TikTokを始めて1年で年収30%増の収益化 エフェクトクリエイター・しゅんすけさんインタビュー
「Effect House の未来に大きな可能性を感じています。どうなっていくのだろうって」
そう話すのは、エフェクト作成ツール「Effect House」でエフェクト作成を行い、発信するエフェクトクリエイター・しゅんすけさん(しゅんすけ.【エフェクトクリエイター】(@shunsuke_effect))です。
エフェクトとは、TikTok撮影時に活用できる撮影用フィルターや特殊効果のこと。「Effect House」を使うことで自分好みのエフェクトを制作でき、自分の作ったエフェクトが多くの人の投稿に使われる可能性も秘めています。
しゅんすけさんは、2022年5月、社会人として働きながら Effect House でエフェクト作成をスタート。同年8月にTikTokで公開した“ハートで文字が書けるエフェクト”が520万本以上の動画で使用される大旋風を巻き起こしました。
皆さんは、TikTokのエフェクトにどのようなイメージを持っていますか?
TikTok上半期トレンド大賞2023にもノミネートされた「マンガエフェクト」は、どのようにイラスト化されるかわからないドキドキ感と意外なイラストになった時の楽しさにハマると注目を集めて、現在1億5000万件の投稿が寄せられています。
またゲーム系のエフェクトがトレンドになっており、特にアヒルで卵を捕まえる「Eggstreme Duck Dash 2」エフェクトが投稿数120万本を超えるヒットを記録しました。
以前はTikTok公式制作のみであったエフェクトですが、2022年3月、エフェクト作成ツール「Effect House」がリリースされ、TikTokユーザーであれば誰でもPCで気軽にエフェクトが作成できるようになりました。
さらに、2023年11月にはモバイル端末のTikTokアプリ内で簡単にエフェクトを制作できる「Effect House Mobile」機能もフルローンチされました。
世界中でイラストレーターやデザイナーが自身のアートを Effect House にもち込んでエフェクト作成を始めています。またARデザイン未経験のクリエイターも挑戦して、頭の中のビジョンを形にしています。
「TikTokのエフェクトは、企業の広告効果を大きく向上させる」そのように実感した、しゅんすけさん。
昨年は、Effect Houseのデザイナープログラムからの報酬制度をベースに年収30%増の収益を上げました。そして今年は企業コラボレーションも果たしています。
TikTokの新たな収益化手段としても期待されるエフェクト作成。
しゅんすけさんにインタビューを行い、エフェクト作成を始めた経緯や作成過程について。収益化までのプロセスから、Effect House の未来に想うことまで、話を聞きました。
大きく広がる、TikTokのエフェクト
元々、飲食店のTikTokアカウント運用を半年程行うなど動画編集に面白さを感じていたしゅんすけさん。2022年4月、Effect House (当時ベータ版)が日本でローンチされたことを知りました。
「新しいこと=スタートラインは、みんな一緒でチャンスがあると感じたんです。何か得られるものがあるのではないかと思いました」
無料なのに本格的なエフェクトが作成できる Effect House のインタフェースに圧倒されます。
ARデザイン未経験でも、のめり込んで触れていくうち「こういう使い方ができるのか!」と発見の連続。高度な機能に触発されて、創作意欲の高まりを感じたといいます。
そしてあることに気がつきます。TikTokでのエフェクトの広がり方でした。
まず自分が作成したエフェクトを使ったユーザーの動画にもエフェクト名は表示されます。そしてエフェクト名をタップすると作成者(自身)のユーザー名がトップに表示されます。
さらに作成したエフェクトは動画作成時、エフェクト選択画面の「Effect House」「急上昇」の欄に掲示される可能性もあります。
TikTokはフォロワーの数に関わらず、多くのユーザーに動画が視聴されるレコメンドシステムを持つ、コンテンツファーストのプラットフォームです。そのなかで、広がりをみせるエフェクトに魅力を感じたと話します。
「TikTokのエフェクトは企業の広告においても効果を大きく向上させる。本気で取り組めば、数年後、すごい成果が生まれるのではないか。このチャンスは、本当に掴みたいと思いました」
創作のアイデアはコメントから
しかし課題もありました。幅広いバリエーションのエフェクト作成を継続するには、多くのアイデアが必要です。
そこで視聴者さんとのコミュニケーションを意識。早い段階からコメントからアイデアをもらい作成することを決めていたといいます。
「コメントからリクエストが寄せられたり、使用方法のヒントを教わることがあります。それら全てエフェクト作成に活かしています」
求められる方へ、柔軟に方向転換する。「何でもやってみよう!」とジャンルを定めずエフェクト作成を始めたことが功を奏しました。
コメントに応えていくうちに、自身のスキルも高まり、Effect House で実現できることも増えていきます。
そして驚くべき現象が起こりました。
520万本の動画で使用されるエフェクトが誕生!
きっかけは「プリクラ風のエフェクトが欲しい」というコメントでした。
2022年8月に公開した「Pink Heart Touch Paint」はプリクラをモチーフに、顔を明るく写すフィルターとハートで文字が書ける機能を組み合わせたもの。
「そうしたらハートで文字が書ける機能の方が人気になって…(笑)予想もしていなかった出来事で、本当に驚きました」
公開当初、ゆるやかに使用されていましたが、10月に「相合傘を書く」現象がトレンドとなり人気が急上昇します。
「Pink Heart Touch Paint」を使った投稿に多くの共感が寄せられ、「エフェクトを使うことでバズる」現象が巻き起こったのです。
その後も話題が続き、現在までに520万本以上の動画で使用されています。
Effect House にはAnalycs(効果分析)機能があり、自身が作成したエフェクトが世界のどこの国や地域で使用されているか知ることができます。
「Pink Heart Touch Paint」は日本で広く使用されていることが分かりました。背景に「顔出しをしなくても使用できる点があるのでは?」と振り返ります。
「“顔出しナシ”でも使えるエフェクトは新しく、日本の文化に合致して、広がったのではないかと感じます」
エフェクトの「トレンド」と「定番」
さらに予想外のヒットは続きました。それがターコイズブルーのフィルター効果で動画を彩ることできる「Turquoise blue filter」。
こちらは海外ユーザーを中心に、現在500万本以上の動画で使用されています。
しかし日本ではあまり使用されなかったと明かします。海外と日本でエフェクトに対する捉え方の違いを認識したといいます。
「海外では『とりあえず使ってみる』とお試しニーズが大きい一方、日本は『すでに流行っている』、『広く知られている』など、使い方が明確で慣れ親しまれているエフェクトが好まれる傾向を感じます。」
そこで新しいエフェクト公開と同時にガイドも投稿して、使用方法の認知に努めています。
また使用目的を想定する上でポイントとなるのがエフェクトの「トレンド」と「定番」だと話します。
「『エフェクトの使用本数が多い=トレンド』というのは僕のなかでは、少し違うイメージです。『トレンド』は流行っている音楽に合わせた“歌詞エフェクト”などTikTok内のトレンドにエフェクトも乗り、急加速するもの。『Pink Heart Touch Paint』は時間をかけ本数が積み上がっており『定番化』したと捉えています」
「エフェクト公開前に利用目的を予測して、結果と常に照らし合わせています。外れてしまうこともありますが、最終的には自分の予想と結果が一致することが理想です。仮説と検証を繰り返していくことが大事だと考えています」
新たな収益化、その報酬とは
しゅんすけさんは社会人として働きながら、週に3〜4回平均して投稿を継続しています。
9月に開催されたマイナビ TGC 2023 A/Wに向け、TGCオリジナルTikTokエフェクト「9SHOT」の制作を手掛けました。ランウェイに登場する出演者を始め、多くのTikTokユーザーが、エフェクトを使った動画を投稿しています。
「幼い頃から“ものづくり”が好きで、クリエイターになるのが夢でした。今年は娘が生まれて、誇れる父親になりたいと思っていた矢先に、こうした機会を頂けたことは本当に光栄でした。大きくなったら、いつか自慢できるかもしれないですね。とても嬉しいです」
こうした企業コラボレーションに携われるのは、エフェクトクリエイターとしての実績を評価されたことからです。
しゅんすけさんは、これからTikTokでエフェクトクリエイターとして活動したい方は、報酬制度もあるEffect House デザイナープログラム「Effect Designer Program Japan」への加入を目指して欲しいと話します。
「僕は2022年5月から加入していますが、『Effect Designer Program Japan』への加入は間違いなく、成功への近道になります。定期的にイベントが開催されて入賞したことで、著名人に自分のエフェクトを使用してもらえる機会がありました。プログラムで実績を積めたことで、企業さんに注目してもらえてコラボレーションにつながっています」
なかでも大きな支援となったのが、報酬制度でした。
「昨年は『Pink Heart Touch Paint』が国内でたくさん利用いただけたおかげで、報酬制度をベースに収益化し、年収は前年の1.3倍になりました。エフェクト制作を始めたことで30%も収入を増やすことができたのです。こうしたクリエイターへの収益化支援は、創作を続ける上でも高いモチベーションにつながっていて、とてもありがたいです」
今年は企業コラボレーションも実現しており、収益は昨年に迫る勢いだといいます。このようにTikTokでの新たな収益の道を切り拓いています。
エフェクトクリエイター同士のつながり
しゅんすけさんは今、エフェクトクリエイター全体を盛り上げたいという想いがあるといいます。
「僕はARデザイン未経験からエフェクト作成をスタートさせました。その頃から変わらず、他のエフェクトクリエイターさんを尊敬しています。たくさんの投稿を見て、学ばせてもらっています」
他のエフェクトクリエイターの動画を研究したり、「Effect Designer Program Japan」で知り合ったエフェクトクリエイターの仲間とオフ会を開催するなど、クリエイターコミュニティを大切にしています。
「僕を知ってもらう入り口は、僕の発信だけじゃなくていい。これはクリエイターとして活動を始めて気づいたことです。他のクリエイターさんが作成したエフェクトを使うユーザーさんは、エフェクトに興味を持ってくれている方なので、クリエイターさん同士のつながりは大事だと知りました」
「エフェクトクリエイター全体が盛り上がることで、新しいアイデアがたくさん生まれて、ユーザーさんに、より面白いエフェクトを届けられると考えています」
Effect House の未来に想うこと
この1年で、新たな収益の道を切り拓くなどエフェクトクリエイターとして飛躍したしゅんすけさん。 活動する上での喜びは、たくさんのクリエイターの創作をサポートしていることを知る瞬間だといいます。
「自分が作成したエフェクトを使ってくれている動画を観るのが好きですね。その動画が人気になっているのを観ると、とても嬉しいです」
自分の作成したエフェクトで、クリエイターがさらにクリエイティブを高めている。それはエフェクトクリエイターとして、何よりもの喜びにつながっています。
最近ではエフェクトの作り方を質問するコメントも増えており、いずれはエフェクト作成を教えられる人になりたいと話します。
「僕自身、頑張っている人を応援できる人になりたい。『この人に教えてもらいたい』そう思ってもらえる人にならないとダメだと感じています」
そして Effect House が世界に広がっていくなかで、ツールの技術的な発展にも注目して欲しいと話しました。
「 Effect House の未来に大きな可能性を感じています。どうなっていくのだろうって。この技術は世の中のためになると思っています。 Effect House がAR全体でも大きな存在になれば、すごいことになるのではないか。そうした未来にワクワクしています」
最後に、これからエフェクトクリエイターを目指す方へアドバイスを送ってくれました。
「チャンスは誰にでもあります。失敗を恐れず、挑戦してほしいです」
皆さんも、エフェクトクリエイターの世界に飛び込んでみませんか?
Effect House には、誰もが自分らしいエフェクトを作り出し、そして成功を収めるチャンスが待っています。
Effect House について
エフェクトを制作することで収益化が可能な Effect Designer Program Japanについて
Effect House(PC版) ダウンロードはこちら
しゅんすけさん「Pink Heart Touch Paint」の作り方を解説!
クリエイタープロフィール
しゅんすけ.【エフェクトクリエイター】(@shunsuke_effect)
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