TikTokで世界が熱狂!アニメ『しかのこ』公式が起こす「参加型ムーブメント」とは?
「観る」だけじゃなく「参加する」、そして「シェアする」——。
アニメの成長には視聴者からの熱い応援が欠かせません。ファンとなった視聴者がアニメを応援し、その力でアニメも共に成長していきます。
ショートムービープラットフォーム「TikTok」は、アニメ作品のプロモーションにおいて効果的なツールとして活用されています。
そんなTikTokで、放送前にもかかわらず、アニメ公式アカウントからのTikTok投稿が注目を集め、公開を待ち望む「参加型ムーブメント」が起こりました。
そのアニメが、2024年7月3日より放送開始したTVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』です。
5月28日、「【公式】しかのこのこのここしたんたん(@shikanoko_pr)」より、オープニングテーマ『シカ色デイズ』に合わせてキャラクターが踊る「イントロ耐久動画」がTikTokに投稿されました。
すると、瞬く間に視聴者を引き込み、9月12日現在2700万回以上再生され、165万以上の「いいね」が寄せられる大ヒットとなっています。
そして、アニメを「観る」だけでなく「参加して一緒に楽しむ」という現象が広がりました。
TikTokでは、数多くのクリエイターやアーティストがこのダンスを真似した「しかのこダンス」が投稿され大盛り上がり!
『シカ色デイズ(イントロ耐久60秒バージョン)』の音源には、現在までに16万件以上の投稿が寄せられています。
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「しかのこダンス」投稿はコチラから
『シカ色デイズ』は2024年7月24日に公開された「TikTok Weekly Top 20」で、2週連続で1位に輝き、現在もトップ10位以内にランクインし続けています。
放送開始前のアニメが、TikTokでこれほどまで話題を集めるというのは前代未聞の盛り上がりです。
7月3日に「ABEMA」にて第1話の配信が行われるとたちまち多くの反響が寄せられ、急遽「ABEMA」では、第1話を「24時間連続無料放送」する企画も実施されました。
その反響は日本国内にとどまらず、アメリカ・ヒューストンで開催されたアニメイベントの「『しかのこ』上映会」には立ち見客が続出。その人気は、今や世界中の視聴者を巻き込んでいます。
本作を手掛ける「ツインエンジン」の、企画プロデューサー・藤山 直廉さん(以下、藤山さん)と、宣伝プロデューサー・岡野 亜耶さん(以下、岡野さん)に話しを伺うと「こんなことになるとは思ってもいなかった」と驚きを隠せません。
TikTokを活用したプロモーションで大切にしたのは「ツッコミ」を引き出す面白さ。視聴者がそれに反応し、ツッコミの嵐が起こっています。
今回は、TikTokを中心に大きな参加型ムーブメントとなっている「しかのこ」現象に迫ります。
「ガール・ミーツ・シカ」から始まる斬新なギャグアニメ『しかのこ』
『しかのこのこのここしたんたん』は、7月3日よりABEMA最速配信、7月7日よりTOKYO MX、BS 日テレによる地上波放送をはじめ、様々な動画配信サービスにて配信されています。
人気イラストレーター・おしおしおさんによる同名マンガのアニメ化作品で、東京都日野市を舞台に、シカの角を持つキャラクター「鹿乃子のこ」(のこたん)と、元ヤンキーの「虎視虎子」(こしたん)が出会う、斬新な「ガール・ミーツ・シカ物語」を描いています。
本作は「ツインエンジン」がアニメーション企画・宣伝を担い、藤山さんが企画プロデューサーとして、岡野さんが宣伝プロデューサーとして参加。
『SPY×FAMILY』や『進撃の巨人』で知られる「WIT STUDIO」がアニメーション制作を担当。監督は『干物妹!うまるちゃん』『おにぱん!』など多くのコメディアニメを手掛けてきた太田雅彦さんが務めます。
キャスティングにもこだわり、潘めぐみさん(鹿乃子のこ役)や藤田咲さん(虎視虎子役)をはじめ、実力派の声優陣が集結しました。
また本作は、世界140以上の国と地域で配信・放送されており、藤山さんは「他の作品にはない『しかのこ』独自の魅力を、世界中に届けたい」と想いを語ります。
「全世界で、何万人、何億人という視聴者に楽しんでいただける可能性がある中、観た方の“心に残る作品づくり”を意識しています。『しかのこ』では、従来のギャグアニメの常識を覆す予測不能な展開が繰り広げられます。そんな、他の作品にはない『しかのこ』独自の魅力を届けたいです」(藤山さん)
TikTokでは「ツッコミ」を引き出す面白さを
2024年3月、本作の放送開始に先駆けて『しかのこ』のプロモーションをTikTokでスタート。そのアプローチは「自由で遊び心のある発信」で、作品の独自性を現すものでした。
「原作自体が他にはない予測不能な展開を繰り広げる作品です。だからこそ、プロモーションもその一環として楽しんでもらうことを第一に考えています」(藤山さん)
TikTokの発信で大切にしているのは、視聴者から「ツッコミ」を引き出す面白さでした。宣伝プロデューサーの岡野さんも、投稿を始めた3月に早速気づきがあったそうです。
「投稿すると、すぐにツッコミが返ってきて、これだ!と思いました。そこで、ツッコミたくなるシーンや、思わず笑ってしまうポイントを意識して、投稿していきました」(岡野さん)
また『しかのこのこのここしたんたん』という独特なタイトルを、覚えてもらいたいという思いから、オープニングテーマ制作をアニメソングで定評のある音楽レーベル「Lantis(ランティス)」に依頼。
そして、耳に残るイントロが特徴的な『シカ色デイズ』が誕生しました。
このイントロを活かすべく、プロモーションの企画会議で浮上したのが「イントロ耐久動画」のアイデアでした。ターゲットの視聴者層も耐久動画といったネットミームへの親しみが深い世代で、見事にマッチしました。
しかし、ここで一つのチャレンジが。『シカ色デイズ』のイントロに合わせ制作されていたオリジナルダンスが、放送前に公開できないという制約があったのです。
しかし、そんな逆境にもかかわらず、岡野さんは柔軟に対応します。
「すでに公開されている映像の中で何か使えるものはないかと探していたところ、第3話で虎視虎子がオリジナルソングを披露するシーンが目に留まって。試しにイントロを合わせてみたら、まさかの完璧なシンクロ!(笑)この場面を使わない手はないと思いました」(岡野さん)
この「イントロ耐久動画」という一風変わった企画は、制作チームの中でも大好評でした。
アニメ関係者からも「面白いならOK!」と太鼓判をもらうなど、みんながワクワクする展開に。
「みなさんの協力があったからこそ、こんなに楽しい企画になりました」(岡野さん)
「シカの日」の奇跡!「観る」だけでなく「参加する」アニメへ
毎月第4火曜日は「シカの日」と称し、視聴者であるファンを楽しませるためのユニークな投稿を行う特別な日と位置づけていました。
そして、5月の第4火曜日である5月28日、TikTokにてオープニングテーマ『シカ色デイズ』の「イントロ耐久動画」を投稿しました。
すると、この動画は瞬く間に話題となり、9月12日現在までに2700万回以上再生され、165万以上の「いいね」が寄せられる大ヒットとなっています。
TikTokでは多くのクリエイターが「しかのこダンス」を真似して投稿を始め、その波はさらに広がっていきました。
トップアーティストたちもこれに参加し、「しかのこダンス」を披露。世界中で大きな注目を集めて、『シカ色デイズ(イントロ耐久60秒バージョン)』の音源には、現在までに16万件以上の投稿が寄せられています。
\人気アーティストの投稿も相次ぐ/
「しかのこダンス」投稿はコチラから
さらに、『シカ色デイズ』は2024年7月24日に公開された(集計期間:2024年7月15日~7月21日)TikTok上の楽曲人気を測るチャート「TikTok Weekly Top 20」で、2週連続で1位に輝き、現在もトップ10位以内にランクインし続けています。
この想定を超えた反響に最も驚いているのは、他ならぬ、藤山さんと岡野さんです。
「まさか、ここまで大きなムーブメントになるとは夢にも思っていませんでした。私たち自身が一番驚いているかもしれません」(藤山さん)
「正直、ムーブメントを意図していませんでしたので、本当に驚いています。これが狙った戦略だったなら、もっとカッコよかったんですが(笑)」(岡野さん)
こうして『しかのこ』は、観るだけでなく「参加して、一緒に盛り上がれるアニメ」という、新たなステージへ、進化を遂げたのです。
大きな熱狂のなか迎えた、第1話放送
放送開始前から、大きな盛り上がりを見せた『しかのこのこのここしたんたん』。 TikTokには「アニメはまだ放送されていないの?」と、待ち望む声が次々と寄せられていました。
「これほどまでに第1話が待たれるプレッシャーを感じたのは初めてでした。ありがたいことですが、なかなかない経験で、ドキドキしながら待ちました」(藤山さん)
そして迎えた7月3日、「ABEMA」にて行われた第1話の先行配信は大反響を呼びました。その盛り上がりを受け、「ABEMA」は急遽「24時間連続無料放送」を実施、視聴者の期待に応えました。
7月7日からは、世界140以上の国と地域で配信・放送が開始されると、主要な動画配信サービスで軒並み上位にランクイン。『しかのこ』はその勢いをさらに加速させています。
「アニメ作品の中には、5話や6話といった中盤から最終話にかけて盛り上がるものも多いなか、『しかのこ』は第1話から非常に多くの方々に観ていただいています。これまで手掛けた作品の中で、第1話の注目度は一番高かったです」(藤山さん)
その反響は日本国内にとどまりません。8月10日にアメリカ・ヒューストンで開催された「Anime Matsuri 2024」の『しかのこ』上映会には立ち見客が続出する大盛況となり、世界中のファンが『しかのこ』を盛り上げました。
岡野さんは、『シカ色デイズ』のイントロを街中で子供たちが歌っているのを目にし、「本当にこのイントロが流行しているんだ」と実感したエピソードを振り返ります。
「深夜帯のアニメがこれほど幅広い層に浸透するのは殆どなく、とても驚きました」(岡野さん)
また放送開始時には、オープニングPVで公開される新たなオリジナルダンスについて、受け入れてもらえるか不安もあったといいます。
「それについても、皆さんが『ダンス、違うんかい!』と軽快にツッコんでくれて、今ではどちらのダンスも楽しんでもらえてホッとしています」(岡野さん)
2つのダンスで、より自由な発信に
『しかのこ』のアニメ放送が始まってからも、TikTokでは多彩な動画が次々と投稿され、その盛り上がりはとどまるところを知りません。
特に「耐久動画のダンス」に「オープニングPVのダンス」が加わったことで、より自由でクリエイティブな発信が促進され、広がりを見せています。
「オープニングPVに登場するダンスは、耐久動画を作る以前から準備をしていました。顔をあまり動かさず、簡単で、可愛く踊れるダンスになっています」(岡野さん)
『しかのこ』公式TikTokでは、放送開始以降、オープニングPVのダンスを披露する動画も積極的に公開しています。しかし、あくまでも「ツッコミを引き出す面白さ」が投稿の中心であることは変わりません。
「キャストの潘めぐみさんが途中でダンスの振り付けを間違えてしまった動画も、そのまま公開しましたが、それが逆に好評で、観ている方に面白いと感じてもらい、とても盛り上がっています」(岡野さん)
岡野さんは、『しかのこ』公式TikTokを運営する中で「音」と「視覚」のインパクトは重要だと話します。
「TikTokは短い動画も楽めるプラットフォームなので、『音』と『視覚』で面白く、印象に残る要素を重視しています。それがハマると、コメントや再生数が高まるのを実感できます。また『しかのこ』はキャラクターの可愛さも大きな魅力です。なので、その可愛さを引き立てるシーンも選ぶようにしています」(岡野さん)
8月17日には、『しかのこ』のキャラクター・馬車芽めめ(ばしゃめ)と、のこたんが繰り広げる奇想天外な食事シーンの動画が公開されました。
「印象的な音(耐久動画のイントロ)」と「視覚的に面白い場面」の組み合わせが功を奏して、現在170万以上の再生数を記録し、21万件以上の「いいね」が寄せられています。
岡野さんは、アニメを知ってもらう上でTikTokは欠かせないツールであると語ります。
「TikTokは、『コメント』や『いいね』といったリアクションが集まることで、どんどん『おすすめフィード』に表示され、幅広い層へと広がっていきます。アニメを知ってもらう上で、TikTokは今や欠かせないツールになっています」(岡野さん)
「参加型ムーブメント」が生む、「TikTokとアニメ」の新たな可能性
「観る」だけじゃなく「参加する」、そして「シェアする」——そんな「参加型ムーブメント」を起こした『しかのこのこのここしたんたん』。
藤山さんは、この参加型ムーブメントを通じて、「TikTokとアニメ」の新たな可能性について話しました。
「TikTokは、ただ予告映像を見てもらうだけではなく、視聴者が楽しみながらその先の展開を共有し、アニメの未来を共に作り上げていくプラットフォームだと実感しました」(藤山さん)
「セリフだけの動画だと観て終わりになってしまうことが多いなか、今回は音楽やダンスを軸に、視聴者とコミュニケーションが生まれました。情報を一方的に伝えるだけでなく、視聴者と共に作品を楽しむことで、アニメというコンテンツの新たな形が見えました」(藤山さん)
「視聴者」が作品の一部を共に体験する「参加者」になる。これこそがアニメを高めていく上で、とても大事なことだといいます。
「アニメは、どれだけ作品を好きになってもらえるかがとても大切です。視聴者に作品やキャラクターをより好きになってもらうことで、アニメも一層成長していきます」(藤山さん)
「そのためにイベントを開催して、同じ場で共通の体験を提供することもありますが、実際にイベントを開催しなくても、もっと手軽に共通の体験を、日本のみならず、世界中の方たちと一緒に共有できる。そんなプラットフォームは、TikTokだけなんじゃないかと思います」(藤山さん)
藤山さんは引き続き、多くの方に『しかのこ』を知ってもらいたいと意気込みを語ります。
「『しかのこ』はシカが主軸の作品です。引き続き、このテーマを広げ、シカを見たら『しかのこ』を思い出してもらえるようにしたいですね。これからも、少しでも多くの方に『しかのこ』を知ってもらえるよう展開していきたいです」(藤山さん)
9月18日には、最終話が配信されます。最後に視聴者へメッセージを送りました。
「最終話は誰も予想できない展開になっています。最後まで視聴者の皆さんと一緒に盛り上げて放送を迎えられれば嬉しいです。多くの方に楽しんでいただける作品を届けたいと願っています」(藤山さん)
『しかのこのこのここしたんたん』がTikTokで巻き起こした、新たなアニメの可能性。いよいよクライマックスを迎える本作に、これからも目が離せません。
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©おしおしお・講談社/日野南高校シカ部
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