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セカンドチャンス by アニー ⑵

ナレーション:アニー🐶

前回はみなしごのアニーが、工場から新しい飼い主に引き取られ、なかなか馴染めずに辛い思いをしたこと、それが大勢の猫が自由気ままに生きている様子を見て、少しずつ打ち解けていった辺りを読んで頂きました。


ある時隣の家の人がやって来ました。隣の家は別荘のようで持ち主はたまにしかやって来ませんでした。でもやって来ると、このご夫婦は私をとても可愛がってくれました。彼らも大きな犬を飼っていましたが、この犬も全然意地悪ではありませんでした。ご夫婦はいつも私を「アニーちゃん」と言って可愛がってくれ、私が彼らの家の周りをうろうろしても、ちっとも怒りませんでした。私は彼らの車の横でよく昼寝をしました。私の飼い主は訝しそうな顔をしていましたが、私はこのご夫婦がやって来ると彼らの車のそばにいるのが好きでした。

そうして私はこの新しい家もまんざらではないな、と思うようになりました。たくさん動物がいるし、繋がれていなかったので退屈しませんでした。お隣さんも時々やって来るし。それに間もなく、私は近所にボーイフレンドを見つけました。

私はボーイフレンドとつるんでよく遊びに行くようになりました。でもある日飼い主に見つかって、それからはまた繋がれてしまいました。実際には繋がれたのではなく、家の玄関の中が私の居場所になりました。この家の玄関はやたら広く、普通の家の4畳半ほどあります。そこに犬小屋やペットカーペットなどを入れてもらいました。私は子供の時吠えるととても叱られたので、ここでも決して吠えませんでした。

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4.  赤ちゃんがた、たくさん!
I Became A Mother!


やがて私はやけにお腹がすくようになってきました。でも飼い主はそれに気づかず、食事はいつもと同じ量しかくれませんでした。すると今度はお腹が大きくなってきました。それから数週間後の12月のある寒い日に、私は6匹の子犬を出産しました。

子育てはとても大変でした。飼い主もいろいろしてくれようとしましたが、なんとなく的を得ずにおろおろしているだけでした。私の赤ちゃんたちはとてもよくミルクを飲み、元気ですくすく育っていきました。玄関は寒いので和室を一つあてがってくれ、その中にベビーベッドを置き、彼らが働いていて目が離せない時は、子犬はベビーベッドの中か、私と一緒にいました。私が散歩に行くと子犬が鳴き出してしまうので、私は家を出て数メートルのところで家に引き返そうとしました。でも子犬の鳴き声は人間には聞こえないようでした。私がどうしてショートカットをして帰ろうとするのか、しばらく理解できないようでした。

子犬が歩けるようになってくると、私の後を家中付いて回るようになりました。これにはいささか私も閉口してしまいました。なんといっても6匹が全員、どこへ行こうと追いかけて来るのです。私はこの頃は玄関や和室だけでなく、家中をほとんど自由に使っていました。この家では家の中に入っても怒られなかったのです。大きな家の長い廊下をぞろぞろと行ったり来たり。でも飼い主は何も手伝ってくれず、大きなカメラみたいなものを肩に背負ってじーっとしているだけでした。

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子犬はやがて一匹ずつもらわれていきました。初めに来たのは優しそうな人達で一家全員、赤ちゃんもおばあちゃんも一緒に、私の子供を可愛い、可愛いと言ってもらっていきました。

次に来たのは最初に来た人達の近所の人ということで、もらわれていった私の子供を見て、うちももらおうということになったらしく、こちらもまた一家全員でやって来ました。とても優しそうな人達だったので私の子供も幸せになったでしょう。

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次の2匹は飼い主の知り合いの人にもらわれていきました。そして残った2匹がしろみとタルトです。しろみは茶色の中の一匹だけの白い犬ですが、その名を聞いて聞き返さない人はまずいません。しろみにぴったりのグーフィーなサウンドで、雪のような白さでなく、卵の白身の色が由来です。タルトは文字通りお菓子のタルトの色をしています。私達3匹はよく一緒に遊びました。そして3-4か月経った頃でしょうか、タルトももらわれていきました。

タルトの新しい飼い主は忙しい人だったため、出かけている間よくうちへ遊びに来ました。タルトの飼い主が出張の時はお泊りもしました。しろみとタルトは共謀して、家の中のいろいろなものを壊したり噛んだりしていました。特に飼い主が寝ている間にめがねを盗むのが好きでした。

しろみは結局もらわれることなく、この家の子となりました。そしてそのわがままで末っ子的な性格から、いつの間にか家族の中心になっていきました。しろみは私にも飼い主にも甘え、また私と同様に猫が大好きだったので、次の犬のデュークがやって来るまではとても幸せだったと思います。

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そして間もなく、この楽しい家にも別れを告げることになります。でも今度は全員一緒に引越しだったので、私はその点では不安ではありませんでした。ただとても遠い所へ引っ越して来たのです。飼い主はここをアメリカと呼んでいます。

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次回:犬と猫と人間の民族大移動を経て、アニーの冒険は続きます。どうぞお楽しみに!




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Felicia(フェリシア)
もしもサポートを戴いた際は、4匹のネコのゴハンやネコ砂などに使わせて頂きます。 心から、ありがとうございます