残り10分に思うこと
※本コラムは6/28のワールドカップのポーランド戦を受けて執筆したものです。
日本対ポーランド戦に賛否両論はあるだろう。しかし、今回のパス回しを批判することがちゃんちゃらおかしいのは明白である。これを批判する日本人は先の大戦から何も学んでいないのではなかろうか。
自らを犠牲にする神風特攻隊が賞賛された時代があった。そこから70年以上経ち、日本人は過程よりも結果を求められるようになった。潔く散る文化を賞賛するのは時代錯誤なのである。まずはその成長を喜ぶべきだろう。
ポーランドといえば、世界最古のチーズが発見されたチーズ発祥の地と言える。その点で私たちはポーランドに感謝しなければならない。なぜなら、合コンの店選びでチーズが美味しい店にすれば間違いないからだ。女は全員チーズが好きだ。とりあえず溶かしたチーズをバケットや肉にかけておけばいい。
さて、私たち合コンのラストオーダー終了から退店までのアディショナルタイム、その中の残り10分はどうだろうか。3パターンが考えられる。まず消極的パス回しのパターン。
このパターンはいわゆる外れ合コンだ。サッカーの世界ランクでいうと250位くらいの相手に、もう疲れちゃったと戦うのをやめるパターン。アディショナルのアディショナルタイム、つまり男だけの2次会でどういう風に幹事を説教するか考えながら、ブスな女のしょうもない話に適当に相槌を打つ。試合終了を告げる店員の「そろそろお席のお時間です」が聞こえた瞬間、握手もなく店を後にする。
次は積極的パス回しのパターン。
同点で迎えたアディショナルタイム。なんとか勝ち点3がほしい。3:3の合コンで、なんとしても全員がコンバージョンしたいのだ。自然と決まったそれぞれのマッチアップ相手とデュエルしながら、主導権というボールをキープをしつつ、2次会に誘導していくのである。なんとも見苦しい。この時間になるまでに勝負を決められなかった実力不足を恨むが、私達は足掻くしかないのだ。
最後はリスクを恐れず攻め抜くパターン。
大して可愛くはない。スタイルは最低限。しかしノリはいい。二次会にいくほどもない相手。21時スタートの合コン。この会で決着をつけたい。それぞれのマッチアップ相手と1:1になりたい。引かれてカウンターの勝ち越しゴールを決められるリスクを取りながらも、予算縮小のために攻めるのだ。ノリで王様ゲームを始めるのもいいだろう。肩を抱いてキスを試みるのもいいだろう。とにかく帰宅を目指して攻めるのだ。神風特攻隊を時代錯誤と言ったが、これが伝統的な弊社のスタイルであり、最もカッコいいのではないだろうか。
ポーランドと日本は古くからの友好関係がある。1920年にシベリアで困窮していたポーランド孤児を陸軍と日本赤十字社がポーランドに送り届けた。日露戦争ではロシアを相手に手を組んだ。阪神淡路大震災の際には、震災孤児がポーランドに招待された。
ポーランドは漢字では波蘭と書く。今回のパス回しの作戦に対して(お互いのメリットのためと言えども)空気を読んでくれたポーランドに感謝つつ、仕事でも、合コンでも、ワールドカップでも、波乱を起こし続けたいものだ。