「Link!Like!ラブライブ!」の楽曲ジャケットに使われているフォントを調べてみた話 〜スリーズブーケ編〜
蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさん、はじめまして。
塩倉丁香と申します。
前回記事は大変多くの方に読んでいただけたようで、「今日の注目記事」に載ることが出来ました。
この場を借りてお礼申し上げます。
今回は前回同様、「Link!Like!ラブライブ!」の楽曲に使われているフォントまとめ、スリーズブーケ編です。
概要及び注意事項は前回記事と同様になりますので割愛させて頂きます。
なんのこっちゃ、という方は是非前回記事をご覧いただけますと幸いです。
なお今回はフォント自体は判明したものの、自分の作業環境にないフォントが多かったためサンプル文字の記載がないものが多く存在します。
フォント名でweb検索すれば大抵のフォントは出てくるかと思いますので元のフォントの形が気になる方はそちらの方法で確認をお願い致します。
長い前置きも煩わしいと思うので早速ですがどうぞ。
フォーチュンムービー
フォントワークス社から出ている「くろかね」というフォントを若干縦に長くなるように弄っていると思います。
どこか温かなレトロ感を感じるフォントです。
「ン」に見られる映写機風の意匠、連続するフィルム一コマのような全体のデザイン、キュンとするような歌詞と曲調にくろかねの持つ独特のかわいらしさとレトロ感がとてもマッチしていると思いました。
話は変わるのですが、フォントのサブスクや購入は基本的に高額になることが多いのですが、フォントワークスは使用用途に応じて厳選したフォントを安価で提供する「mojimo」というサービスを提供しており、この「くろかね」は「mojimo-live」に収録されています。
この記事の特性上、読んでくださっている方の中には創作をされる方も多いと思いますので利用されてみては如何でしょうか。それならばなんでサンプル文字が無いか、というと懐事情が厳しいからです。
謳歌爛漫
DynaFontブランドを展開するダイナコムウェア社の「新篆体」は後述の篆書体の特徴を保ちながら、現代風にアレンジしたフォントです。
篆(てん)書体は古代中国、秦の時代にそれまで各地方で独自に発達していた文字を統一化し生まれたとされ、後の隷書体の元となった古代文字とのこと。
すごく”大雑把”に言うと漢字は甲骨文字→金文→篆書(小篆)→隷書→楷書/行書という変化を辿る(らしい)。
古代中国の文字なんだから見る機会もそうないだろ、と思いがちですが身近なところでは印鑑、郵便切手、日本銀行券、日本国旅券(パスポート)に使われています。複雑な形ゆえ偽装対策になる等の理由があるようですが詳しくは割愛。
「謳歌爛漫」の歌詞には
「ひらひらと舞い散るのは 幾千の刻の欠片たち」
「遠い夢は泡沫の蜃気楼」「いろは唄のように」
と旧き時代に思いを馳せるような表現が散見されます。古い自分も大切にしつつ、新しい自分を探しに歩み始める勇気を歌ったこの楽曲だからこそ、この書体ひいてはこのフォントに行き着いたのではないかと考察します。
KAWAII NO SUSUME
Droogというフォントです。見つけるまでフォントじゃないと思ってました。
「Droog」はロシア語の「友達」という意味から派生した言葉で、イギリスの小説家アンソニー・バージェスが1962年発表した「時計じかけのオレンジ」にて使用され、その意味は「仲間、チンピラ、悪友」とのこと。
名前通り、文字と呼ぶには歪つながらもどこか可愛げのフォルムをしているように思えます。
可愛いと言われたくて精一杯に背伸びをしてみる少し不器用で健気な女の子、という曲のイメージを体現するにはこのフォントが確かにピッタリかもしれないですね。
Dear my future
フリーフォント、「アオハルマーカーmini」かと思います。
コンセプトは「エモい感じの手書き文字っぽいフォント」。
若干光彩で縁取りして太さを補強してるかも。
手書き風のフォントを使いたい時に普段からお世話になっているフォントです。
未来の自分へ宛てた手紙という曲のイメージに手書き風フォントが使用されるのはある意味必然な気がします。
「アオハル(青春)」真っ盛りのスクールアイドルが自分の抱えた葛藤や悩みを吐露する歌詞にあまりにもピッタリのフォント名なのもいいですね。
素顔のピクセル
「素顔」部分がモリサワの「UD明朝」、「ピクセル」部分が「KHドット道玄坂16」かと思いますが、特徴的な後者はさておき正直前者に関しては自信がありません。オーソドックスな明朝体に関しては無数にありすぎる。「KHドット道玄坂16」の方は若干ドットを省略した以外はほぼそのままの形になっています。
「ピクセル」部分は言葉そのまま、デザインとしては尖りやすいピクセル調のフォントを使っているのにも関わらず全体がまとまっているところはやはりプロの仕事。脱帽です。
シュガーメルト
フォントワークス社の「スーラ」です。
《暖かく優しい表情》を持ち、文字組みしたときの美しさを最優先しデザインされたフォントとのこと。(公式のフォント説明より引用)
今回取り上げたフォントの中では割と普遍的な形、オーソドックスな丸ゴシック体ですが、飾らない感じが甘くどこか切なげで等身大の気持ちを歌い上げる歌詞にマッチしている気がします。
千変万華
使用フォントは源ノ明朝かと思います。
前回記事で取り扱った「明日の空の僕たちへ」 と同じフォントですね。前回のものに関しては合っているか分からないのですが。源ノ明朝は比較的オーソドックスな明朝体ですが、デジタルデバイス用に最適化して作られているという特徴を持っています。
古風な曲名や「万華鏡」というモチーフを大事にしつつポップなアイドルソングに仕立てあげられてるマッチしているのではないでしょうか。
ジャケットの背景も万華鏡をモチーフにしていてとても美しいですよね。
Special Thanks
「手書き屋本舗」のTA恋心です。
ペン習字をベースに制作された温かみのあるフォントです。
Special Thanksは103期1月度Fes×Live、ラブライブ!決勝で惜しくも敗退した直後のライブで披露された曲ですね。
応援をしてきた「蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさん」に向けて、そしてスクールアイドルである自分自身に向けて歌っているこの楽曲、「恋心」とは少し違うけれど、真っ直ぐに暖かに感謝を伝える歌詞に手書き風のフォントがすごく合っていると私は思います。
◆まとめ
さて、ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました。
今回は「スリーズブーケ編」と題してスリーズブーケの楽曲に絞って使用フォントを調べ、自分なりに考察してみました。例によってまとめで語るような事は前回の記事で既に全て語りつくしておりますので今回は手短に、ここまで読んで頂いた事に対する感謝を。
DOLLCHESTRA編、みらくらぱーく!編も順次公開していきたいと思っていますので、もしよろしければ次回以降もまたお付き合いください。
それでは。