキャンパスに来られない方、本学部のことを全く知らなかった方がむしろ多いはず」

「通常のオープンキャンパスの参加者とは違う層にリーチできたことは、非常に大きなことだと思います」(斎藤教授)

■思わぬ効果!“地味”な商学部が志願者増を実現!

そして、商学部ではすでにこんな効用が生まれていました。

「2021年度は中央大学の既存学部が軒並み受験者数を減らしたなか、2019年4月に新設された国際情報学部を除くと唯一、商学部は受験者数を増やしたんです。TikTokだけの要因ではないにしても、何かしら寄与した部分はあると思っています」(渡辺学部長)

また、渡辺ゼミ卒業生の最初のオファー連絡から3ヶ月ほどで初投稿に至っており、今回の公式アカウントの取り組みはそのスピード感も特徴的。

率先して新しい取り組みに挑戦する風土が中大商学部にはあるようです。

「他学部に比べて商学部の執行部は年齢的に若く、その影響は大きいと思います。特に僕や斎藤先生は新しいもの好きで、ダメだったらやめればいいという考えなので」

「とはいえ、大学という組織は保守的なところもあり、TikTokアカウント開設について、当初は会議で反対意見や異論も出てくる懸念もしていましたが。スムーズにご了承いただいて、今日までやってこられました」(渡辺学部長)

出演者や投稿スケジュール調整など実務面で公式アカウントの運営に尽力する商学部事務室の鈴木さんは「TikTok内のおすすめフィードからの流入が多く、他のSNSより本学部に偶然興味を持っていただきやすい」と、TikTokの魅力を語ってくれました。

「今後も効果検証しながら積極的にTikTokの活用を継続していきたいです。フォロワーや視聴者数といった数字に手応えは感じています。結果的に本学部の志願者数増につながれば理想ですが、より多くの方に本学部が認知されること自体がひとつ大きな成果なのかなと。学生とも連携しながら、より良いコンテンツを展開していきたいですね」

 TikTokで受験生に魅力を伝え、在学生は就活にも活かせる力をつけることができる。

 中央大学商学部の取り組みは、TikTokを学びに活かす最新の事例と言えるのではないでしょうか。

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