【アレの瞬間生観戦】涙で唄えない「六甲おろし」
2023/9/14 18時 甲子園 〇4-3(讀賣)-18年ぶり「アレ」達成-
勝てば「アレ」の試合のライトスタンド。ものすごい雰囲気だった。
最近のタイガースファンの応援の「圧」には昭和の頃のすごみが無くなってしまったと感じていたが、この日は違った。すごかった。
9回表二死三塁、一打同点。高いフライが舞い上がった! ちょうどライトスタンド35段と同じくらいまであがったか。「とれよー、ちゃんととれよー中野ー」、息を呑んだ数秒、、、そして歓喜。周りを見た。老若男女が涙している。みんな待っていたんだ。私は白地に赤文字の「岡田彰布」のタオルで拭った。
グランドでは岡田監督に続き、岩崎投手が横田さんのユニフォームをかかげて胴上げ。登場時の「栄光の架け橋」の大合唱、すごかった。若い人たちは合唱が始まると口々に「やばい」、「これめっちゃ、やばい」と呟いている。令和の若者言葉。
泣いている選手はいないのか?私の予想は「大山選手はきっと泣く」だった(下記コラム参照)。後ろの席の方がスマホを観ながら、「大山、めっちゃ泣いてるー」。大当たりだ。大山選手はそういう人。帰宅してから録画映像をみると、本気の「大泣き」ではないか。本当にいいやつ。ずっと4番を打ち続けて欲しい。いまから大山選手の引退試合の席を予約したい。
続いて、岡田監督登場。いい優勝インタビューだった。
散りばめられるユーモアに岡田監督の経験と良い意味の余裕を感じた。成功体験(05年他)と苦い想い(08年)を糧に、新たな大きな成果(23年)につなげたのは岡田監督自身の器と努力の賜物だが、プロ野球の「監督像」(青年監督増)にも新たな一石となるかもしれない。そう、「ほんまもん」の人材がいるのであれば、むしろ年齢が進んだ監督の方が良いのではと。
場内一周での「六甲おろし」の大合唱。この場面にいることを夢見て、Xデーを一生懸命想像し、そしてスタンドに来れた。なのに涙で唄えない。想いが詰まり過ぎるとはこういうことか。2回目の「六甲おろし」からは唄えた。本当に良い唄だ。古関裕而さんありがとう。
少し試合に戻ろう。38年前のある試合のあの場面を思い出した。
1985年4月17日水曜日。バックスクリーン3連発の試合。
その日も高校の仲間とライトスタンドにいた。バースの逆転スリーラン。あの時、打った瞬間は「低い、センタライナーか・・」と思った。が、センター・クロマティー選手はどんどん背走する。「えっ、えっ、いくの??」。クロマティー、ジャンプ。緑のネットにボールが弾む、逆転3ラン!!
そして、2023年9月14日木曜日。あの時と同じように「あっ、センターライナー?」と思った。しかし、センター・丸選手は背走する。そして、クロマティーと同じようにジャンプ。緑のネットにボールが弾む、2ラン。「これで勝った、今日アレだ!」。
シーンがフラッシュバックした。ひょっとしたら、これを契機に佐藤輝選手はバースのようになるのではないか?!
(ひょっとしたら緑のネットは38年前から使い続けているものではないか?)
8回表のジャイアンツの攻撃、誰が8回を投げるか?
普段の試合ならば、石井投手か島本投手だろう。ただ、岡田監督はこの試合の位置づけ(アレ決定+横田選手)から岩貞投手を選びような気がした。予想は当たった。と同時に、次の予想を観戦仲間に語った。
「貞さん、今日は力んでアカンような気がする。2人続けてランナー出して交代。最後は島本投手がケツを拭くのでは。」
貞さんには申し訳ないが、見事に的中してしまった。長年真剣にタイガースの選手の特徴と傾向をみていると、これくらいは予想できるようになる。経験からくるパターン認識。まさしく「人間タイガースAI」。だが、石井投手→島本投手とつないで抑えることで、さらに盛り上がった。チーム一丸。
そして、先発の才木投手。本当にナイスピッティング。想いが入り過ぎて、すごい力んだ投球になるのではと想像していた。まったくそんなことはなかった(これは予想が外れている)。むしろ、普段より落ち着いて投球が出来ていた。この大試合で「冷静な好投」ができたことは、才木投手にとってものすごい自信・成功体験になるであろう。来年の開幕投手は村上投手か才木投手の争いになるのではないだろうか。
試合終了後の深夜は各局が「アレ特番」を放送。いわゆる4チャン・6チャン・8チャン・10チャンが全部特番を組んだ。タイガースファンはみんな寝不足になっただろう。コラムを書いている今は土曜日朝。「せやねん」はじめ各番組がたくさん優勝場面や振り返りを放送している。これがまさしく阪神タイガース。他のチームにはない。
さて、締めの言葉はなにが良いだろう?
18年も待たせたらあかんよねー。でも待ってて良かった
だいちゃん