〜不定期連載・取材後記〜「2023February取材後記:トーキング・アバウト・コエダシオウエン」 〜
2月7日、柏レイソルからこのようなリリースがありました。
「1月27日(金)付の政府方針により、「大声あり」のイベントにおいても、スタジアム来場可能数の上限100%での開催が可能となりました。
柏レイソルでは政府方針の改定を適用し、この度千葉県へ申請しました安全計画が受理されましたので、2月12日(日)「第27回ちばぎんカップ」、また2月18日(土)2023明治安田生命J1リーグ第1節・ガンバ大阪戦を含め、すべてのホームゲームを来場可能数の上限100%で開催し、すべての席種で声出し応援が可能となります。」
そうです。「Jリーグ新型コロナ感染症対応ガイドライン」の下で実施されていた柏レイソルの「新型コロナウイルス感染症防止対策」に関する大幅な変更・改定が発表されたのです。
また、主な改定点として発表されたの以下の通り。
※スタジアム内でマスク着用(不織布製)の上、声出し応援を含む会話・歓声・発声等が可能になります(なお、マスクは必ず携行ください
※入場ゲートでの体温測定はいたしません
昨季も多会場に於ける「声出し」対象試合などはありましたが、私たちのホームである「三協フロンテア柏スタジアム/日立台」に声援が戻るのは2020年以来となります。約3年をかけて、少しずつ取り戻してきた「Jリーグの日常」が、不織布マスク着用というルールこそあれど、ほぼフルスペックで帰ってきます。
日立台のゴール裏サポーターを中心とした情熱たっぷりの大声援は柏レイソルのアイデンティティの1つ。この約3年、声は出せなくても変わらぬ情熱や姿勢は相変わらず熱く尊いものでした。この度の改定により、柏レイソルは日立台に於けるアイデンティティを取り戻すと共に、「試合で戦うのは選手たち、それを支えるサポーター」という本来の関係を再構築する機会を得ました。約3年ぶりの大声援が今から楽しみです!
本日の取材後記はこの「声出し応援」について、選手のみなさんに伺いました。
(2023年2月8日『柏レイソル公開練習日』にて収録)
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まずは両チームのサポーターの声援を間近で感じることになるGK佐々木雅士選手。いつも深々とサポーター席へお辞儀をしながらピッチへ姿を現す佐々木選手は昨季の「声出し」対象試合の全てを経験している選手の1人ですが、実は2021年のプロデビュー戦から今に至るまで日立台での声援を経験していないのです。
今回の改定に対しての率直な思いを佐々木選手はこう話します。
「昨年の浦和戦などでサポーターの『声出し応援』を体験しました。全てアウェイの試合でしたけど、ずっと体験してみたかったことだったのでうれしかったです。一度経験して以来、『もっと機会が増えたらいいな。日立台でも』と思っていたので、今回の決定はうれしかったです。今週の『ちばぎんカップ』で、しかも、日立台であの声援の中でプレーできることができたらと今から楽しみです。自分へレイソルアカデミー時代にボールボーイをやらせてもらっていましたし、あの時も担当がゴール裏だったりもして、その迫力を目の前で感じていましたし、あの大きな声援にずっと憧れ続けてきた。プロデビュー戦もレイソルサポーターがいないアウェイの試合でしたしね…色んなことを思い出すかもしれませんね。今季、やっと憧れていた光景の中でプレーできるチャンスが来たわけですから、ポジションを掴んで、良い準備をして出場したいです。今からワクワクしています」
新加入のDF片山瑛一選手はそのクラブ遍歴から分かるようにユニークで華やかな声援の中でプレーしてきたベテラン選手。サポーターの声援の大切さやレイソルとの対戦経験からのお話が聞けました。
「日立台はサッカー専用スタジアムで観客席もピッチも近い。今からスタジアムの一体感を楽しみにしています。声援がある中では間違いなく空気感が変わり、自分たち選手も気持ちを奮い立たせてもらえるので、一緒に戦って勝利を掴み取りにいく雰囲気をスタジアムに漂わせることができるはずですよね。実際に日立台でプレーした時にもすごい威圧感を感じていたし、この日立台というスタジアムにある、相手に『イヤだわ…』って思わせるようなファン・サポーターのみなさまの熱量を味方につけて戦うことが心強いし、少しでも良い結果に繋げていきたいですね」
別れ際、「日立台はサイドと席が近いから、ダイレクトに声援が来ますよ」と話すと、「そうですね!そこは試合中なんで、良い距離・良い関係性で!」と笑っていました。
次にマイクを向けさせてもらったのは流通経済大学から加入したMF熊澤和希選手。「大学リーグからJリーグへ」組である熊澤選手は「応援」や「声援」となると、ちょうど数ヶ月前に流大サッカー部の応援が最後となろうかと。流通経済大学付属柏高等学校も華やかな応援が有名ですが、この改定にどのような感想を持っているのでしょうか。
「自分の場合は大学に入って、1年ほどしたくらいに応援ができなくなってしまってから今に至る感じなんです。でも、応援してくれる方々の声援というのはどんな形でも自分たちの力になります。自チームというか、レイソルサポーターの声援は自分たちのパフォーマンスを後押ししてくれる力があると思うので、声援が飛び交う雰囲気の中でも自分の持っている力を発揮したいし、声援の期待に応えられるプレーをしたいですね。選手にとってサポーターからの応援は常に心強いものですから」
「声援」というカルチャーにそのような経緯を持っている熊澤選手。話しでみた限りではもう大人ですし、しっかりとした自分があるタイプ。そんな選手がサポーターの大声援を浴びた時にどのような変貌を遂げるのかちょっと楽しみになりました。
その一方、大卒ルーキーでありながら、古き良き日立台の雰囲気をよく知っている選手もいます。東京国際大学から加入したMF落合陸選手。昨季は日立台でもプレー済みです。そして、なんといっても、柏レイソルアカデミーのいわゆる「ユースっ子」として、トップチームが数々残してきた「Vitória」の文化を日立台のスタンドから見て、隣の人工芝グラウンドで育ち、プロサッカー選手を夢見て、ここまで来た選手です。
「アカデミー育ちの自分からすれば、あの大声援が日立台に戻ってくることは感動的ですし、うれしいですね。声援がある日立台は本当に最高なんで。だけど、声出しが禁止されてから時間が経ち過ぎて、自分もしばらくレイソルにいなかったこともあるので、あの声援を前にしたら、自分でも忘れていた感覚が呼び戻されるかもしれないなって思っています。まずはあの大声援をピッチで力に変えられるように試合に絡んでいきたいです。いつかゴールをしたら、興奮してサポーター席へ頭から飛び込んでしまうかもしれません!」
そんな話をして、「落合選手。今週、その夢叶えませんか?」と思わずにいられませんでした。
新チームには日立台と「特別な縁」を感じている選手もいます。DF立田悠悟選手がその選手です。「日立台で声出しが解禁されました」と話を始めると、立田選手はこんな話をしてくれました。
「自分は清水時代にこの日立台でのルヴァン杯でプロデビューをしていて、『これがプロか!Jリーグか!』という雰囲気を味わうことかできたことを今でも覚えていますよ(2017年3月15日)。それ以来ずっと、自分の中で、自分と日立台の間には『特別な何かがある気』がしていますよ…あと、ちょっと話が逸れちゃうんですが、レイソルサポーターのチャントで言うと、自分は特に大津祐樹さんのチャントがすごく印象に残っていて(笑)、あれ、大好きでした。『大津祐樹を止めないでー!』ってやつですね!レイソルサポーターの応援のイメージじゃないですけど、めちゃくちゃ印象に残っていますね。日立台での大声援を今から楽しみにしています」
あの試合は手塚康平選手(鳥栖)の電撃スーパーデビューゴールの試合となりましたが、立田選手にとっては親友・古賀太陽選手とのプロ初マッチアップ試合でもありました。清水の大柄なCBの印象も残っておりました。そんな立田選手が今季レイソルへ加入して心強い限りなのですが、これまで見られた古賀太陽選手とのセットプレーなどでのお互い遠慮なしの激しい小競り合いが見れなくなってしまったのは少しだけ残念なのですが、新天地での大活躍を本当に願っております!
最後はやはり古賀キャプテンです。
実は古賀キャプテン、昨季の「声出し」解禁時に、「日立台ってできないんですかね?」と何度か話した記憶があります。ある時は笑顔で、ある時は強く背中を押して、またある時は叱咤激励を浴びてキャリアを重ねてきた生え抜き選手として、日立台の声援の意味を知る選手であり、日立台最後の声援の記憶を持つ選手。もう一つ付け加えるなら、2種類のチャントを持つ選手でもあります。そして、今やキャプテン。サポーターのみなさんへこんなメッセージをくれました。
「日立台の最後の声出し応援の雰囲気はよく覚えていますよ(2020年2月22日)。あの日は本当にすごくいい雰囲気でしたからね。昨季も他会場では声出し応援の機会が何試合かありましたけど、やっぱりあるとないでは違うなと感じていました。自分の中でもずっと『日立台で声出し応援を!』という気持ちがあったのは事実ですし、チームやサポーターのみんなが思っていたはずで、長らく待ち望んでいたこと。サポーターのみなさんも多くのルールの中でずっと応援を続けてくれていたので、そのあたりが緩和されるのは素晴らしいことですし、本当に楽しみです。また熱い大声援を響かせてくれたらうれしいですし、引き続き、様々なことに気をつけながら声援を送ってくれたら幸せです」
柏レイソルに関わる全てファン&サポーター、選手たちもクラブも待っていた「日立台の日常」が帰ってきます。
新しいチャントもいくつか発表されています。ずーっと待っていたサポーターもいるはずでしょう。初めてあの雰囲気を味わうサポーターもいるはずでしょう。また、ボールの音や選手の声が聞けることが楽しかったサポーターもいるかもしれません。
古賀キャプテンが言うように様々気を配りながら、まずはそれぞれの距離感で楽しむといいのかもしれません。
果たして待望の一曲目は何でしょうかね?
さあ、いよいよです。
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