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日常の一瞬から見出す美。ソール・ライター展「Beauty in the Overlooked Ordinary」

虎ノ門ヒルズ で開催中のソール・ライター展「Beauty in the Overlooked Ordinary」へ行ってきました。

東京メトロ日比谷線『虎ノ門ヒルズ駅』・銀座線『虎ノ門駅』直結で便利です。かわいい「トラのもん」がお出迎え。

会場はステーションタワー3F SELECT BY BAYCREW’Sの奥にあります


▶︎ ソール・ライター展「Beauty in the Overlooked Ordinary」について

ソール・ライター(Saul Leiter)は、アメリカ・ニューヨークを拠点に活動した写真家・画家。彼の作品は「見過ごされがちな日常の美しさ」を捉えることに長けています。水滴越しの街並み、窓ガラスの反射、光と影の繊細な戯れ。彼の写真は、ありふれた風景や瞬間に潜む詩情を静かに語りかけます。

「Beauty in the Overlooked Ordinary」は、そんな彼の視点に触れ、私たちが普段見落としがちな日常の美しさを再発見する展覧会です。

【展覧会の見どころ
・ 独自の色彩感覚:赤や黄色、青といった鮮やかな色が物語を紡ぐ。
・ 構図の妙:水滴やガラス越し、余白を大胆に使った構図が印象的。
・ 日常への愛情:目の前に広がる景色を静かに切り取る、愛情に溢れた視線。

会場では、未公開作品や貴重な原画も展示されており、ソール・ライターの「見ることへの愛」を追体験できる空間が広がっています。

※ちなみに展示作品はすべて購入可能。日本では正式にソール・ライター作品を販売するギャラリーはないため、今回は貴重な機会となるとのこと。

▲ シンプルでありながら、光と影のコントラストがとても美しく、どこか物語を感じます。

▲ ソール・ライターはファッション誌の撮影でも、その独特な視点と色彩感覚で他とは違う世界を作り出していました。

この写真たちも、どれも雑誌の1ページを飾るだけではなく、一枚のアートとして完成されているように感じます。

映り込んだ観葉植物が花火のようで美しい

▲ こちらのカラースライドは、ライターのカラー作品を生前からプリントしているローモン・スタジオでレタッチされたスキャンデータから、クリアフィルムで出力し製作されたレプリカ。


▶︎ 心に残った作品たち

特に印象的だった2枚(厳選)がこちら。

①船の写真

↖︎左の船の写真

この写真、すごく独特なバランスですよね。
上部にある「5」のゲート(?)がまるで額縁のように、船の風景を切り取っているみたい。船に乗っている人たちの小さなシルエットも、時間の流れや日常の一瞬を感じさせてくれます。

写真を見ていると、「門をくぐった先には新しい世界が広がっているよ」と語りかけてくるよう。上の「5」のゲートは、通行を許してくれているようにも、次へのステップを示しているようにも見えます。

遠くに小さく見える自由の女神は、目的地までの距離や時間の流れを感じさせ、その存在が写真に物語性を加えています。

門をくぐる勇気、そしてその先に広がる自由や冒険――
ソール・ライターは、この一枚にそんな物語を込めたのかもしれません。

②鏡に映った女性の写真

こちらの作品は、鏡によってまるでコマ割りのような構図になっているのが印象的です。
私はこの作品から、おしゃれをしている女性の「内面」と「外面」、その多面性が映し出されているように感じました。

上の鏡に映る女性の顔はどこか冷静で物静かな印象。一方、下に映る姿は優雅でありながら、どこか緊張感も感じさせます。
それはまるで、自分自身を確認する瞬間のようにも、外の世界に向けた「完璧な自分」を作り上げているようにも見えます。

ソール・ライターの写真は、表面的な美しさだけでなく、その奥にある物語や感情までも写し取っているようで、まるで一篇の詩を読んでいるかのような趣きがあります。


▶︎ これから行く人へ、展覧会の楽しみ方

①お気に入りの一枚を見つける
ソール・ライターの写真は、一枚一枚がまるで小さな物語。
構図の妙、水滴越しの景色、光と影の戯れ、反射する窓ガラス…。
どれもシンプルだけれど、どこか詩的で、見る人によって解釈が変わる魅力があります。
「この一枚、なんだか心に残るな」と感じた写真が、きっとあなたにとっての宝物になるはず。
心が動いた瞬間を大切に、お気に入りの一枚を見つけてみてください。

②写真の細部に注目する
ソール・ライターの作品は、一見「日常の一コマ」を切り取っただけのように見えますが、よく見ると驚くほど細部まで計算されています。
・水滴の向こうに見える街並み
・窓ガラスに反射するもうひとつの世界
・あえて残された「余白」の意味

そういった細かな部分に目を向けることで、一枚の写真の中に新しい物語やメッセージが見えてきます。
まるで宝探しのように、写真の中に隠された「ソール・ライターの仕掛け」を探してみてください。


▶︎ あとがき:私のソール・ライター

ソール・ライターの作品を知ったのは、あるテレビ番組がきっかけでした。私は写真を撮ることが好きなのですが、そこで紹介された彼の作品を見て、どこか自分の「撮りたい写真」に通じるものを感じました。

もっと彼の写真を見てみたい——そんな気持ちに突き動かされ、写真集を2冊購入。構図、色彩、光、そして反射の効果……「なんて素敵なんだろう」と、すっかり彼の写真に魅了されました。

それからしばらくして、(私の知る限りでは)初めてのソール・ライター展が開催されるというニュースが!心から嬉しく思いました。

展示自体はコンパクトですが、その内容はとても濃密で、見応えのあるものになっています。彼の作品を知っている方も、そうでない方も、ぜひ訪れていただきたい展覧会です。
何より、入場無料なんですから!

鑑賞後、ヒルズ内を散策していたら、ふと目に留まった風景を一枚📷

↖︎東京タワーです

いかがでしょうか。笑
私も、いつか一枚の写真の中に物語を感じてもらえるような作品を撮れたらいいな。


▶︎ おまけ〈お土産〉

ポストカードたち。
左のリーフレットは虎ノ門ヒルズ内で無料配布されているショップガイド。とてもかわいいです(紙モノ大好物)。


▶︎ 開催概要

会期:2024年10月25日〜2025年1月13日
会場:art cruise gallery by Baycrew's
住所:東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワ ー3F SELECT by BAYCREW’S 内
開館時間:SELECT by BAYCREW’Sに準ずる
休館日:SELECT by BAYCREW’Sに準ずる
料金:無料
写真撮影:作品単体で撮らなければOK

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