TikTokでバズるショートフィルムのつくり方 #2 【撮り方】「カメラが置ける場所を探せ!」
『カメラを止めるな!』でお馴染みの上田慎一郎監督が、TikTokの縦型短編映画やドラマといったショートフィルム製作の秘訣を伝授!
『バズるショートフィルムのつくり方』と題したTikTok LIVE 配信中、TikTokフィルムクリエイター土井康平さんと、ゼロから1つのショートフィルムの完成を目指しました。
TikTokショートフィルムにおける、脚本づくりや、撮影現場、編集作業といった裏側から、おもわず真似したくなるテクニックを全3回の連載でお届け。
第2回は「バズる撮り方」について。上田慎一郎監督から語られたアドバイスは「カメラが置ける場所を探せ!」です。
TikTokショートフィルムで、上田ワールド炸裂中!
いまTikTokで、たくさん人の心を掴んでいる1つのショートフィルム をご存じでしょうか?
『レンタル部下』、現代社会の人と人の関わり方に向き合った2分40秒のショートフィルムです。
上田慎一郎監督が製作後、3月23日、自身のTikTokアカウント(@picorelab)に公開すると「考えさせられる」「お金では買えない大切なものに気づかされた」といった反響が寄せられて、公開から4日間で43万回以上再生され、TikTokを飛び越えて、さまざまなSNSで話題になっています。
TikTokでは2022年11月より、ハッシュタグチャレンジ「#ショートフィルム」を開催してきました。
上田監督は「#ショートフィルム」アンバサダーを務めており、ショートフィルム製作にもチャレンジ。これまでに3作品のオリジナルショートフィルムを公開しています。
なぜこれほどまでTikTokで人気となるショートフィルムをつくることができるのでしょうか?本連載で、そうした秘密に迫ります。
ゼロからショートフィルムづくりに挑戦!
TikTokのショートフィルム製作は、すごくシンプルです。
シナリオとなる脚本を考え、スマートフォンで撮影と編集を行い、TikTokにアップするだけ。専門的な知識や特別な機材は必要ありません。
しかし「何から始めたらよいか分からない」と感じてしまう方も多いかもしれません。
TikTokが2022年11月より開催してきたハッシュタグチャレンジ「#ショートフィルム」は、縦型短編映画やドラマを投稿するクリエイターを支援し、新たな表現手法を模索するための取り組みです。
「#ショートフィルム」では、2022年11月1日から2023年1月31日にかけて、1ヶ月ごとに区切りながら連続で実施して、優秀投稿者の一部を「上田監督賞」として選出。
栄えある第一期「上田監督賞」に俳優でTikTokフィルムクリエイター土井康平(どいこうへい)(@kouhei0319)さんが選ばれました。
今回、上田慎一郎監督と、土井さんのコラボレーションが実現。
ナビゲーターとして映画紹介人であるジャガモンド斉藤さん、さらに俳優サポーターとしてステキなゲストをお迎えして、ゼロから1つのショートフィルムをつくり上げるTikTok LIVE『バズるショートフィルムのつくり方』が行われました。
TikTokショートフィルムにおける、脚本づくりや、撮影現場、編集作業といった裏側から、おもわず真似したくなるテクニックを全3回の連載でお届け。
第2回は「バズる撮り方」についてです。(前回は、こちらから)
「バズる撮り方」上田慎一郎監督と土井康平 特別対談
斉藤 『バズるショートフィルムのつくり方』と題して、TikTok LIVE生配信中にお二人に対談をしてもらいます。さらに1本のショートフィルム作品を撮っていただきます!
続いてのテーマは「バズる撮り方」について、アングルやカメラワークもあると思いますが、それぞれ大切なポイントを教えていただけますか。
どいちゃん 「サイレントでも楽しめるように」です。劇場映画が好きでよく観ていますが、劇場映画に比べてTikTokのショートフィルムは、1カットが短くて切り替わりもスピーディ、とにかくアップテンポです。
どいちゃん 編集に近い話かもしれませんが、ぼくのショートフィルムにはイヤホンなしでも電車で「ながら見」できるようにテロップを入れています。画とテロップで物語がわかるよう撮り方からも工夫するのは大切だと思います。
斉藤 視覚情報だけでも「お?なんだろう?」と思わせることですね。文字を入れるタイミングやフォントも大切ですよね。サイレントについて、上田監督も意識されていますか?
上田監督 サイレント(非言語)だと、言葉の壁を超えて、世界中で楽んでもらえますよね。
上田監督 撮り方に関して言えば、言葉で表現せずに伝えるにはどうしたらいいか考えることも大切かもしれないです。「しまった!」と言葉で発せず、頭を抱えた動作をするとか。表現方法からアイデアが広がっていくのは面白いですね。
斉藤 「言葉で表現する部分」と「動作で伝える部分」、どいちゃんはどこで線引きしていますか?
どいちゃん 脚本を書いている時点で、薄らですが頭の中に構図が浮かんでいます。現場の雰囲気を感じて、さらにバリエーションを増やしてますね
上田監督 おー!天才肌やな。撮る前に完成しているヒッチコックタイプ。
斉藤 TikTokフィルムクリエイター界のヒッチコック。
どいちゃん やめてください!そんな大きいひと出さないでください(笑)
「カメラが置ける場所を探せ!」
斉藤 「バズる撮り方」上田監督は、いかがでしょうか?
上田監督 「いっぱい撮る!」です。クリエイターの方なら分かってくれると思いますが、編集の時「こっちの角度からも撮っておけば良かった」って思うこと、めっちゃあるんですよ。
上田監督 例えば、2人をツーショットしか撮ってなかったら、間のテンポが調整できなくなるんです。それぞれシングルショットも撮影しておけば、編集時にテンポを詰めることができます。
上田監督 どいちゃんが言うように、劇場映画に比べてTikTokのショートフィルムは、とにかくアップテンポです。だからテンポをあげられるだけの素材があった方がいいんです。
斉藤 素材が多いと、テンポを詰めることができるんですね。
上田監督 カメラでは役者が遠くにいるなら動きや構図をとらえ、近くにいたら表情や視線をとらえます。2人芝居の場合、ツーショット、バストアップ、クローズアップ、手元のアップを撮影しますね。
どいちゃん クローズアップを使う場面は決まっているんですか?
上田監督 クローズアップは、ドラマの進行具合によって物語の高まりをつける時に使います。バストアップから俳優に寄っていき、表情や視線を追いかけるイメージです。
どいちゃん なるほど。めちゃくちゃ参考になります。
上田監督 ふとした時に思い出せるよう、手のひらに書いておくといいです。「いっぱい撮る!」って(笑)
どいちゃん 撮っていると忙しくて、つい忘れてしまったり、これで良いと妥協してしまう場面もありますからね。
斉藤 手元のアップを撮ることには、なにか意味があったりするんですか?
上田監督 ちょっとしたアクセントを付けられたりします。なによりたくさん撮ると、成長できる「気づき」が生まれます。
上田監督 TikTokをはじめて、縦型で、ななめ45°のクローズアップがこんなにも良いものかと気づきました。縦型画面が横顔にすごくフィットするんです。たくさん撮ることで、そうした気づきや新たな発見が生まれてきます。
上田監督 カメラのアングルが少し変わるだけでも観ている人にとって感じ方が変わります。ふつうにバストアップからいかないで他にもないか?そう常に考えることがクリエイターとして成長につながると感じます。
上田監督 「カメラが置ける場所はひとつしかない」っていう、有名な映画監督の言葉があるんですよ。
斉藤 ベストな場所が、1か所だけあると!?
上田監督 「そこを探すんだ」っていう言葉を胸に刻んでいますね。見つかると宝物を見つけ出した気持ちになります。「ありましたー!」って。だから、めちゃくちゃ動き回ってますね。
縦型だから、創意工夫できる
上田監督 縦型画面で、映画なんて撮れないよって思う方もいるかもしれません。ただ縦型画面って、めちゃくちゃ融通が利くんです。
上田監督 たとえば布団1枚あれば、横に余計なものが映らない分、この収録スタジオでも寝室として撮ることができます。病院のロケ地が見つからなくても、布団1枚で病室に似せることもできるんです。
斉藤 縦型画面は「一点集中」。元からトリミングされたような画角ですもんね。
どいちゃん まさに。ぼくも部屋に布団を敷いて、病室に似せた動画を撮りました!
上田監督 1つ部屋があれば、自宅にみせながら、病院にみせながら、いろいろな場面を作り出せます。横型画面に比べたら撮影のハードルは低くなると思いますよ。
【実践】バズる撮影!(30分間)
斉藤 それではお話しいただいた内容を踏まえて、『告白のレッスンをする幼馴染』の撮影を、いまから行っていただきたいと思います。
斉藤 脚本に登場する女性を演じる、すてきなゲストにご登場いただきましょう!
雨音 雨音(あまね)です。よろしくお願いします。
斉藤 雨音(@mew_amane)さんは、土井さんと同じく俳優として活躍されていて、TikTokで一人芝居の動画が人気のクリエイターさんです。普段、ご自身で構成を考えられていると思いますが、ここまでご覧になっていかがでしたか?
雨音 とても勉強になりました。頷きながら聞いていましたね。
上田監督 脚本については、どう感じましたか?
雨音 キュンっとしました!特にラスト「本番いきます」のところ。めちゃくちゃいいですね。
【撮影前】脚本の読み合わせ / セッティング
上田監督 演じる俳優の個性に合わせて脚本を書く「あて書き」という言葉があります。映画だと撮影前に脚本を、みんなで読み合わせる「本読み」も行います。
斉藤 会議室に集まって行ったりするものですね。役柄の背景など事前に決めておきますか?
どいちゃん ぼくはお互い家が隣り同士の幼馴染というイメージです。
雨音 そうですね。友達というか家族というか。いざ告白となったら相当、恥ずかしいだろうから素直じゃない部分も持っている感じですね。
上田監督 雨音ちゃんは、ぶりっこっぽい役柄をあまり見かけない気がします。
雨音 ぶりっこぽいイメージって出せないんです。自分のなかに居ないキャラだからじゃないかと思いますね。TikTokに投稿している動画では、素に近いニュートラルな自分が多いです。
上田監督 なるほど。雨音ちゃんの雰囲気に合わせて、脚本に手直ししてみます。どいちゃんと雨音ちゃんで、演技して撮影に挑みましょう!
【撮影➀】「引き」で、全体(ツーショット)の動きを撮る
上田監督 それでは行きましょう!まずは引きのカットで、演技をしてもらい全編を撮影していきます。
上田監督 2ショットでは全体の動きや構図をとらえます。ただTikTokのショートフィルムは、アップテンポのため、2ショットは使う場面が限られてきます。
上田監督 そのため、多少、完璧でなくても大丈夫です。時間内に撮り切れるよう意識しましょう。撮影と編集を重ねていくと感覚的に理解できてくると思います。
【撮影②】「寄り」で、1人ずつ表情を撮る
上田監督 別のアングルで撮影していきましょう。もう一度、全編を通して演技してもらいます。まずは雨音さん「寄り」で撮影していきましょう。
上田監督 どの角度がよいか?撮影しながら動いて、その位置を探りあてていきます。
上田監督 次は、どいちゃんの方を撮っていきましょう。さらにもう一度、全編を通して演技してもらいます。
上田監督 後半の部分だけ、撮り直しを行いました。2人に演技をやり直してもらう際、役者はパワーを使うことになります。なので必要な場面の少し前からはじめるようにしましょう。テンションを維持して演じてもらえるよう意識するのもポイントです。
【撮影③】「クローズアップ」を撮る
上田監督 どいちゃんのクローズアップを撮影していきたいと思います。
上田監督 バストアップから寄って、表情や視線を追いかけます。これで物語が進行していくなかで気持ちの高まりを表現します。
【撮影④】撮れていないカットがないか?探してみよう!
上田監督 「カメラを置ける場所を探せ!」たくさん撮ることで、新たな気づきや発見が生まれてきます。ななめ45°は横顔にフィットする縦型画面ならではの良さが映し出されます。
上田監督 登場人物が5人以上になると、プロでも撮影が難しくなってきます。最初、2人など少ない人数から始めてみると良いでしょう。
斉藤 かなり熱のこもった緊張感のある撮影現場になりました!無事、クランクアップ!おめでとうございます!
上田監督 生配信だということをすっかり忘れて、完全に夢中になって撮っていました!
雨音 緊張もしましたけど、とても楽しかったです。普段、一人芝居で、定点カメラで撮影しているので、こういう見え方になるんだって「気づき」がたくさんありました。
斉藤 この後は、どいちゃんに動画の編集をしていただきます!
どいちゃん はい!お任せください!
次回「バズる編集」について
TikTokショートフィルム「告白のレッスン」も、いよいよ完成!?
次回、『TikTokでバズるショートフィルムのつくり方【第3回】』では、「バズる編集」について教えていただきます!
お楽しみに!
▼TikTok LIVE『バズるショートフィルムのつくり方』連載記事はこちら