小さな巨人
想像してたよりずっと
父は弱くて小さい人間だった
父が死んでもう12年が経った今日
初めて遺書らしきものを見た
書かれていたのは
自分の弱さと実らなかった願望だけ
そして
からだをこわすためだけの生活を送っていたことを悔いていた
私の知ってる父はいつも笑っていて脳天気なふざけた人
小学生だった私にはその姿しか見えていなかった
いや父が見せようとしていなかったのかもしれない
面白いと思っていた父は
本当は酒で心を満たそうとするような
そんな弱い人間だった
大きかったのは182センチという身長だけだった