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東南アジアのWeb3ゲームは今でも人気なのか~P2Eゲームブーム後の市場変化を探る~
暗号資産価格の下落により、多くのプレイ・トゥー・アーン(P2E)ゲームが打撃を受け、東南アジアのユーザー数は大幅に減少した。しかし、東南アジア地域は依然としてWeb3ゲームの重要な市場であり続けており、主要Web3ゲームのWebトラフィックの大部分を占めている。
※英語の元記事が2024年7月18日リリースのため、本レポート内の一部表現が最新の情報を反映していない可能性があります
Tiger Research(タイガーリサーチ)は、Web3に特化したアジア最大級のリサーチファームです。Web3企業の経営者から個人投資家まで必読の市場分析レポートを無料でお届けします。
30秒でわかる!本レポートの要点👇
東南アジアでWeb3ゲームが支持される3つの理由は、収入源としての重要性、成功体験の影響力、規制環境の柔軟性
ユーザーへの報酬という根本的な価値により、東南アジアのユーザーは引き続き重要な役割を果たす
Web3ギルドやネットカフェ文化など、地域特有の特徴が市場発展にプラスの影響を与える
はじめに
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東南アジアは、多くのゲーム企業が進出を目指すWeb3ゲームの主要マーケットで、この地域には、Web3文化に馴染みのある若年層が多く、過去のP2Eモデルの人気により、すでに強固なユーザーベースが確立されている。
しかし、暗号資産価格の下落により投資目的のユーザーが急減し、市場の魅力が失われたとの声も聞かれる。このような状況下で、東南アジアのマーケットは依然としてWeb3ゲーム企業にとって優先度の高いマーケットなのか。本レポートでは、東南アジアのWeb3ゲーム市場の現状を分析し、その魅力や機会、課題について詳しく見ていく。
東南アジアのWeb3ゲームプレイヤーは今も多いのか
暗号資産市場全体の価格下落により、東南アジアのWeb3ゲームユーザー数は確かに大幅に減少した。この地域の多くのプレイヤーがP2Eゲームに参加するためにローンを組むほど熱中していたため、金銭的な損失を被り、大規模なマーケット離脱につながった。
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出典:Datawrapper
しかし、この減少にもかかわらず、東南アジアは依然としてWeb3ゲームユーザーの大きな割合を占めている。市場の下降トレンドは否定できないものの、最近リリースされたWeb3ゲームにおける東南アジアのプレイヤーの参加率は高い水準を維持している。実際、過去3ヶ月間の主要Web3ゲームのWebトラフィックを分析すると、フィリピンやインドネシアなどの国々が引き続き中核的なユーザーベースを形成していることがわかる。
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出典:Pixels Discord
また、Webサイトへのトラフィックに加えて、Web3ゲーム「Pixels」のDiscordにおける言語別チャンネルの選択からも、東南アジア地域の人気が見て取れる。上図が示すように、東南アジア諸国からのプレイヤー数は顕著に高く、全体の約53%を占めている。彼らのWeb3ゲームへの継続的な関心と高いエンゲージメント率は、以下の3つの要因によって支えられていると考えられる。
Web3ゲームはまだまだ収入源になる
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東南アジアのユーザーがWeb3ゲームに積極的に参加している主な理由は経済的なものである。Web3ゲームは、今でも実収入を得る機会として捉えられている。例えば、フィリピンの最低日給が約10ドルである一方、P2Eゲームはそれと同等、時にはそれ以上の収入をもたらす可能性がある。
最も人気のあるP2Eゲームの一つである「Pixels」のプレイヤーへの最近のインタビューによると、カジュアルプレイヤーは4〜8時間のプレイで1日約50 $PIXEL(11ドル)を稼ぐことができるとのこと。中級プレイヤーは最大200 $PIXEL(45ドル)、上級プレイヤーは最大400 $PIXEL(92ドル)を稼ぐことができる。トークン価格上昇による追加収入の可能性を考慮すると、これらの収入は東南アジアのユーザーにとって依然として魅力的な水準である。
成功事例の存在
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Web3ゲームに多くの人が参加するもう一つの理由は、P2Eゲームにおける成功事例の存在である。Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)時代の過去の成功体験は、今でも多くのWeb3ゲームプレイヤーに影響を与えている。例えば、若いフィリピン人プレイヤーのAaron Ramosは、Axie Infinityでプレイして稼いだお金で2軒の家を購入したことで有名になった。このような成功事例は、P2Eゲームから大きな経済的利益を得られる可能性を示し、東南アジアのプレイヤーにとって強い動機付けとなっている。金銭的損失のケースの方が多いにもかかわらず、取り残される恐怖(FOMO)が関心を持続させる大きな要因となっている。
比較的緩やかな規制環境
東南アジアではWeb3ゲームに対する明確な規制の枠組みが不足しているが、これは短期的にはマーケットの発展にプラスの影響を与えているようである。この緩やかな規制環境は、ゲーム開発者とユーザーの両方にとって参入障壁を下げ、マーケットの活力を高めている。
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出典:THIS IS GAME
これをさらに理解するために、韓国のケースを見てみよう。韓国では、厳格な規制によりP2Eゲームの運営は事実上不可能である。その結果、P2Eゲームは韓国では違法で収益化が難しいものとして認識され、一般的にネガティブな見方をされている。この対照的な状況が、東南アジアがWeb3ゲーム業界で比較的有利な立場にある理由だ。
東南アジアにおける課題と機会
東南アジアは強固なユーザーベースを持つWeb3ゲーム市場において重要な存在感を示している。しかし、これらの市場にはいくつかの課題も明らかになっている。
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出典:Telegram
トークン・ファーミング(不正な報酬獲得)の問題は、Web3ゲーム業界に蔓延している。この問題はWeb3ゲームに限ったものではない。例えば、最近ベトナムのユーザーが暗号資産取引所Hashkey(ハッシュキー)のエアドロップイベントにたくさん参加したため、Hashkeyはトークン・ファーミングを疑い、ベトナムの電話番号をブロックする事態となった。
ユーザーがトークン・ファーミングに関与していない場合でも、別の問題が発生する。それは、ユーザー自身の動機が過度に報酬に向けられることだ。つまり報酬の価値が低くなったりなくなってしまった場合、ユーザーが継続的に参加する強い動機を失うことである。これは長期的に見て、意味のある貢献者が大幅に減少する可能性があり、エコシステムにとって有害となる。
とはいえ、報酬による動機付けは、Web3ゲームの運営において依然として重要な要素である。報酬に対する感度の高さがWeb3ゲームへの参加を促進し、東南アジアのユーザーは報酬のために投資することを恐れない。必ずしもすべての参加が長期的で健全な動機に基づいているわけではないが、この積極的な参加は、Web3ゲームの新興エコシステムの形成に重要な役割を果たしている。
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これはまた、ゲーム内での課金率の高さにもつながり、ゲーム企業にとってさらに重要な市場となっている。東南アジアは伝統的に購買力が低いことで知られているが、Web3ゲームでは地域からたくさんの積極的な購買行動が見られ、アプリ内課金の取引量が高くなっている。これは特にフィリピンとタイで顕著で、WeMade(ウィメイド)の「Night Crow」と「Mir 4」がそれぞれアプリ内収益で3位と4位にランクインしている。総じて、これらの課題とチャンスは、東南アジアのWeb3ゲーム市場が大きな可能性を秘めた複雑な市場であることを示している。
まとめ
Web3ゲームのモデルは近年いくつかの変化を経験しているが、その核となる価値は変わっていない。例えば、P2Eモデルの即時報酬システムは、Play to Airdrop(P2A)モデルにおける将来のトークン報酬に形を変えた。しかし、これらの変化にもかかわらず、ユーザーに報酬を与えるという基本原則は依然として重要な役割を果たしている。これが、報酬に敏感な東南アジア地域がWeb3ゲーム業界の重要マーケットであり続ける理由である。
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東南アジア市場の魅力は、報酬だけでなく、以下のような複数の要因に基づいている:
1)若年層の多い大きな人口
2)Web3ゲームに対して高い購買意欲を持つユーザーベース
3)Web3ゲーム市場の発展に重要な役割を果たすと期待されるネットカフェ文化とWeb3ギルド
Web3ゲーム市場はまだ初期段階にあり、この時点での東南アジア市場の役割は極めて重要である。この地域のユーザーは積極的に参加し、ゲームの発展に貢献している。Web3ゲームがより多くのストレステストを必要とする中、東南アジア市場は大規模採用のためのテストベッド(実際の環境に近い状況を再現できる試験用環境)として機能している。安定的なユーザー獲得に関して短期的な課題があるかもしれないが、これはWeb3ゲームのさまざまな要素を検証し改善する機会を提供している。
結論として、東南アジアはWeb3ゲームにとって引き続き魅力的な市場である。Web3ゲーム企業は、成長と発展を達成するために、この地域特有の特徴を理解し活用する必要がある。
※本レポートは、タイガーリサーチがSubstack上で発信する英語の記事(2024年7月18日公開)を翻訳し、一部編集したものです。
※最新の英語のレポートについては、以下リンクよりご確認ください。
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