「GEMS COMPANY」というアイドルについて
※記事中の写真はBRKS様の記事を使用させていただきました。
https://www.barks.jp/news/?id=1000226967
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GEMS COMPANYというアイドルグループがいる。
私はアイドルデビューする前から少し見ており、デビュー時からお仕事として関わらせていただいていましたが、今となってはただの応援するおじさんに成り果てている。
そんなGEMS COMPANY。天下のスクエニがプロデュースするアイドルということもあり、1stソルジャーみたいなデカい剣でも持っているのか、はたまた「ゆうしゃ」を名乗って硬い装備で身を包んで悪を滅ぼすのか、と思っていたのだが、デビューしたメンバーはそれぞれの将来を夢見る普通の女の子だった。
そう、普通の女の子だった。
GEMS COMPANYはデビューしてからは順風満帆というわけではなかった。これはネットという主戦場での戦い方については独特なノウハウやキャリアが必要だったし、数年前からは感染病の蔓延から思うような活動ができなくなっていったというのも大きな影を落としただろう。事実、先日行われた4th LIVEでのMCでは、「正直、ネガティブになる時期もあった」との発言もあった。
5年目の活動。若い女性における5年は非常に長いものだ。
その中で生き方を模索し、中には「卒業」という選択をしたメンバーもいた。様々な背景があっただろうし、卒業後に待っているものも想像することしかできないが、それぞれ決して平坦な道ではないのだろう。
そんな背景を背負って、GEMS COMPANY 4th LIVEで新曲がお披露目された。
GEMS COMPANYは基本明るく楽しいエンタメを模索しており、事実近年リリース曲はLIVEでのノリやコーレス、ダンスを意識したものが数多くリリースされていた。しかし、会場を包んだのはスローなバラード曲。完全新曲のため驚くファン。聞き慣れない歌詞に交じる別れの言葉。
歌詞をよくよく紐解けば恋愛的な意味を持つラブソングだが、これは卒業メンバーに言葉の意味を重ねてしまうファンもいただろう。
精一杯かじりついて、見届けた先にあったのは、鳴り止まない拍手。
観客が声を出せないLIVEでの、ファンができる目いっぱいのリスペクトだ。
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思い返せば、卒業メンバーの最後の配信は、それぞれ明るく別れを伝えていた。涙ぐんだり、鼻をすするようなこともなかった。極めて明るく、それぞれの個性を発揮したお別れをしていた。
でもそれは、本心だったのだろうか。
残されたメンバーは、我儘を言ったり、強く引き止めなかったのだろうか。
我々ファンからはわからない、なにかドラマがあったのかもしれない。
しかし知る術はない。知るのはPDFや画像ファイルに書かれている丁寧な別れの言葉。きれいな挨拶。後腐れもわだかまりも何もかもない、推敲された文章。
やはり思う。本当にそうだったのだろうか。
依然、ファンからその部分を知る手段は無い。
しかし、新曲からは考えすぎかもしれないが、その一端が見えたような気が私はしたのだ。
歌詞から感じるワガママ、駄々をこねる子供のような気持ち。
そして色んな気持ちを多分、封印したのだと。
二度とそこを開けない、決意をしたのだと。
4th LIVEの3公演目、「サヨナラノート」を初めて歌い上げたメンバーからは、
普通の女の子
は微塵も感じなくなった。
ステージに立ち、提供する人間としての、普通であることや、いなくなった人や、幼かった自分や、いろんなこととの「サヨナラ」をしたのだなと。
やはり、若い女性にとっての5年は長いのだ。長い期間では強く輝いたり、逆に色が曇ったりすることもある。現在地は、デビュー時に思い描いていたものとは違っていただろう。でも、その期間に詰め込んだ大切な宝石箱を、またステージの上からいろんな形で見せてほしいと強く思ったのでした。