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自分でできる商標登録【弁理士が教える失敗しないためのノーハウ】

日本の商標登録であれば、自分で十分できます。
商標登録を受付する特許庁は非常に優しいので、素人でも、特許庁に行って相談しながら進めれば、自らでも十分日本の商標登録を行うことができます。参考までに、下記記事をご覧ください。

これは、自ら商標登録をした方が書いた経験談で、素人向けに優しく書かれています。これを見れば、わざわざ弁理士に頼まなくても十分自分で商標を出すことができます。
この記事を読んでから、自分で商標を出してみようとする人であれば、ここで私がまとめた考慮ポイントを読んでみてください。

考慮ポイント1:拒絶対応は弁理士に任せる

まず、上の記事を書いた方が出した商標を事例として上げたいと思います。

先日、特許関係素人の私が、自社プロジェクト『Woolly』と『CULTURE BANK』の商標登録出願を行ってきました。

記事で言及された「Woolly」商標の現状を調べてみたところ、現在審査中でした。

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現在日本の審査状況ですと、通常、出願してから1年ぐらいで結果が出ており、早期審査掛ければ、半年ぐらいで結果出ます。
しかしながら、この商標は、去年の2月に出したのに、未だに登録されてなかったので、経過情報を調べてみました。

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なるほど!
出願してから1年後の今年2月に拒絶理由が通知され、
その1ヶ月後の2020/03/27に応答記録があり、
その半年後の2020/08/05に弁理士を立て、
その2日後の2020/08/07に弁理士により意見書が提出されています。
このケースの場合、審査の結果(拒絶理由通知書)に対する反応に半年ぐらい掛けたのが、登録タイミングが遅れた理由になります。
商標出願作業は自ら十分できると思いますが、拒絶対応は、やっぱり弁理士に任せたほうがいいかと思います。

Amazonで店を開こうとすると、スピードが命です。スムーズな商標登録が非常に重要になります。
以下、スムーズに登録できた事例を上げましょう。
日本の審査官の判断基準は非常に読めやすいので、弁理士に頼めば、出願時点でかなりの確率で最終的に登録になれるかなれないかを当てることができます。日本の審査官の判断基準は非常に読めやすいので、弁理士に頼めば、出願時点でかなりの確率で最終的に登録になれるかなれないかを当てることができます。

ここで挙げる事例は、Ankerさんにより出された商標で、去年の5月に出願、今年の4月に登録になりました。

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以下は、AnkerさんのAmazonでの商品販売ページです。

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この商標の場合、出願前の企画段階で登録可能性のチェックを行いました。

ご覧の通り、Ankerさんが展開するPowerExpandブランドのUSB-Cハブは、去年の5月に商標出願をし、去年の8月にAmazonで販売開始し、2020年の4月に当該商標が日本で登録になり、2020年の11月現在、この商品は、Amazon 売れ筋ランキングで、ノートパソコン用ドッキングステーションの1位を獲得しています。
ご覧の通り、商標出願前に登録可能性のチェックをして置くと、商標が登録になるまで待たなくても、自信持って商品化や、販売開始をすることができます。

考慮ポイント1についてのまとめになりますが、

・商標を出すのは自分でいいけど
・審査官との交渉は早い段階で弁理士にさっさと任せるべき

だと思います。

考慮ポイント2:何を出すべきか?

自ら商標出願をする人は、まず、「何を出すべきか?」についてしっかり考えましょう。

商標として保護されるのは、文字や図形だけでなく、色彩のみ、もしくは、位置の標識も商標にすることができます。

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特に、位置商標を取れば、デザイン的要素を商標的に保護できるので、永遠と保護されることになります。

ここで、ニコンさんの事例を上げましょう。

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ご覧の通り、ニコンさんは、シャッターの下の位置に置かれた赤色の標識を位置商標として取っています。
このようにデザイン的な要素を商標として権利化することに成功しました。

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こちらは、ファミリーマートさんの色彩のみからなる商標です。
こんな感じで、自社の特徴的なデザイン要素を、商標的に保護できるとのことを念頭に置きましょう。

次に、文字商標を出す時の注意点ですが、自分が使う文字の組合せだけではなく、自分を真似する他人が使う文字まで考慮すべきです。
例えば、

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こちらの事例をみましょう。
「Dr.Jart+」と言う会社は、「V7」と言う化粧品を世の中に出しました。
この会社は、「Dr.Jart+」商標を既に持っており、「V7」商標もチャレンジしましたが、登録にはなれず、諦めていた状態でした。
そこで、

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世の中には、このような真似された商品が出回っています。
また、他社により「V7 Toning Light」商標も取られてしまいました。
「Dr.Jart+」社としても、こちらの商品に権利行使もできません。そもそも、行使したい権利が存在しません。
このように、自社の商品に使われる文字だけではなく、他社が真似してくる可能性がある部分まで商標として確保すべきです。

特に、ここのV7事例みたいに、自社が2段表記するつもりで、一列目の短い文字組合せで出した商標が失敗して諦めたところ、他社がこれらの文字の組合せを1列に並べて、一連称号として出して逆に商標を手に入れた事例は、いっぱいあります。

考慮ポイント3:どこで出すべきか?

どこで出すべきか?出す範囲の問題、指定商品の選択の問題についてしっかり考えましょう。

ここで、以下の4原則を覚えて置きましょう。

原則1:自社が既にやっている、もしくは、近い将来にやろうとしているビジネス領域では必ず出す
原則2:自社がゆくゆくはやるかも知らないビジネス領域でも出したほうがいい
原則3:自社では絶対やらないが、自社と関連性が非常に高いビジネス領域でも出したほうがいい
原則4:自社では絶対やらないが、他社が絶対やってほしくないビジネス領域でも出したほうがいい

ここで、原則1と原則2は、分かりやすいでしょう。
化粧品を作っている会社なら、
先ずは、化粧品と直接関連する3類と、化粧品の販売に関する35類で取って、
次に、化粧品を使ったビジネス展開、例えば、美容院の運営などもやりたいのであれば、44類も取るべきでしょう。

ここでは、特に、原則3と原則4について失敗事例を挙げながら説明したいと思います。
この問題は、特に、国境を跨がる時に起こりやすいです。

失敗事例1:お米屋さんと日本料理

「原則3:自社では絶対やらないが、自社と関連性が非常に高いビジネス領域でも出したほうがいい」の失敗事例

ある日本のお米屋さんの事例ですが、
日本ではお米を作ったり、お米を使ってうまいご飯を作ったりする会社で、30類でのみ商標を取りました。その後、その日本商標をベースにして、中国でも30類で商標を取りました。

但し、この会社って、日本ではお米を作っているけど、中国で農家をやってるわけでもなく、中国でお米を作っているわけではなく、むしろ、中国では、日本の有名なお米屋さんの立場として、中国側のデレビに良く出て、日本のお米を使って日本料理を美味しく作る方法とか、日本料亭の経営とかについてコメントして来たんですね。
そうなると、これは、30類のお米の領域ではなく、35類の事業への助言や、43類のレストラン経営の話になります。
そこで、実は、この会社は、中国では他社により、35類,43類で、自分の商標を乗っ取られてしまいました。

失敗事例2:日本料理とペットフード

「原則4:自社では絶対やらないが、他社が絶対やってほしくないビジネス領域でも出したほうがいい」の失敗事例。

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「かに道楽」、この商標は、かに料理の専門店用ですから、レストラン経営、日本料理の提供です。人に食わせる高級日本料理のブランドとして人々に認識されてほしい訳です。なので、商標的には、43類に当たります。

なのに、ペットの食べ物でこの商標が使われたら嫌ですよね。
実際のところ、中国では、「かに道楽」(蟹道乐)商標が、他人によって、第31類のペットフードで取られています。

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すなわち、中国では、31類のペットフード関連では、他人により「かに道楽」商標が取られており、この人が「かに道楽」と命名されたペットフードでビジネス展開を合法的に行うことができます。

このように、国旗を跨る時、特に、中国での商標を考える時には、指定商品の選択として、ここまで考慮すべきです。

中国商標のいろんな事例紹介については、私のYoutubeチャンネル:TigerTVをご覧ください。

まとめ

2つの質問:「何を?どこで?」
すなわち、自分な取ろうとするのは、何?
そして、どの指定商品で出したい?
この2点がはっきりしているのであれば、十分自分で商標出せます。わざわざ弁理士に相談する必要はありません。ただし、弁理士に相談してみると、素人的にははっきりとしていたこの2点に対する答えが、そもそも、間違っている可能性があります。

・そもそも、弁理士の役割ってなに?
・弁理士に頼む以上、何を期待すべきか?

弁理士に相談するのであれば、こちらの2点意識しならが相談しましょう。相談してみて、自分が出したいことをそのまま出してくれる弁理士、自分の観点をひっくり返してくれない弁理士であれば、頼まず、自分で出したほうがいいかと思います。自分で出す場合、特許庁に行ってやることもできますが、最近はIT系に力を入れているプラットフォームもありますので、そちらのサービスを気軽に使ってもいいでしょう。

最後に、商標を安く出せるプラットフォーム的なサイト3つを紹介します。

この3社の経営者は、私の知り合いです。彼らは私と同じく、知財業界で、ITの技術を駆使してイノベーションを起こすことに共感する弁理士達です。因みに、我々は、知財管理システム:ECOIPを展開しています。

以上

プロフィール

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TRY㈱、LTASS㈱の代表取締役。twitter: @TokyoTigerAniki
東北大学(CNIHA)工学部、東京理科大MIP卒。2007年来日、東京の特許調査会社と特許事務所を経て2014年に起業。中国ビジネスに重みを置く日系企業を幅広く支援。ゼロから開発した総合的知財管理システムECOIPは日中韓の多数の企業や特許事務所に採択されている。現在、日本でIT会社、知財会社を経営しつつ、韓国・ソウルにある特許事務所、中国・北京にある特許事務所の経営にも参画し、日・中・韓の知財業務をシームレスかつダイレクトに支援している。

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