💰機関投資家のビットコイン投資：今、買うべき？（前半）

Tiger Research（タイガーリサーチ）

2025年2月3日 20:51

本レポートは、ビットコインの投資資産組み入れに関してアジアのトレンドに特に焦点を当てながら、グローバル市場における機関投資家の投資戦略とコーポレートファイナンスへの影響を分析したものである。

30秒でわかる！本レポートの要点👇

ビットコインの分散型システムとインフレ耐性は、機関投資家が経済的不確実性に対するヘッジと長期的な価値保全を実現する手段として注目されている
機関投資家によるビットコインの購入は市場への信頼とイノベーションを示す一方、売却は利益確定や資金流動性の管理を可能にする
アジアにおいてビットコインを投資資産として組み入れる動きや、エルサルバドルや米国などの政府による戦略的資産として認める動きは、グローバルな経済戦略におけるビットコインの影響力の増大を浮き彫りにしている。

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1. 🎯はじめに

ビットコインは、金のような伝統的な安全資産とは異なる特徴を持つ新たな投資資産として注目を集めている。その分散型システムとインフレ耐性は、機関投資家の資産運用戦略に新たな可能性をもたらしている。

ビットコインの利点を戦略的に活用している機関投資家の代表例として、MicroStrategy（マイクロストラテジー）が挙げられる。同社はビットコインを効果的に活用してインフレリスクを管理し、財務基盤を強化している。この成功は、世界の企業や金融機関に投資戦略の見直しを促すきっかけとなった。

しかし、ビットコイン投資はすべての機関投資家に適しているわけではない。ビットコインの購入は注目を集めることが多いものの、多くの企業が静かに保有分を売却している。本レポートでは、機関投資家がビットコインに投資する理由、さまざまな機関投資家における売買判断に影響を与える主な要因、そして類似の市場環境における機関投資家の戦略を分析する。また、企業の投資資産としてのビットコインの地位が高まるなか、アジア市場の視点と対応戦略についても分析する。

2.💡投資資産としてのビットコイン：概念とメリット

債券、金、外貨などの投資資産は、従来、リスクヘッジや経済的不確実性における価値保全の手段として機関投資家に重視されてきた。ビットコインは戦略的な投資資産として台頭し、債券や金などの伝統的な資産に代わる効果的でインフレに強く、収益性の高い選択肢を機関投資家に提供している。2,100万枚に固定された供給量は希少性を確保し、長期的な価値保全の魅力的な選択肢となっている。

2.1. 📈 インフレヘッジとしてのビットコインの役割

ロドリゲスとコロンボによる2024年の研究「Is Bitcoin an Inflation Hedge?（ビットコインはインフレをヘッジできるか？）」では、米国消費者物価指数（CPI）や個人消費支出（PCE）データなどの主要経済指標を用いて、過去10年間のインフレ圧力に対するビットコインの反応を分析している。研究結果によると、インフレショックの後にビットコインのリターンは大幅に増加することが示されている。ただし、この効果は価格指数（主にCPIショックに対して有効）に依存しており、機関投資家による投資資産への広範な組み入れ前の初期段階でより顕著であった。これは、ビットコインのインフレヘッジ能力が状況に依存し、投資資産への組み入れが進むにつれて低下する可能性があることを示している。

2.2. 📊 投資資産としてのビットコインの収益性

2024年、ビットコインは年初来約127%のリターンを記録し、同期間に27%上昇した金や約24%上昇したS&P500を大きく上回る成績を収めている。

しかし、機関投資家の投資資産としてのビットコインの価値は、投資収益率だけにとどまらない。債券などの伝統的な投資資産は、取引時間が制限され、複雑な取引手続きを必要とするため、金利の変動や市場ショックへの迅速な対応が難しい。

これに対し、ビットコインは国境や時間帯に制限されないグローバルな流動性を提供し、24時間365日のリアルタイム取引が可能だ。特に、どの国でもビットコインを即座に現金化できるという、高い流動性は、従来の金融資産とは一線を画す特徴である。これらの特徴により、機関投資家は効果的な資産管理と市場環境への対応が可能となる。

高い収益性と実用性を併せ持つビットコインは、機関投資家のポートフォリオにおいてますます重要な投資資産となることが期待される。

2.3. 🎯 アテンション・エコノミーのレバレッジとしてのビットコインの影響

Nasdaq（ナスダック）に上場している企業数は3,300社を超え、世界の上場企業数は数えきれないほどに増加している。その結果、優れたファンダメンタルズだけで投資家の注目を集めることがますます難しくなっている。企業は市場での認知度を高めるため、マーケティングに多額の投資を行っている。

このような市場環境において、ビットコインは追加的なプロモーション効果を生み出している。ビットコインを保有する上場企業は少数であり、ポートフォリオの分散戦略の一環としてビットコインの購入を発表するだけで、大きな注目を集めることができる。

このようなメディア露出は、企業のブランド価値を高め、個人投資家の関心を引き、革新的で先見性のある企業としてのイメージを強化するなど、複数のポジティブな成果をもたらしている。ビットコインは資産価値の向上だけでなく、企業価値の向上にも貢献している。

後編では実例を元に機関投資家およびアジアにおける売買行動について説明しよう。

※本レポートは、タイガーリサーチがSubstack上で発信する英語の記事（2025年1月2日公開）を翻訳し、一部編集したものです。
※最新の英語のレポートについては、以下リンクよりご確認ください。

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