[ MATCH-note2017 #3:2017 J1第2節vsガンバ大阪(1-3: ●)]

2017年3月5日(日) 15:05試合開始@日立柏サッカー場
[2017明治安田生命J1リーグ第2節]
柏レイソル1-3ガンバ大阪
【GOAL(柏)】47分:小林祐介

開幕2連勝を狙ったレイソルはチケット完売(13649人:主催者発表)の日立台にガンバ大阪を迎えた。
負傷欠場となったハモン・ロペスに代わって武富孝介がスタメンを飾り、ベンチには安西海斗やドゥドゥ、古賀太陽ら若い力が加わった。

[柏レイソルスタメン]
GK:23中村航輔
DF:2鎌田次郎 4中谷進之介 5中山雄太 22輪湖直樹
MF:7大谷秀和(c) 6小林祐介 9クリスティアーノ 14伊東純也
FW:8武富孝介 11ディエゴ・オリヴェイラ

[サブスティチュート]
GK:1桐畑和繁
DF:26古賀太陽
MF:19中川寛斗 25安西海斗 28栗澤僚一
FW:10大津祐樹 18ドゥドゥ

[柏交代]
75分:out2鎌田次郎→in26古賀太陽
79分:out8武富孝介→in19中川寛斗
87分:out9クリスティアーノ→in10大津祐樹

■前半雑感■
左サイドのクリスティアーノを活かしながら攻撃の糸口を探したレイソルだったが、強度の高いG大阪の守備に手を焼く中の7分。帰陣しながらのパスミスを奪われ、スペースを献上。G大阪の小さなパス交換から右サイドを突破されゴールを許してしまう。ポジショニングがルーズになり、後手を踏んだ瞬間を突かれた形だった。
出鼻を挫かれたレイソルは活路を模索するが、統率の取れたG大阪のバランスの良い守備の圧力の前にパスも乱れ、中盤が手薄に。結果セカンドボールはことごとくG大阪に回収され、サイドMFの背後に空いたスペースをアデミウソンに「入口」として使われる形でスリリングな速攻を許した。
この後もレイソルの攻撃陣とG大阪のDF陣の5対5のマッチアップが続いたが、動き出しの量や質に問題を抱えた前線で、「中盤へ落ちる」という一手間で違いを見せたディエゴ・オリヴェイラが強引にG大阪ゴール前へ迫るもゴールは奪えず前半を終えた。

■後半雑感■
伊東純也の個人技で獲得した後半最初のCK。クリスティアーノが放ったボールは中央でクリアされるも、そのボールを見逃さなかったのは小林祐介。迷いなく右足をボールへアジャストさせてG大阪ゴールへ突き刺した。ゴールの時間は先の鳥栖戦と同じく47分。反撃の気運は高まった。
前線で絡み合うように展開された5対5の様相は緩和され、武富孝介が「間」を見つけ右サイドで好機を作り出すも畳み掛けることはできず、逆にG大阪に追加点が生まれてしまう。試合の「流れ」や「潮目」というのは唐突にその表情を変える。
G大阪は緩いプレッシャーを外しながらのシンプルな「中→外→クロス」のパスワークでレイソルゴールを揺らしてみせた。その後にもやや不運な形でのPK判定から3失点目を喫し万事休す。プロデビューとなった古賀太陽や今季初出場の中川寛斗、大津祐樹の投入も及ばず、ホーム開幕戦は黒星となった。

[監督・選手コメント]

–下平隆宏監督–
「セカンドボールだったり球際の部分で少し負けていた部分が多く、ハーフタイムにそういう話をして、後半はしっかりセカンドボールを拾っていく、1点返せればゲームの流れはこちらに来るという話をして送り込んだ。後半すぐに点を取ってくれたが、そこから追加点のチャンスがあった中で取れなかったのは痛かった。G大阪さんがややアバウトなボールを蹴ってきたところでうまくゲームを作れなかった。意図しない、予測できないところにボールがこぼれてセカンドボールを拾えなかったり、ピッチの状態もあり、うまくボールを運べなかった。5枚並ぶG大阪さんのDFラインのギャップを突くようなボールを送りたかったが、落ち着かず、フリーでパスコースを選ぶことができなかった印象がある」

–7MF大谷秀和–
「相手にとってやりづらい状況を作る必要がある。ミスも多く、グラウンドの状態に気を遣いすぎた。守備をする上で必要なボールへの執着心などはG大阪の方が上だった。コンパクトに戦うことはできてきているが、クロスを入れられて失点している。CBがクロスを弾きかえすことやSBが助けること、上げられた際の対応が必要。守備をオーガナイズした後の圧力、あと一歩か一歩半なのか、そこはG大阪の迫力を見習わないといけない。そこは変えていける部分でもあるので」

–11FWディエゴ・オリヴェイラ–
「相手はコンパクトな形で守備をして、最後までレイソルのやり方をさせてくれなかった。自由にさせてもらえなかったね。5人の守備陣だけでなく、ボランチの選手たちのトランジションも整備されていた。相手がボールを奪うと、数的優位を作るなど、効果的な攻撃をさせてもらえなかった。レイソルはパスを繋いでクオリティを出して戦うチームだ。またそういう戦いをできるように練習して、良い結果へ繋げていく必要がある。いつだってホームで勝つことは大切なこと。それをできなかった今は次の試合で勝点を獲って帰ってくることが次へ繋がっていく」

–8MF武富孝介–
「中途半端なクリアボールは全てG大阪ボールになった。そこから2次3次攻撃を受けてしまったという根本的な問題があった。ロングボールを蹴ったら全体が押し上げる。みんなでセカンドボールを拾う。そういったものが必要だったし、欲を言えば、後ろからしっかり繋いで戦いたかった。ロングボールを選ぶなら、その確率を高めないといけない。前線でも、前の3人と両サイドの2人がマンツーマンの状態だった。選手が動き出していかなければチャンスが生まれない中で、動き出しの質に物足りなさがあったし、攻撃のあとに空いたスペースを遠藤保仁選手らボランチの選手たちに効果的に使われて支配されてしまっていたことが悔やまれる」

–6MF小林祐介–
「セカンドボールを拾われ続けた上に、自分たちの陣形は間延びしてしまっていた。次第に相手がペースを握り、試合の中での修正ができずにいた。ロングボールを蹴っても同じ形で拾われ続けてしまっていたので、チーム全体として押し上げる意識が足りていなかったと思います。ゴールについては練習から狙い続けていた位置から決めることができた。ボールが良いところへとんでくれました」

–14FW伊東純也ー
「ボールが回らず、守備もうまくいかなかった。スペースが消されていたというより、全体的な問題だと思います。最初の失点シーンについては周囲との連携を欠いてしまった。3CBからシステムを切り替えるタイミングの難しさを突かれてしまったのともっと声が掛けられていたらと思います。後半に祐介が同点にした直後に自分たちのチャンスが来ていたところでしっかりと決めきれていたら、試合を変えられていたはず」

–5DF中山雄太–
「まず、チームとしては、セカンドボールやフィフティのボールを奪い切ることができず、主導権を握られてしまったことが悔やまれます。結果的に自分も2失点に絡んでしまいましたし、マッチアップした選手にゴールを決められてしまったところは反省して、しっかり修正をしたい。自分が常に意識してきたタイミングや駆け引きのところで負けてしまうということは、自分もまだまだということ。攻撃もロングボールが多過ぎたことを反省している。いくつかある選択肢の中から、その状況で何がベストの選択なのかを見極める必要がある」

※PS 数年前に体験したリーガ・エスパニョーラでの光景として忘れられないのは、応援するチームの選手が何かのエラーを犯して溜め息を漏らしてしまっても、次のプレーに対してはまるでバロンドールを獲ったかのような拍手や喝采、メッセージを送るスタンドのムード。「そうだ、いいぞ、その調子だ!」とその選手の背中を押す。地域や民族、自分たちの誇りである選手たちへの信頼と敬意の示し方は10万人近くの観衆を飲み込む巨大なスタジアムでも、1万人そこそこの小さなスタジアムでも同じだった。それが、Jリーグよりもずっと長い歴史を作ってきたリーグのサポートのかたちだ。
記憶の中に住み着いた思い出というものは歳を重ねるたびに美しく再構築されて記憶に残ることが多いとしても、日本でもスペインでもマイチームへの愛情の示し方はチケットを買ってスタジアムへ集った観衆が決めるべきである。そのスタジアムのサポーターたちがそれを選ばないということはそれがそのクラブのサポーターたちが選んだスタイルだ。
ひとつのペンが在らぬ表現・極めて稚拙な提案をもってサポーターたちの文化を扇動できるとでも考えているのであれば、それが明らかなおごりであり、選手、観衆、街や家族、興行を支える人たちへの敬意を著しく欠く軽率な私想である。
何を言わんとしているかは各々お察しいただけたら。

written by 神宮克典
©Libretas de Tiki-taka_magazine

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