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「FootballDiscussion~サッカーを文化に。をもっと真剣に~」から学んだこと

出演: 岩政大樹・遠藤航・竹田英司(bepro)


前編 インテンシティとは何か?


岩・デュエルやインテンシティを高めるための(≒他の選手と違いを作るための)「こだわり」は?
遠→・勝率がずば抜けて高いとは思っていない。だから、デュエルに挑める回数をいかに多く出来るかの方が重要
  ・シュトュットガルトが前から行くチーム(+切り替えが早いチーム)で、ブンデス全体でもデュエル数が多いチーム。その中でやってるということも「デュエル王」の一つの要因
岩→・チームの戦術ありきでデュエル数は増える
竹・言葉の定義について、FIFAが定めているデュエルの定義は存在しない。だから、ブンデスのデュエル、日本人が思い描くデュエルはイコールではない
竹・特徴ある選手は特徴あるデータが取れる これは間違いないと思う
竹・データは「入口」であって、他のチームと比べることはあまり意味がない。マスコミなどで特徴を伝える時には魅力的だが、自チームでデータを扱う際には、データの推移に注目をする、同じポジションに別の選手が入った時にどのような変化があるのか、傾向と現実を照らし合わせて極端にデータが異なる場合、ビデオを確認し、原因を考える、確認する
→原因(≒課題)を改善するための練習を、上記の分析を踏まえ、作る
 原因となるシーンを作り出し、約束事を決める
遠・自分の仕事(ここではデュエルの勝利)をすることでデータの数値も上がる
岩・日本はインテンシティ、デュエルがチーム戦術とリンクしてない印象
 ・根性や気持ちだけで語られている印象
遠→日本でのキャリアを振り返ると、無駄な走りが多かった印象
Ex)3トップだった時に、ウイングの選手が絞ってボランチに出させないようにする必要があるのか 
 →ボランチを押し出し、ウイングはSBを見れるポジショニングでいいと思う
 →「相手のポジショニングに対して、自分たちがどうポジションを取るか」は改善できると思う
遠・攻撃の視点では「中で奪われると危険」なのに、守備になると外に追い込もうとする傾向がある
 →「中で奪う」オプションを持てると守備のやり方の幅が広がると思う
遠・外切りはブンデスでもトレンド
 Ex)ゴールキックを繋ぐ相手に対してのプレスの仕方
 ・攻撃側からすると外せれば、チャンス
遠・一回引いた後の、プレスのタイミングは前の選手が決める
岩・日本はプレスに行って、外された時の落ち着きがない
 ・ハイプレスと外された時の守備の仕方が整理されていなく、繋がりがない
遠→間違いないと思う。大事なのはアンカーや守備的MFの判断
 ・前線と連動して行く時(ボール奪取の守備)とディレイさせて仲間が戻ってくる時間を作る守備の判断は選手がすべき
岩・一か八かにならないためにもアンカーの判断力が重要
竹・遠藤選手のように方向と加速の判断が高い質でできる選手は少ない。そのような選手を育てるためには、取れると思っていったこと(判断)を否定しない
岩・日本の選手は行ってかわされたとしてもこういう保険を持っているよと言わないと安心して大胆に行けないような気がする
竹・日本のDFは自分のゴールに向かってのスプリントが圧倒的に多い。それに比べて、欧州DFは相手方向へのスプリントが多い
遠・感覚的にJリーグ見ていて、思うのはハーフェーラインに行っちゃいけない壁があるかのように止まってしまうことがある事。自分的にはいけると思った時でも
遠・チーム戦術があって、理解しているからいける
岩・守備ではめて、ショートカウンター、もっと日本は突き詰められる
 ・その気持ちよさを共有できると良いのに
遠・「自分の判断で奪える、かわされる」その駆け引きがアンカーの一番の面白さ
遠・まずは行くというスタンスを取りながらトライアンドエラー
遠・ボランチ1枚で戦えるの?というイメージを払拭すべき
 ・僕みたいなタイプのボランチが出てきてほしい
岩・出るか出ないかの判断は「まずは行く」という原則を判断基準とし、トライアンドエラーを繰り返し、精度を高めていった?
遠→もっと言うと、より前めにポジショニングするようになった。相手のトラップミスや味方がひっかけた時のセカンドボールを拾うために
 ・ボールホルダーとの距離感…前めではあるが、入れ替わらないポジション
岩・アンカーというどうしてもCBと繋がってなければという感覚だが、前とも繋がる意識をもち、外されたら帰る感覚が大事
遠・一番ダメなのは自分も入れ変わってしまうことだと思うがやっていけばスプリントすれば戻れるなという距離が分かってくる
 →カバーできる前めのポジション
遠・迷ったら行く
遠・成長するために映像を見ることが大事だと思う。ピッチでの感覚と映像との差を擦り合わせることが重要
 ・良い時は映像と実際がフィットしている イメージ通りにプレーできる感覚
岩・インテンシティもデュエルもちょっとした「立ち位置」の積み重ねがボールを取り切れるかの数十センチの差になる
 →行く感覚をまずはつけることが大事


後編 「現代ボランチ」の必須能力


竹・ボランチは攻守ともに多くのタスクが求められるポジションなので、定義が定まっていない
 →ゲームメーカー、守備的ミットフィルダー、アンカーなど様々な言い方が存在する
竹・指標、スタッツは選手個々の能力差なのか?
 →対戦相手のレベルの差、出場時間の差、試合間隔の差(フレッシュさ)、プレーモデル、タスク、ゲームプランの差。これらの要因によって、変わってくる
Ex)・スピメンディー(スペイン)選手はアンカーで、ビルドアップや守備に特化→ディフェンス面でのデータが高い
  ・コルドバ(メキシコ)はインサイドハーフで、攻撃に特化&プレースキッカー
 →近しいチームレベル、ゲームプラン下での選手間や試合間のデータ比較は効果的だが、あくまでプレーモデル、タスク、ゲームプランを考慮した議論をするべき
竹・インターセプトを例にとっても、遠藤選手とスピメンディー選手では、位置、取り方、などが違う
竹・ヒートマップで攻守幅広いタスクを期待された選手と、決定的な仕事を与えられた選手の違いが見える(予想)
岩・いくつかのデータを比較し出した正確に近いデータをプレーモデルなどとリンクをさせて、課題を洗い出して、練習に落とし込む。そのようにデータは使ってる?
竹→そうですね。私がこれまでお話しした中で一番面白かったのは、ACミランのユースのデータの使い方。ミランはポジションごとにこういう能力がある選手、と決めている。守備的な選手は減点方式、とにかくミスをしない。攻撃は加点方式、アイデアなどが評価される。(求められる能力と出すデータを決めている→それを評価に繋げる)
もちろん、練習に取り組む姿勢、性格などの人間性の部分も評価する。
遠・スペインはサッカースタイル的に守備に余力があるので、いい数字が出る
岩・試合中の修正含め、具体的に相手に対してプラン立てをする、またそれに対して対策をするみたいなことを何周もするように見える。やっている本人達もそうでしょ?
遠→相手によって、オプションを決める。
Ex)相手のある程度の配置に対しどうはめるか
  選手の特徴を生かすためにどう位置取りするか
  サイドハーフの高さが左右で違ったりもする。右SHがストロング、右SBは1対1強い
 →右SHは高い位置
遠→選手の特徴+相手の配置で効率よくボール奪取できる方法、効果的に攻める方法を探る
そういうことを監督は、毎試合毎試合考えながら、提示をしてくれる
ある程度は決まっているが
竹・試合ごとにそこまで調整しているのはヨーロッパのすごさだと思う
岩→具体性だと思う。その試合のかみ合わせ方でずれることがあった時にここにはこいつをそうしたらこのずれはこう調整しなきゃなってことを複合的に考えて指示を出す。そこまで、監督や選手たちも考えられていない。若いうちから、そういうことを考えて、ある程度分かったうえで監督から提示されるから理解できると思う
竹・何かしらデータで特徴が出ているところ見つけて、気になったら映像を確認しに行く。(効率的に見つけていく)
遠・シュトュッツガルトは相手に合わせながら工夫をして、いかに勝つ確率を上げれるか。色々なオプションを持ちながらどう戦えるかを工夫しているチームだと思う。一方でバイエルンは相手が合わせてくる、それに対して監督がちょっとテコ入れするみたいな、ビッククラブとビッククラブではないチーム、監督によって、感覚が違うと思う
岩→日本とヨーロッパでは「弱者の戦い方」が違う
 ・日本→かまえる
 ・ヨーロッパ→相手が嫌がるようなことをする
岩→ヨーロッパには弱者の戦い方として、相手に「仕掛ける」考え方がある
岩・ヨーロッパはいろんなチームがいろんなことやってきて、積み上げられた手法みたいなものがあるんだろうな。日本は挑戦してみたら失敗して、叩かれるからやれずにいる人もいるんだろうな
遠・それぞれのチームで守り方が違うから、代表で集まった時に守り方合わせるのって難しいなと感じる
 →擦り合わせが大事。その積み重ね。
岩・アンカー、ボランチなどの選手がファースト、セカンドの選手のプレスによって、こぼれるボールを予測する感覚を持つことが連動につながるのだと思った。ボランチの前との繋がり。
遠・守備時のポジショニング
 →自分の周りの選手(Ex FW,VO)全員にプレスがいける位置(全体を見た中での中間、ピボットポジション)からスタート感覚。そこからは、周りの選手の情報を首を振りながら、常にアップデートし、立ち位置を決める(準備)。
岩・初期設定しか頭に入っていない選手にならないように!
岩・マークの意識が強すぎると守りづらい時もある。振り回らせない。フラットに立つ
岩・ボール取ったら、斜めにパス。同サイドではなく。そうしたら、相手の守備陣形がひっくり返り、走っていくだけでカウンターできる
遠・カウンターに行くか、行かないかを判断できるのもボランチの選手。FWの動き出しに対し、裏パスを選択するのか、時間を作るために横パス、バックパスを入れて、マイボールにするのかの判断
 ・ただ、一番の優先順位は縦、斜め
遠・ブンデスはJリーグと比べて、裏への意識が強い
 ・ある程度厳しいボールでも何とかしろ!って感じでつけたりもする。それでも、前の選手は上手く収めてカウンターに行けたりもする
遠・コントロールするのはボランチ
遠・前にプレスが来る分、ロングボールを使って、起点をつくるなどくの工夫をしている。ただ、蹴りすぎると失うリスクもある。だから、精度にこだわる
岩・ロングボールにも意図を持てるといい。DFラインの背後か、DFラインとVO間に落とすか
竹・遠藤選手への縦の意識、推進力はもっと評価されるべき
遠・いい中盤の選手はカウンターの際とかに、ドリブルできる
 ・シンプルにプレーする時もあれば、ドリブルで運ぶ判断をできるか
遠・プレッシャーにビビらず、前を向いたり、隠しながら逆CBに変えたり、ダイアゴナルパス入れれるかが重要。中盤はプレッシャーを受けるポジション
竹・アタッキングサードに入らないと、リスクを冒さない文化がある
 ・判断した中でドリブルで突破することも重要
岩・これも根深い問題だよなあ…。
  ミスしたら「おいっ!」って言われてシンプルにプレーすることを求められるから。


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