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トランプ起訴No.4、ジョージア州


NY州、連邦司法局#1、連邦司法局#2と既に3件で刑事起訴されていたトランプだが、4つ目の起訴がジョージア州から8/14日夜、大陪審(起訴するかどかを決める陪審員)を通過、決定した。

起訴状。約100ページ。

2020年の大統領選挙の前後にトランプとその一味はジョージア州をひたすら攻撃していた。恐喝、捏造、誹謗中傷、欺瞞。その行為は160件以上起訴状に報告されている。

罪状は41件。被告人はドナルド・トランプ、ルーディー・ジュリアーニ、シドニー・パウエル、ジョン・エリス、、、なんと元ホワイトハウス長官マーク・メドウズまで含めた総勢19名。

負けた選挙の結果の改竄を試みていた。

今日一日ニュースを一通り聞いたので内容をここにまとめる。


RICO法について

一味の膨大な160件以上の様々な違法・合法行為はRICO(Racketeer Influenced and Corrupt Organizations)法でまとめて起訴されている。これはマフィアなど反社組織を取り締まるためにニクソン時代に構築された法制。

映画であるあるだが、マフィア組織では縦のラインは外からは見えないようになっており、実行犯の下っ端をいくら捕まえても、その犯人が「自分の意思でやった事。命令されていない。」と出所時の組織内での優遇と引き換えに上部を庇えば、組織のトップには司法の手が届かない。

これはその問題を解決するための法制で、「大きな目的」のために様々なプレーヤーが違う手口で動いていても、上から下まで1つの組織としてトップを引き摺り下ろせるというもの。検事にとっては金塊、弁護人にとっては悪夢の法制。

今回の起訴における検事、ジョージア州フルトン郡検事ファニ・ウィリス(私はファニ美と呼ぶ)はRICO法のプロ。

いけ!ファニ美!

元々は対マフィア用の法律だがホワイトカラー犯罪など他のエリアにも使われる。トランプとその一味は「選挙結果を覆し、トランプを大統領にキープする」と言う大きな目的の為に犯罪行為を働く1つの団体として機能していた、という訳だ。

有罪となれば下っ端は個々の小さい犯罪を犯す事で大きな犯罪に関わった、とのことで単体で裁かれるよりキツい量刑が待っている(例えば実際やった違法行為は不法侵入だけだったのに、RICOで紐付けされて政府転覆未遂になっちゃった、とか。)

有罪が決まれば5−20年の禁固刑。量刑の最小値は5年と決まっていて、執行猶予の可能性無し。陪審員が有罪無罪を決め、判事がその後量刑を決めるのが流れだが、RICO法での量刑は判事の采配のレンジが小さい。有罪なら最低5年。執行猶予なし。これ絶対。

なので、下っ端が「俺そこまで悪い事してねーのに、割りに合わねーや。」と上部を裏切り司法取引に応じ口を割るケースが多い。ファニ美はそれも狙ってるかも、との事。

19名をいっぺんに裁判所に並べて裁判すると言っていて、陪審員にその犯罪の全貌を把握させる為裁判は長引くだろうとの事。先日起訴状が公開された連邦司法局のジャック・スミスによる起訴とは対照的なスタイル。スミス検事は、被告人はトランプ一人、罪状はたった4件で、シンプルに鋭利にまとめてあり、様々な法専門家が「エレガント」と呼んでいた。詳しくはこちら↓


それには理由がある。

来年の大統領選、もしトランプが勝ってしまえば、大統領の権限でジャック・スミスを首にして「この裁判なしー!」ってできちゃうのだ。だからスミスは大統領選の前に裁判を終わらせたい。時間がないのだ。

一方今回の起訴は州レベル。米国は合衆国なので州1つ1つがミニ国家。連邦(大統領)の州へのアクションには限りがある。大統領に州検事を首にする権利は無い。しかも有罪判決後も連邦案件なら大統領は自らを恩赦できるが、州の有罪者は無理。州の恩赦は通常知事がやるものだが、ジョージア州は珍しくそれも無い。恩赦・仮釈放委員会、が決めるそう。そしてそれも判決後5年後からしかできない。

なのでファニ美は思う存分仕事ができる。大きくドバーっと風呂敷を広げて、キュっと一網打尽にできるわけだ。

「大きな目的」達成のための5つの企画

ファニ美は一味の活動をざっくりと5つのカテゴリーに分けた。

1。ジョージア選管(行政)や議会への選挙結果改竄せよとの脅迫

あの有名な「1万千票見つけりゃいいんだよ。」。トランプが州務長官に直接電話したヤツ。他にも州下院議員に同様の脅迫をしたり、上院に選挙結果を変えろとの書簡を送ったり。

2。フェイク選挙人

大統領選挙では州の一般投票の結果を受けて、州ごとに数が決められている「選挙人」(ジョージア州は16人)が代理で連邦に行って「ジョージア州の分はXXに入れます」と形式上の投票をする。ジョージア州はバイデンが取ったので、16票ジョージアから入るわけだが、その選挙人を手下にすり替えて勝手に「トランプに入れます」とやらせようとしていた。

ジョージア州共和党チーフ、コーフィ群共和党チーフや、州上院議員(もちろん共和党)もこの企画に参加して被告人となっている。

3。連邦司法局内の仲間から「お宅の州で不正あったっぽい」と嘘の手紙を送ろうとしていた

4。証言者(選管職員ルビー・フリーマンとシェイ・モス)への圧力

普通に集計作業をしていた黒人母娘のカメラ映像を「ほら!USBみたいなの渡してる(実際はただのミント)!こいつらは不正をしている!」とジュリアーニがネットでまくしてたてた。右派による二人へのハラスメントは常軌を逸し、自宅に人々が脅迫に現れるようになる。二人の生活はめちゃくちゃになった。

その後「不正があったと言え。でなければ刑事起訴されるぞ。(←嘘っぱち)」と言う元警察官や、元カニエ・ウエストパブリシストが寄って来た。嘘の証言をしろと言うのだ。二人は応じなかった。証言で「米国大統領に攻撃される気持ち、わかりますか。私は一国民です。大統領はすべての国民のためにいるのでは無いのですか?」と泣いていた。

証言する選管職員シェイ・モス

5。コーフィ郡での集計データ違法アクセス

シドニー・パウエルや、地元共和党員がコーフィ郡の集計機の部屋に勝手に侵入。有権者の個人情報含む集計データをコピーしていたと言う。これは今回の起訴で初めて詳細が明らかになった。連邦局もこれには言及していなかった。どストレートに犯罪だろこれ。



ファニ美、容赦なし

被告人は十日後の25日までに出頭する事、と会見でファニ美は言っていた。なんと期限までに出頭しなかった場合のために逮捕状も出ているらしい(!)。

トランプを呼びつける時は議会でも裁判所でも、いくら期限を無視されても「召喚状」くらいがせいぜいだったのに、逮捕する気らしい。かっこいいぞ!ファニ美!!

そして、保釈金は幾らに設定されるのか、大体保釈はされるのかもこれから数週間で分かるだろうとの事。その間にまたトランプが自身のSNSやラリーなどで、この裁判の証人への暴力を促すような誹謗中傷を言えば、容赦無く保釈無しになるような感じ。

フルトン郡保安長官「マグショットの準備もできてます❤️」

「元大統領、とか、関係無いからね❤︎」


マグショット、ってこういうの(これはフェイクですよ!)

このジョージアの裁判は連邦起訴案件と違い、確実にTV放映がされるだろうとの事。元大統領、元ホワイトハウス長官、連邦司法局員、共和党リーダー、ズラーっと首揃えて、被告席に。凄い絵になるな。


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