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「食のエンタメ化」のために、TikTokが効果的な理由とは?〈フォーリンデブはっしーさんインタビュー〉
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TikTokの人気クリエイターに、自身のストーリーや動画投稿のコツ、フォロワーの増やし方、ヒットするコンテンツの秘訣などを聞く「TikTokクリエイターインタビュー」。
今回話を伺うのは、「グルメインフルエンサー」です。
すでにSNSで人気を獲得しているグルメインフルエンサーが、TikTokというプラットフォームを、どのように理解し、どんなコンテンツを投稿しているのか?
その「使い分け」について迫っていきます。
話を聞いたのは、現在フォロワー約4.5万人を抱えるフォーリンデブはっしーさん(@fallindebu 以降、はっしーさん)です。
10年以上前からネットで自身のグルメブログを更新していたはっしーさんは、ブログ以外にもさまざまなSNSで人気を集めるグルメインフルエンサーです。
そんなはっしーさんが、TikTokをはじめた理由はなんだったのでしょうか。
また、グルメ動画をアップするときに注意すべきポイント、TikTokユーザーがもっとも関心を持つグルメの分野などについて深く伺ってみました。
なぜグルメは縦型で撮るのがよいのか?
すでにグルメインフルエンサーとして有名人だったはっしーさん。彼がTikTokを始めたのは意外な理由からでした。
「TikTokは動画に音楽が合わさっているというのが最大の特徴だと思うんです。すでに他のSNSで料理の写真をアップしていましたが、僕は料理動画に音楽がかけ合わされるかたちに可能性を感じたんですよね。というのも、食は“最強のエンタメコンテンツ”だと思っていて。そのエンタメ性は料理動画に音楽が入るとより強まると思うんです。音でも魅せるというか。あと、TikTokって縦動画じゃないですか。縦動画はスマホの画面内シェアが多くなるからインパクトが大きくなるのも強みだと思っています」
これまで、さまざまなSNSに触れてきたはっしーさんですが、彼はTikTokの仕組みに注目したといいます。
「TikTokならばグルメの動画にキャッチーな音楽を合わせていけます。グルメをより魅力的に見せる効果音のような役割も果たしてくれるんですよ。グルメにもアクションがあるんです。たとえば、ハンバーグを割ったら肉汁がこぼれ落ちる動画があるとします。それなら、肉汁がこぼれ落ちる瞬間に音楽が一気に盛り上がるとか。そんな風にグルメを視覚以外に聴覚的にも魅力的に見せることができますよね」
@fallindebu ガーリックバター醤油の焼肉!
♬ High Hopes - Panic! At The Disco
「エンタメ」としてのグルメを魅力的にみせるべく、音楽との組み合わせに可能性を感じたはっしーさん。
では、TikTokにアップする動画のうち、反響が大きいものはどんな料理動画なのでしょうか。
「単なるお寿司やお肉ではなく、ワンアクションあるような動画のほうが人気ですね。たとえば、とろっとろのオムライスにナイフを入れると卵がどばっと出る動画とか、とろとろのチーズを熱々の鉄板にかけるとじゅくじゅく香ばしく焦げ始めるたチーズだったりとか。TikTokでは、動画の途中で変化が起こる料理にいいねとコメントが多く集まりやすい傾向がありますね。」
はっしーさん曰く、料理が出てきたタイミングがその料理をもっとも魅力的に見せるわけではなく、その後起きる変化にこそいいねが集まる秘訣があると言います。
つまり、“出落ち”ではない動画がよいという分析です。
「TikTokはアップできる動画の長さが1分以内と短尺なので、簡潔にならざるを得ないんですね。そのため、結果的に料理や音楽に変化があるものが受けやすいのだと思います」
「見るTikTok」の魅力
そんなはっしーさん、自身がインフルエンサーとして動画をアップしているだけでなく、TikTokをかなりウォッチしているヘビーユーザーでもあるのだとか。
では、どんな動画を見ているのでしょうか。
「身構えずに気軽に眺められる動画をよく見ています。具体的には自分の趣味ということもあり、グルメとサッカーですね。TikTokはおすすめ動画が出てくるじゃないですか。あれのおかげで、自分がおもしろいと思う動画が自動的にあがってきて、自分の興味にどんどんカスタマイズされていくので、見る側としてもどんどんハマるんですよ。」
さらに、他のアカウントの動画の手法を見て、自身のアップする動画の参考にすることもあるのだとか。
「縦動画で撮るときは、引きからとって寄ってそれから箸で持ったりとかすると料理がダイナミックに映るんです。他の方の動画を見ると、短尺で入店から注文、料理が出てきて食べるところまで一本の動画になるように編集していたりして。そういう撮り方はすごく参考になります。」
大人インフルエンサーだからわかった TikTokの可能性
ここまで、 TikTokで料理動画を撮るときのポイントや、料理の選び方について話を伺ってきましたが、はっしーさんは、ある側面において、もっともTikTokに感じている可能性があるそうです。
「TikTokは最近大人のユーザーがかなり増えてきて、幅広い層が使っていると思いますが、その中でも10代のユーザーに絶大な人気というのが最大の魅力だと思うんです。ここまで10代をとれているプラットフォームって、なかなかないと思うんですよ。たとえば、僕のインスタはフォロワーの7割が女性で、25〜34歳がメインです。一方、TikTokはこれらの層に加えて、10代の男女にも訴求できる。これはすばらしいことなんですよ。 自分が人生で力を入れていきたい、食のエンタメ化においては、非常に頼もしい存在として考えています。」
これ、どういうことでしょうか。
「僕は、食を誰もが楽しめるエンターテインメントにしていきたいという想いがあって、グルメ活動をしています。美味しいごはんって、無条件に人を笑顔にしてくれるじゃないですか。これまで、僕は仕事などでつらいときなど、美味しいごはんから元気をもらってきました。なので、どんな人でも食を前向きに楽しめると、人生が豊かになっていくと思うんです。そのためには、すべての年代の人たちに、どれだけ食に興味を持ってもらえるか。そういった意味でも、TikTokを使うと、10代を中心に食の興味喚起ができて、さらにスマホで見れる縦型動画という今の時代に合ったツールで美味しいごはん情報を発信できるのは、とてもありがたいことですね。」
日本人の食を豊かにするうえで、 TikTokに可能性を感じているとは、どういうことでしょうか。
「日本のこれからを担う10代の人たちが食に興味がないと、食文化は続いていかないですし、新たな形に進化していかないですよね。別に高級店に行ってセレブなごはんを食べましょう、ということではなくて、もちろん大衆店はもちろん、チェーン店でも楽しみ方があると思うんです。たとえば、チェーン店の牛丼をこのようにアレンジしたら、ワクワクするような一杯になるとか、それもひとつの食のエンタメ化です。ちょっとした工夫を含めて、食への意識を持つだけで毎回の食事が楽しくなると思うんです。僕は食のエンタメ化をライフワークとしているので、10代にも訴求できるのはすごく魅力的です。」
はっしーさん曰く、食に限らず、「人は経験したものは感じることができない」。
そのため、自分の経験したことのない分野でも興味を持ってもらい、訴求させていきたいというのです。
「僕のアカウントで学生に料理動画を見せる時に、ユッケなどの生肉をアップしても反応が悪いんですよ。学校で先生から習ったのか『焼いてないお肉はダメだよ!』とかコメントが来て。先程も話しましたが、肉の上にウニが乗ったら美味しいって、食べ歩いている大人なら理解できると思いますが、若い人は経験してないからわからないんですよね。だから最近は、料理が出来上がる工程なども見せつつ、よりイメージしてもらいやすいような動画を心がけています。」
はっしーさんは、これを「食のステップの階段」と表現します。
「人は自分が経験したことないと、なかなか想像できない、イメージしにくい生き物なんですよね。これは食においてもある意味で同じことが言えるかと思います。10代の人たちに、若い時から食に興味を持ってもらうことで、その後の人生でいろいろな経験をしてもらいたい。だからこそ、そのキッカケをTikiTokで作れるとしたら、食を愛する者としては幸せなことですね。」
単なる「ウケる動画」の作り方にとどまらず、人生をかけて実現したい夢を叶えるための手段のひとつとして TikTokが向いていることまで説明してくれたはっしーさん。
もし、自身の叶えたい夢がある方は、はっしーさんのように自分なりの形で「TikTok」を活用してみてはいかがでしょうか。
クリエイタープロフィール
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フォーリンデブはっしー グルメエンターテイナー。お肉博士とお米ソムリエの資格を持ち、肉を中心にごはんのオカズを求めて、年間1000軒以上を食べ歩く。外食&お取り寄せグルメの分野では、インスタグラムとブログの人気が日本トップクラス。最近はTikTokやYouTubeなどの動画メディアにも力を入れる。美味しい時の決めゼリフは、デブリシャス!
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