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その経営指針は実現可能か

「経営指針」は、会社が目指す方向を定めたものです。「経営理念」から始まり、経営の目的と目標を合わせた「経営方針」「経営戦略」「経営計画」「収益計画」といった経営全体の方針を包括するもので、これらを総称して「経営指針」と呼びます。

指針は、文字通り会社が進むべき方向を示すという意味で、会社がどこに向かうのかを表すものです。言わばコンパスのようなもので、社長以下、会社の組織全体は指針を頼りに経営していきます。

どれだけ立派な「経営理念」を掲げていても会社が進むべき道筋が明確になっていなければ、そこに到達できないことは言うまでもありません。大切な従業員で構成される組織が迷わないようにするには、進むべき方向をハッキリ示し、その上で具体的に何を目指し、何を行っていくかを決める必要があります。

ところが、この経営指針が漠然としているケースを見受けます。実際に作成した経営指針を拝見することがありますが、書かれている内容は、理想的な願望ばかりが羅列されていることが多いのです。

何故、こうなってしまうのでしょうか。そもそも経営者が経営の基礎を知らないからです。基礎を知らないので、これまでの経験や勘、フィーリングに頼ってしまい、自社都合で好きなように作成しているのです。

「この経営指針は実現可能ですか?」と尋ねると無言になってしまう経営者は少なくありません。理想は、大変尊いことです。経営者が理想を経営の仕組みとして実現可能にすることは更に尊く重要な任務でもあります。

経営は自社都合ばかりでは決して思うようにならず、市場(お客)・競合との3者の関係(ポジショニング)で成り立ちます。よって経営者は、こららの経営戦略の基礎知識を知ることが大切です。

車を運転するにも運転免許が必要です。経営者にも経営する免許がいることになります。これまで市場が拡大していた時期は、誰が経営しても(無免許でも)利益が出ました。今はそのような時代ではありません。経営理念を実現する科学的根拠を持った明確な経営戦略のもと、全社一丸体制での果敢な挑戦が求められます。

経営理念を具現化する戦略は何か。この戦略を実現する戦術はどうするのか等、経営者は、経営指針をつくることに満足するのではなく、その中身の根拠と整合性が不可欠です。

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