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〜不定期連載・取材後記〜「2023July取材後記:マイエ・ヒデタカ&タナカ・ハヤト」

本日は久しぶりの「取材後記」シリーズとなります。今回は柏レイソルFW真家英嵩選手&DF田中隼人選手のWミニインタビューをお送りいたします。

先の天皇杯・徳島ヴォルティス戦では共にスタメン出場。2ゴールでチームの勝利に貢献した真家選手は通算5ゴールで現在天皇杯得点王に堂々と君臨しております。事実、真家選手は私たち記者が追えるトレーニングの範疇の中でもたくましく、時に鮮やかにゴールネットを揺らしていたので、遅かれ速かれゴールを決めるはずと見ていましたが、今夏の天皇杯を見るにつけ、20歳を迎えたこの夏、ようやくその時が近づいているのか、なんて思わずにいられません。あのヒデちゃんが20歳ですか…。

一方、田中選手はUー20日本代表の海外遠征やUー20W杯アルゼンチン大会などチーム外での活動もあり、腰を据えてチームに貢献することができないほど多忙な半年間を過ごしました。実際、今春の監督交代も約1日遅れで地球の反対側のアルゼンチンで知ったほど。今季は憧れの日本代表・中山雄太選手(ハダースフィールド)との感動の初対面も果たして、心機一転。飛躍を期して挑んだ徳島戦でも空中戦でのアクシデントによる負傷交代とややアンラッキーが続き、大いなるリベンジが待たれている状況でどんな思いか去来しているのか迫りました。

降格争い真っ只中にあるチーム状況下で何を悠長にと思われるかもしれませんが、いつの時代も、浮上のきっかけというのはどこに落ちているのか分かりませんし、いつだって彼らは宝です。そんな期待を込めて、日焼けの境界線がくっきり浮かぶ汗だくの彼らにマイクを向けた記録を確かめてくれましたら幸いです。
(2023年7月21日・柏レイソル公開練習日にて収録・再編集)
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「2023July取材後記:マイエ・ヒデタカ」

天皇杯で活躍中の真家選手。もう大人です

◆さあ、真家選手。天皇杯・徳島戦では2ゴールをスコアしてチームを勝利に導きました。流れの中からの1発とCKからのヘッド。どちらも素晴らしいゴールだったと思います。

HM:徳島戦の自分は、良いプレーができていたのかと言われたら決してそうではなかったのですが、最低限ゴールを決められてよかったです。「調子がもう一つ」という中でもゴールを求められ、ゴールを決めるのがFWの真の役目。あの時間帯でゴールを決めるというストライカーの感覚的なところも、好調時に戻ってきている感触があるので向上させていきたいです。


◆ボックス内で存在感を醸しながら、チームのボールポゼッションにリンクして、縦パスに反応。良いトラップからGKの逆を取ってズドン!という真家選手らしい形でした。

HM:あの後半のゴール、実はあの場面では自分は全然動いていないんですけど、ボールが動いている中でも相手の陣形をしっかりと見えていましたし、あのボールの流れの中で自分がどう動くべきなのか、そのあたりのイメージはできていたので、「省エネ」じゃないですけどね(笑)。自分の最も得意な形に持ち込んで、ゴールを決めることができたので気に入っています。良い形でボールを運んでくれたチームに感謝しています。

◆その徳島遠征後、7月16日のJリーグ・G大阪戦にも帯同して交代出場するなど、自らの状況をこじ開けた感触があるのでは?昨季の終盤のメンバー入りとはまた違うストーリーで主力組に挑んでいる手応えがあるのでは?

HM:今季はしばらくの間、試合に絡むことができていませんでしたが、自分がどんな状況でも全体練習や自己練習も含めて、ブレることなく繰り返してきたつもり。そこは昨年から継続している部分。FWというポジションは常に結果を求められるポジションであることに変わりはありませんし、天皇杯という公式戦の大会で起用されて、少しずつ結果を重ねていく、メンバーに加わっていく、チャンスを得ていくというところだけは自分自身、評価していいのかなと思っていますが続けていかないと意味がない。ただ、まだ少しですけど、じっくり続けてきたことが身になってきた気がしています。

◆7月下旬の中断期間を経て、リーグ戦も天皇杯もクライマックスへ向かいます。後半戦の抱負を聞かせてください。

HM:まずは次の天皇杯・札幌戦(8月2日)でも出場できるように準備していかなくてはいけません。しっかりと出場機会を掴んで、またゴールを決めて、「天皇杯得点王」を狙っていきたいですし、そのアピールが叶えば、Jリーグで戦う主力組にも近づくことができるはずだと信じています。難しい状況は常にあるとは思いますが、自分が置かれた今の状況も楽しみながらやっていきたいと思っています。

プロの雰囲気にも慣れた2年目の夏

◆…そうそう。勝手ながら、少し気になるのは真家選手の試合後半途中でのコンディション。だいたい65分あたりで足を伸ばす仕草が見られます。

HM:そうですね、「なんでなんだろう…」と自分も思いますし、その課題に向き合っているところです。椎橋(慧也)くんからいくつか経験談やアドバイスをもらって、試合へ向けた水分の摂り方を工夫してみたり、チームのトレーナーさんには下半身の持久力トレーニングや縄跳びだったり、ジャンプ力に関するトレーニングなどを施してもらったり、様々な方法で改善へ取り組んでいる途中ではあります。なかなか身を結んではいないのですが、試行錯誤を繰り返しながら、地道に取り組みを続けていきたいです。


◆井原正巳監督が「勝ち点へのこだわり」をチームに求めたというこの夏。最後に1人のFWの選手としてどのような思いがあるかを聞かせてください。

HM:選手は監督から求められることに忠実であるべきですし、その中で自分の仕事ができればという気持ちです。チームの現状を考えれば、監督から求められるプレーをした上でチームのためにゴールを取れればいい。チームのためにゴールを決めて、自分の状況も変えていきたいです。ゴールを決めた分だけ評価に直結していくはずなので、結果だけにこだわって。またゴール決めます。

魅力はやはり強靭な体と天性の得点感覚

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「2023July取材後記:タナカ・ハヤト」

田中選手の2年目の現在地とは

◆徳島戦ではキックオフ早々に大変でしたね。しかも、マッチアップはかって知ったるFW千葉寛汰選手(徳島→今治)でしたね。

HT:徳島戦では顔と肘が自分の顔面や頭部にアクシデント的に入ってしまいました。あの後、千葉選手からはスタバのギフトカードが届いていました(笑)。ありがたく使いますし、試合の中のことだから全然気にしていないですけど、もっと、寛汰ともプレーしたかったですね。


◆試合を取材できていないので、詳しく教えてもらえますか?

HT:最初は…口の中の上も下も切れて、そこから出血してしまっていた状態だったので、最初はその痛みがすごく気になっていたのですが、徐々に視界が狭くなっていくような感覚があって驚きました。周囲との距離感も掴めず、「なんだかこれはおかしい」と。そして、徐々にプレーが難しくなってきたので交代をお願いしました。チームに迷惑をかけるわけにはいかないですし、自分のこの先のキャリアのことも考えて早めに大事をとらせてもらいました。幸い、症状的にはすごく軽いもので済んでくれましたし、めまいや吐き気などもほぼなかったので、少しの経過観測を含めた休養期間はいただきましたが、その後に無事にチームに戻ることができました。復帰して、フィーリングも問題なかったので安心しましたし、試合日程が詰まっていないタイミングだったのはよかったです。


◆強い体に育ててくれたご家族に感謝ですね。さて、徳島でのアクシデントはともかくとして、自身の今季これまでの振り返りを聞かせてください。

HT:変わらず「試合に出たい」という気持ちは常に持っています。必要以上の焦りはないですが、何度もチャンスはもらえているけど、自分がそのチャンスをものにできていない現状が続いていて、自分の力の無さというか、「主力選手」に匹敵する力が足りていなくて、その力ををもっと付けていかないといけないですし、試合に使ってもらった際にはチームを勝たせることが必要だと痛感しています。今はそのチャンスを伺っています。井原監督も「今は結果が大事」とおっしゃっていたので、チームの力になれたらと思いますし、「チームを勝たせたい」という気持ちはより強くなっています。


◆7月8日の湘南戦では終盤に途中出場しましたが、痛恨の同点ゴールを間近で喫しました。

HT:自分が開幕前から描いていた2年目のイメージの通りとはいっていませんが、変な焦りのようなものはないので、じっくりと力を付けていきたいところですが、あの湘南戦では1人少ない難しいシチュエーションで起用をされて、そこでチームから託された「このまま試合を終える」というタスクをこなすことができなかったこと。あのシーンは何よりも悔しかった。あの場面で起用された以上は守り切って結果を出さないと、自分の状況は変わらないので。

タスクをこなせず苦悶の表情を見せた

◆さて、7月下旬の中断期間を経て、リーグ戦も天皇杯もクライマックスへ向かいます。後半戦の抱負を聞かせてください。

HT:自分たち若手が良い力や良い影響をチームにという気持ちは常にあります。(山本)桜大がG大阪戦でドリブルからフィニッシュといった良い仕掛けをしていたり、今、ヒデ(真家英嵩)が天皇杯でゴールを決めて結果を積み上げていたり、ユーゴ(升掛友護)も愛媛で試合に絡んでいたり、ツッチー(土屋巧)だってたくさんの試合へ出場しているので「次は自分だ」という思いです。まずは天皇杯から試合に絡めるように、中断期間も良いトレーニングをしていくつもりです。


◆ついに対面を果たした中山選手もいよいよ復帰寸前ですので、田中選手もアピールを!…あ、中山選手も「応援していますよ」とのことでした。

HT:あの日はうれしかったー。すごく緊張しましたが、声を掛けさせていただいてよかったです。中山選手のすごく仕上がったあの上半身は憧れます。強い体作りもがんばります。

高い潜在能力の高さが目を覚ますのはいつか

インタビューは以上です。

両選手とも才能的にも身体的特長的にも世代トップクラスの選手であることに疑いの余地はないレイソル自慢の若手選手。…と、同時にきっとこんなもんじゃない選手。8月2日の天皇杯から始まる今季の後半戦の中でどんな勇姿を見せてくれるのか楽しみです。

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