ドアシフトが夏破壊RTAチャートにちゃーんと組み込まれるまでの話

これの話です。
https://note.com/cleantted/n/n384f4ff4762d
https://www.youtube.com/watch?v=Nx3HH7pJqoo
たまたまチャート開発の時に真横でにぎやかす権利を得るという幸運に恵まれたので、その時のにぎやかしてた様子をビャッとまとめておきます。
多分そのうちcleanttedさん(以下テッドさん)が年表に必要な情報だけまとめといてくれます。

2022/5/18 yakaraさんの配信中にドア吹っ飛びが発見される

事の発端。すべての元凶。爆心地。
この時点であまりにも楽しそうな絵面。正直こっちそのままチャートに組み込む形になっても楽しそうだなって思った。
この時点ではまだ「テッドさんまたなんか夏走ってそうだな、RTAイベントに備えてるのかな」くらいの温度感。

2022/5/19昼 テッドさんがなんか動画上げる

一晩明けたらもっと楽しそうになっていた。ちょうどこの動画がアップロードされる直前あたりでテッドさんから話を聞いた。
この時あたりから夏破壊RTA勢は大盛り上がりで、これをなんとか悪用できないか、いい感じの安定チャートが作れないか、人力でやるならどこからの操作が安定ポイントになるかで楽しくなっていた。と思う。
この時点では「Satellite Lunaを外した直後のドアを利用して上に登れる」「レバーをガッチャンコしても進行フラグを踏めていないのでそのまま月へは進めない」までわかっていた。必要なフラグがどこにあるか、必要なフラグがわかったとしてどう踏むのが速いか、もっと幅広く悪用できないか、といったことをテッドさんと話していた。
tigris : 判定抜けから移動可能範囲を探る必要が出てくるとかまるでRTA勢みたいだ
テッド : RTA始まった

2022/5/19夜 テッドさんが大勢でドアシフトの検証をする
普段RTAを走る際「サムネがデュランダルな走る時用(身長166cm弱くらいの)アバター使用、かつInviteインスタンス」という鉄壁状態で走っているテッドさん。そのテッドさんがこの夜は珍しく通常アバターかつFriendsかFriend+かそのあたりのインスタンスでプレイしていたので「ははーん、道連れ欲しいから誘い受けしてんな」と思いながらjoin。
Socialから人数と面子を確認。既にGlinTさん含めテッドさんの友人知人が5~6人くらいいる。
途中参加チリーンしたら例のドアシフト直前のリスポーンポイントに出る。ドアに走っていっても誰もいない。what's wrong dude.
(ご存知の方も多いと思うが、そこから進んでダイダン二体のところまで行ってしまうと進行フラグを踏みリスポーンポイントが更新されてしまう。つまりこのドアのあたりでなんかやってるのは確定なのだけど、みんなどこに行ってるのかわからなかった。tigrisはこの時点ではまだこっちのドアシフトを知らなかった)
おどろおどろしいBGMの中ひとりぼっちで震えながら待つことしばし、みんなが一団でどやどやとやってくる。PSF世界で夏を排除した後、正気の世界に取り残された生存者たちはきっとこんな気分でLCの職員を待ってたんだろうなという謎の知見を得る。

聞くに、ダイダン前ドアからのルートを見つけたテッドさんがみんなを呼んで人海戦術をキメていたらしい。誘い受けじゃなくて呼びつけてた。ドアシフトの簡単な説明を聞き、ちょろっと試しつつ何ができるか検証中、誰かがうっかりダイダン前の進行フラグを踏む。まあちょうどいいやってことで初期ドアシフトのほうをみんなで試す。何回か誰かしら成功するんだけどみんな割と失敗する。
「ここの安定むずかしいねえ」「なんかいい感じの見つからないかなあ」って感じの雰囲気になってる中、テッドさんが発電室外周のコライダーに引っかかることに成功、そのままダストシュートを経由せず外周にいながら「発電室に入った」時のフラグを踏めることを確認、全員が月基地に移動して事態を悟る。
・ダイダン前のドアからでも着地できる
・外周にいながら進行フラグを踏める
最重要の二要素が確定し、ドアシフトによる大幅短縮の可能性が証明された瞬間だった。

この日はその後みんなでわいわい「もっと悪用できないか」「他の場所でもドアシフトのような挙動は起きないか」と喋りながら水族館のエレベーターとかも試したりした(ちなみに悪用できそうになかった)。

2022/5/20 ドアシフトチャートが成立する
夜も深くに普段通りのVRChatを遊んでいたらテッドさんがtigrisのところにjoin。曰く、
「例のアレの検証をしたいんだけど、一人でずっと籠ってるのこわいから一緒に来て☆」
ここだけの話、tigrisはかつてPOP ESCAPEをテッドさんと途中までプレイし「こわいからやめよっか」と途中で逃げ出して以来、テッドさんと「こわいのはむり同盟」を結んでいる。当然二人とも「PSFは一人で籠るには怖いワールド」という共通認識があったため「わっかるぅ~~~~~~~」と快諾、インスタンスのみんなにいってきまーすと挨拶して移動、ドアシフトのところまで二人でダッシュした。

怖くなるまで一人でモリモリ掘ってたテッドさん、既に「ダイダン前通路のドアでドアシフトおよび発電室外周への落下はそれなりの再現性で可能」「発電室に入ったよフラグを踏んでからレバーをすべて下ろし、それからダイダン前でHMDを外せばそのまま月まで飛べる」「ダストシュートではなく発電室内に直で落下することでレバーのところまで直行できる」というところまで絞っていた。
この時点では「ドアシフトで立った柱の上は歩けるけど、三角パーツの方に移動する時はジャンプしながらじゃないと落下してハマる」という感じの認識をしていた。「じゃあ安定する場所探そっか」ということで二人して天井をピョンピョンしながら安定ポイントを探し始める。
最初は通路横の三角パーツ何個目かで位置を固定し、真横に落下する形で調べ始める。一番奥(ダイダンすぐ手前)あたりから探し、奥すぎてもダメっぽいなーって感じになる。同様に手前から2個目くらいまでは手前すぎてダメっぽいなーって感じになる。
わちゃわちゃしてる中で身長100cmアバター勢tigrisが「次の目標まで27.0mあたりから、真左に直進ジャンプ→着地して静止から垂直ジャンプ、ジャンプ頂点付近から前入れてまっすぐ」で安定しそうだなというのを見つける。その情報をもとにテッドさんがそのあたりから飛んだ時にそれは起こった。

※飛んでません
※飛行アバターおよびSpaceMoverは未使用です

「なんか謎の空間に閉じ込められるんだけど」

ここで「角度や飛んだ幅によっては完全に透明な部屋に入り込んでしまう」ということが発覚する。ドアシフトという狂気を扱っていたせいか発狂しかけたテッドさんが「ヨツミフレーム、まさかここまで見越して……?」とか言い出して二人で笑う。
どうやら本当に安定する位置(真ん中あたりから真横にジャンプ)を100%カバーしている範囲に設置されているようで、RTA向け身長(160cm前後)アバターだとここに非常にひっかかりやすいらしいということが発覚する。
ここにきてチャート検証の条件に「謎の空間にひっかからないこと」が追加され、「真左に直進」ではなく「斜めに飛んで回避」を試す方向に切り替わる。このへんで「デュランダル引き寄せて掴んだら”着地成功したよ”アピールになるね」って話をしたりする。

最終的に「37~36m(一個目の三角パーツを過ぎた)あたりから二個目の三角の銀パーツ頂点に向けて前入れっぱジャンプ」がそれっぽいとなる。
この時点だと身長差や操作の個人差で微妙に安定しなかったものの、位置自体はこの辺らしいなというところに落ち着いたので、これをもとに最適化を図りだす。「この位置からなら三角パーツに向けて移動する時ジャンプしなくてもいい」ということが発覚したりしつつ、最終的にテッドさんが出した解説動画の手順に落ち着いた。
この「扉から登ったところから進行方向に前進ジャンプ二回→二個目の銀パーツ頂点に右スティックで向き直りながら直進」という決定稿の手順は
・移動距離をジャンプで固定しているのでタイミング目視による個人差が出ない
・落下部分の安定を個人の裁量で微調整できる
・落下直前のジャンプを省いてあるため操作が忙しくない
という、現実的にRTAで実現できそうなもので整えられている。
かくしてドアシフト(比較的)安定ルートが爆誕、RTA勢のチャートにちゃーんと組み込まれるに至る。

以下変遷および解説動画。

27.0mからまっすぐ真左に向いて直進ジャンプ→着地して静止から垂直ジャンプ→頂点から前入れまっすぐ
↓(このへんで空白の部屋を発見)
36.8~36.5m付近(一個目過ぎたあたり)から二個目の銀のパーツ頂点に向けて前入れっぱでジャンプ

扉から登ったところから進行方向に前進ジャンプ二回→二個目の銀パーツ頂点に頭を併用しながら向き直って二度ジャンプ

扉から登ったところから進行方向に前進ジャンプ二回→二個目の銀パーツ頂点に右スティックで向き直りながら直進

テッドさんの解説動画
https://www.youtube.com/watch?v=Nx3HH7pJqoo

この後ちょっとだけ無言地帯(ダイダン直後)のドアシフトをリカバリールートとして使えないか検証。「前ジャンプと同時にスティックで左を向き、元々いたひまわり部屋の足場と自分の脚が重なるタイミングで弐寺のピカグレ狙う感覚で前進を開始」でちょうどよさそうだけど、そもそもフラグ踏むの難しくないからそっち安定狙ったほうがいいね、って感じにまとまった。

この後テッドさんが「こんな重箱の隅をつつくような真似をして製作者に対する申し訳なさがある」と言ってたので「重箱の隅をつついてるんじゃない、”隅から隅まで味わってる”」とそそのかしておいた。

振り返り
見てもらうとわかるんですが、ドア吹っ飛びが見つかってから二日、テッドさんが一個目のドアからでもいけると気付いてから一晩でルートが完成しています。この時テッドさんはめちゃくちゃに忙殺されている中スパルタンレースに備えてたり、二人ともVRC Poker Communityでテキサスホールデムの大会が控えてたりしました。tigrisは寝て起きて5/21の回でした。とてもとても夜更かししてる場合ではなかったはずなのに午前三時とか四時とかまで二人してワーッと開拓してたせいで揃って寝不足がひどい。
こういう完全新規の未開拓ルートをがんがん狭めて安定化していく流れ、めちゃめちゃ楽しかったです。RTAのルート開拓を楽しんでる人の気持ちってこういう感じなのかなあ、RTA界隈で革新的なルートが見つかった直後のみんなこういう気分なんだろうなあ、という感じがありました。「まさかな……」と思いながら仕込んだ入力がドンピシャ正解だった時の驚き、自分でやっておいて驚くというなかなか得難い気分が味わえるので最高におすすめです。「こわいから来て☆」って声をかけてくれたテッドさんありがとう本当に楽しかった今後もルート最適化案件あったらおしえてね。
ResetAvatarや壁抜けなどなんでもありレギュレーション、複数人協力レギュレーションをはじめ、夏もまだまだ未検証の要素がいくらでもあります。皆さんも自分にとっての最高の夏を見つけてみてはいかがでしょうか。

以下おまけ

当時の残り香という名のスクショとか

謎の透明部屋からあちこち見まわしてなんだこれなんだこれってなってる様子


テッドさんがドアシフトから発電室外周に向けて落下してくるようす


着地が成功してきゃいきゃい言ってるテッドさん

謎の部屋があったよって説明をしていたやつ


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