社内事業化提案コンペの危険度診断 ver.1.0
最近は既存事業で売り上げ向上が望めず、社員に向けてアイデアを募集するようなコンペが開催されることも珍しくありません。今回はそういった社内事業化提案コンペから本当に事業化につながるアイデアが生まれそうか?について簡単に診断したいと思います。
タイトルはキャッチーにするために危険度診断と銘打ってみましたが、そういったコンペを否定的に見ているつもりはありません。やるからやらないかでは、やった方がいいものです。ただ、提案者としては行き詰った際に、自身の力量不足が問題なのか、運営に問題があるのか悩むこともあると思いますので、その目安として参考して下さい。また運営側の方は、自身の主催するコンペの妥当性を確認してみてください。
社内事業化提案コンペの危険度診断
以下の質問に対して「はい」がいくつあるか数えてください。
1.提案テーマは自由で特に制約はない
2.提案活動は原則に業務時間外に行う
3.(ある程度認められた段階で)提案活動を既存業務と並行して業務時間中に行うことが出来る。
4.複数の審査員の採点の合計で優劣を決める
5.一部の人間の独断により審査結果に影響が出ることはない
6.審査員に外部の人間はいない
7.提案活動は提案者が主体となり、特に検討を支援する有識者は存在しない。(社外のメンバーと共同で検討もできない)
8.提案に関するプロセスは1年以内のサイクルで問題点を確認し、課題を抽出し、対策を行い改善していく体制になっている
9.過去に事業化した例はない
「はい」はいくつありましたか?気付いたと思いますが「はい」が多いほど事業化は難しくなります。「はい」の数ごとの評価をいかに記載します。
「はい」が0~2個
社内公募としては非常に申し分のない体制です。問題があったとしても、運営側の問題とは考えず、提案者側の努力で解決することを勧めます。それでも納得できないのであれば独立を勧めます。
「はい」が3~4個
社内公募としては提案者にとって比較的恵まれた環境です。積極的に取り組みましょう。
「はい」が5~6個
社内公募としては提案者にとって比較的難しい環境です。運営上の問題にいくつか遭遇することも多いですので、複数年かけて挑戦し続けるような長期的な視点で臨みましょう。
「はい」が7~9個
残念ながら提案者にとって、あまりよい環境とは言えません。提案者側の努力では改善しきれないような場面も見えます。過度の期待はせず、自身の成長のために有効に活用することを考えましょう。
解説
解説 1.提案テーマは自由で特に制約はない
テーマが自由である場合の方が、運営体制が整っていないことが多い傾向にあります。というのも制約がなさすぎるのは、何も考えていないケースが多いのです。新規といっても、新機能なのか?新商品なのか?既存顧客に新商材を売り込むのか?新規顧客に既存製品を売り込むのか?会社にとって新規であればそれでいいのか?とスコープが違い、実現するためのハードルも大きく変わります。本気で事業化を支援しようと考えた場合、そのハードルを考え何らかの制約が生じる方が現実的です。そのためテーマは何でもありと制約が特にないコンペは注意しましょう
解説
2.提案活動は原則に業務時間外に行う
3.(ある程度認められた段階で)提案活動を既存業務と並行して業務時間中に行うことが出来る。
提案活動が勤務時間外にしか出来ないような体制では提案者も集中できません。また業務時間中に提案活動が認められたとしても、既存業務を抱えたままならそれもまた不十分でしょう。理想は100%提案活動に集中できる環境が用意されることです。
解説
4.複数の審査員の採点の合計で優劣を決める
5.一部の人間の独断により審査結果に影響が出ることはない
新規提案で大変なのはよいアイデアが提案されるかだけではなく、よいアイデアが正しく評価されることです。そもそも社内でこのようなコンペが発生するのは、既存事業がぱっとしないからです。そのような中で、人が集まって多数決で順当に評価していたのでは新しいものは生まれてきません。むしろ価値観を覆すような新規アイデアは最初は一部の人にしか評価されませんので、多数決でなく、一部のメンバーの独断と偏見で先に進めた方が成功する可能性があります。良いか悪いかは、形にして市場で決めてもらうぐらいの方がいいのです。
解説 6.審査員に外部の人間はいない
先ほども言いましたが、社内コンペが発生するのは既存事業がぱっとしないから、従来の審査プロセスに問題があるためです。外部の人間を入れることが非常に有効で、それがされていない状態では大きな変化はなく、危険といえるでしょう。
解説 7.提案活動は提案者が主体となり、特に検討を支援する有識者は存在しない。(社外のメンバーと共同で検討もできない)
提案者だけでは考えがなかなか進まないものです。一方的に提案者に丸投げせず支援される体制であるかないかは評価するうえで重要なポイントの一つです。また、社外から共同提案者も受け入れられないような場合もマイナスです。
解説
8.提案に関するプロセスは1年以内のサイクルで問題点を確認し、課題を抽出し、対策を行い改善していく体制になっている
9.過去に事業化した例はない
プロセスの悪いところを抽出し改善する、というと素晴らしい仕組みのように見えますが、新しいことに取り組むということは、そもそも正しい計画を立てることが難しいものです。細かく修正していくと、最初の正しいかどうかわからない計画に縛られすぎてしまいます。どちらかといえば自由にやって、うまくいったときに初めてプロセスとした方が効率的な場面も多いためこのような設問を設けました。
以上が解説になります。あくまで目安であり、絶対的なものではありませんが、それぞれの解説を見ながら、確認していただけると幸いです。
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