「Link!Like!ラブライブ!」の楽曲ジャケットに使われているフォントを調べてみた話
※前置きと概要が長いためお急ぎの方は飛ばしてご覧ください。※
蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさん、はじめまして。
塩倉丁香と申します。
普段は140文字SNSにて二次創作イラストを描いています。
突然ですが、みなさんがCDジャケットを見た時に最初に目に付く部分はどこですか?
超絶可愛い推しの顔でしょうか。
ライブチケットのシリアル有無でしょうか。
拘りのコピーが踊る帯でしょうか。
帯は発売順に並べると糸が繋がる表現があって拘りと遊び心が素敵ですよね。
さて、私の場合最初に目につくのは「デザイン」と「楽曲タイトル」です。
CDのジャケットデザインはそれそのもので楽曲の世界観を表していることがありますが、蓮ノ空のジャケットデザインは特にそれが顕著に現れていると思っています。
今回はその中から「楽曲タイトルのフォント」「ジャケットのデザイン」に焦点を当てて自分なりに咀嚼してみたので備忘録ついでにまとめてみようと思います。
◆注意
・内容全般にアプリ「Link!Live!ラブライブ!」及び「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」の活動に関するネタバレが含まれますのでご留意ください。
・多大な主観が含まれます。
使用されたフォントと装飾のデザインにこじ付けて冗長な私見を垂れ流しますので使用フォントのみ知りたい方は画像とキャプションだけ見ることをおすすめします。
・筆者はグラフィックデザイン、及びフォントが好きですがめちゃくちゃ詳しいというわけでもありません。
楽曲タイトルの再現をもって間違いを減らそうとはしましたが、間違っているフォントを紹介してしまう可能性がある点、ご了承ください。(そして詳しい方はこっそり耳打ちしてください)
・フォントが分からなかったものに関しては(目次のリストにない曲)今回の記事に含まれておりません。
後から判明した場合サイレントで修正を行うかもしれません。
再度になりますが詳しい方は筆者にこっそり耳打ちをお願いします。
◆概要
さて、長々とした前置きが済んだところで概要のお話です。概要も長いんですけどね。
今回調べたのはスマートフォン向けアプリ「Link!Like!ラブライブ!」内で楽曲ジャケットに使用されているフォントについてです。
こちらは「Learning Live」で確認することができます。前置きで「CDジャケット」って言ってたじゃねぇか!という言葉が聞こえてきそうですが、商品として販売されているCDのジャケットに使われている文字は所謂「作り文字(既存のフォントではなくそれ専用に新規で作り出された文字)」が多い点、表題曲しかタイトルが載っていない点の二点から「フォントを調べる」という趣旨を逸脱してしまうため今回はこちらで進めさせて頂きます。
上記のような画像でフォントを見ていただいた後に私見を述べる形を取らせていきます。
「デザインした人多分そこまで考えてないと思うよ」は禁句です。
また、使用フォントが有料のものであったりで筆者のPCに入っていない場合は再現とベタ打ちの部分が不記載となります。
筆者はAdobeのみ契約しているのでAdobefontが使えるのみ。モリサワやフォントワークスのサブスクには入ってないのでその辺りの再現は難しいです。
前置きと概要でとてつもなく長々と尺を取ったのでそろそろ始めて行こうと思います。
◆楽曲リスト
Dream Believers
概要で「販売されている〜」とか言いつつ早速です。
販売されているCDの表題曲についてはCDのジャケットデザインが流用されているため、フォントがわかったものに関しては扱うものとします。
こちらに使用されているフォントは恐らく「Parisian」というフォントにシアー(傾き)をかけたものじゃないかと。あるいは「Parisian」ファミリーの中に元々シアーがかかったものもあるのかもしれません。正直一発目から自信がない。
これから始まる期待と不安が、それぞれ繊細なラインと力強いラインで表現されていると思いました。
「D」と「B」にはオリジナルのフォントには無い縦に二本の装飾線が入っています。
フォントを装飾するように施されたグラデーションですが、104期Ver.は「抱きしめる花びら」の衣装の色から104期生の制服リボンの色に切り替わってるようにも見えます。筆者だけかもしれませんが。
On your mark
極太のステンシルフォントです。
「位置について」が指す通り、陸上競技のトラックが描かれていますね。
「Dream Believers」と打って変わり無骨で力強く、飾らないところが楽曲にとてもマッチしているように思います。
直線的でありながら随所に曲線が絶妙なバランスで織り交ぜられていていて迫力と可愛さを感じます。Oとかコーヒー豆みたいじゃないですか。
このフォント自体に限定をせずステンシル体全般に関しての話になるのですが、戦闘機などのミリタリー関連で多く見かけるほか、変わったところだとゆりかもめの旧駅名標に使われていたみたいですね。
引用元を記載する際に気がついたのですがアプリストア内の登録名は「蓮ノ空スクールアイドルクラブ」なんですね。関係ないですが。
永遠のEuphoria
やっと概要で提示したフォーマット通りに説明することができます。
大部分はモリサワというフォントメーカーから発売されている「リュウミン」というフォントです。書きながら気が付きましたが、「の」だけ別のフォントかもしれません。
モリサワがスタンダードとしている明朝体フォントで、街中やwebのいたるところで見ることができます。
というか多分このフォントが目に入らない日はないのでは、というほど明朝体ではデファクト・スタンダードになっています。
アニメ「アイドルマスター」のサブタイトルにも使用されていたとか。
フォントデザインについてですがやはり目を惹くのは「永遠」の文字と、絡み合うように文字詰めされた英字部分でしょうか。
永は左に、遠は右に、それぞれ一画が引き伸ばされた線で「永遠」を表現しています。
英字部分は重なりと配置が流れを作っていてとても綺麗ですね。
また、柔らかな朝焼けの空から浮かび上がるようなグラデーションがこの曲から感じる郷愁を一層引き立ててくれるように感じます。
DEEPNESS
筆者は英字フォントに疎すぎるため正直フォントではないと思っていました。使用フォントは二種類の図形で構成された「BD Brick」です。
「DEEPNESS」がEDM調の楽曲であることを知っていればフォントの形がオーディオのレベルメーターのようにも見えてくるのではないでしょうか。
ジャケット全体で見ると、所謂「サイバーパンク」風の色味のネオングラデーションが全体的にかかることで電子音楽っぽさをより高めているように思えます。
最後に、ジャケット中央を走るメンバーカラーライン。
曲の成り立ちの経緯、ストーリーを4本の線で表現しきってます。脱帽。
Yup!Yup!Yup!
直線的なデザインが特徴のアール・デコ調のフォント、「Broadway」です。
産声を上げてから100年が経とうとしている歴史あるフォントのため見る機会もそこそこあるのではないでしょうか。
有名なところだとナムコからリリースされたゲーム「MAPPY」のパッケージロゴに使われています。
太い線と細い線のメリハリが特徴的で、使い方によっては多少かっちりとしたデザインにもポップなデザインにも使える秀逸なフォントです。
「Yup!Yup!Yup!」に吹き出しがついているのが呼びかけに応じているようでとても可愛らしい。
キャッチーな曲調に違わず、カラフルでポップなジャケットデザインですね。
明日の空の僕たちへ
使用フォントは大部分が「源ノ明朝」、「の」及び「ち」の文字は「V7明朝」を縁取ったものだと思うのですが正直かなり自信がありません。「調査してみましたが分かりませんでした!如何でしたか?」
「源ノ明朝」「V7明朝」が使われていると仮定した上での話ですが、「源ノ明朝」はAdobeとGoogleの共同開発によって生まれたフォントファミリーです。
クセがなく、どこまで行ってもシンプルな明朝体という感じのフォントで、開発されたのも近年なのでWeb媒体でよく見かける気がします。
ガッシュで描かれたような茜の空に縁取りと光彩のみの文字が美しい、どこか儚さを感じるジャケットアートですよね。素敵。
Legato
「Bickham Script」は筆記文字を再現した「スクリプト体」のフォントです。「途切れずなめらかに」という曲名の示す通りすべての文字が絶えず繋がっています。
スクリプト体は大きく分けてフォーマル・スクリプトとカジュアル・スクリプトに分類されるのですが、こちらは前者のフォーマル・スクリプトです。格調高く優雅な印象を与えることから招待状や卒業証書にも使われることがあるとか。103期3月度Fes×LIVE@蓮華祭(After)という103期ラスト、普段と比べフォーマルな舞台で披露されたこの曲も、ある意味では先輩方に宛てた卒業証書なのかもしれないですね。
ジャケット全体を俯瞰して見れば、五線譜がどこか前述、「On your mark」の陸上競技トラックに繋がるように見えてくるのがとってもにくい。脱帽。
Trick&Cute
「視覚デザイン研究所(VDL)」のメガ丸です。
「明日の空の僕たちへ」で少し触れたV7明朝もVDL制作のフォントです。
メガ丸の特徴はフォントメーカーも明言していますが、そのアンバランスさと丸みです。
まるでキャンディやネオン管のような丸みとどこかトリッキーさを感じるアンバランスさがハロウィンをモチーフにした楽曲にピッタリな気がします。
ジャケット全体で見るとハロウィン要素を詰め込んだイラストいっぱい!真ん中にネオン調の文字ドーン!でお菓子のいっぱい入った箱をひっくり返したかのような賑やかさと可愛らしさがありますね。
365Days
「MetroScript」、また出てきました。スクリプト体です。
「365Days」の文字だけでは分かりにくいですがこちらは少々カジュアル寄りのスクリプト体ですね。
365Daysのリリックビデオでは1番のAメロ歌詞が方眼紙のような装飾と共に出てくるため「キミ」に向けた手紙、とも読み取れるのでこちらのアートワークにもカジュアル寄りのスクリプト体が採用されたのではないか、と推測。
(ちなみにリリックビデオAメロ歌詞は「えり字」というフリーフォントの変形だと思います。リリックビデオのフォントを調べるのもそのうちやりたいですね。)
ジャケット全体に関してはもう何も言いません。
最高。その一言に尽きます。
Bloom the smile,Bloom the dream !
記事公開後の追加になります。
Bon Vivantという欧文フォントです。
恐らく分類はスクリプト体になるのでしょうが、前に出てきた2つのスクリプト体と比べるとより手書きっぽさが強調されたフォントです。
曲名や歌詞にもある「蕾」はとても繊細であるけれどやがて開いて大輪の花となるものですよね。
このフォントはウエイト(文字の太さの事を言います)自体はとても繊細です。ただ、ストロークの跳ねがダイナミックなため確かな存在感があり、繊細さと力強さが両立してるフォントだと感じました。(こじつけ感が一際強いですが…)
◆まとめ
さて、ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました。
「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」はアプリだったりリリックビデオだったり、ライブだったりetc…様々な形で供給されるコンテンツですがその一つ一つに伏線や小ネタが仕込まれている等、制作側の並々ならぬ拘りを感じます。
そのためこういった細かい箇所にも意図があるのではと思い今回、フォントを調べてまとめるという記事を備忘録的に作成したのですが非常に楽しかったです。
今後も楽曲はたくさん増えいていくでしょうし、この記事は随時更新していこうかと思います。また、今回は全体曲に絞りましたが各ユニットの楽曲についても調べる作業を始めているため、まとまり次第順次記事に起こしていこうと思っています。
興味があればまたぜひ覗きに来ていただけますと幸いです。
それでは。