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13.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北栄治、深津一成)

主人公アキちゃん、2年生設定

沢北: アキの幼馴染
深津: 沢北の先輩
リョーコ:深津の幼馴染

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完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な高校生として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。

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「深津、土曜日何してるんだ」
松本が深津の机に両手を置いて、正面に立ちはだかる。
こういうワクワクした表情の時は、大抵女に振られた日の翌日だ。と深津は考えていた。
「Netflixみるぴょん」
「じゃあ祭り行こう!3年メンバーで!」
「…。」
深津が露骨に嫌な顔をしたのを無視して松本はさらにワクワクした顔で言う。
「もうこの祭りで集まるのラストかもしれないんだぞ?」
それもそうだ。と思いつつ、一ノ倉も行くようなので行ってみるか。と深津は重い腰をあげた。

集合時間もまちまちで、ゆるく当日集まった。
思ったより、集まるとはしゃぐバスケ部3年生メンバー達。
「深津、何も食べないのか?」
「焼きそばパンないから大丈夫ぴょん」
一ノ倉は焼きそばを買いながら深津に話しかけた。
河田はとにかくかき氷を食べる。
松本は可愛い浴衣の女の子を目で追ってる。
野辺は花火が見たくてうずうずしている。
みんなそれぞれオフの日を楽しんでいる姿を見て、今までの3年間の日々が頭を巡る。
このメンバーがいたから、キャプテンが出来ていると感じる。
自分の高校生活は、このメンバーとバスケだけをして終わるんだと思っていた。

ふと、くじ引きの屋台が目にはいる。
ぬいぐるみばかりなのを見て、なんとなくアキちゃんが頭に浮かぶ。
ウサギの帽子が似合ってたな。
ウサギ好きなのかな?
そう思うと、なんとなく足が吸い寄せられた。
くじ引きを引くと、人生で聞いた事がない鐘がなった。
ウサギの人形が当たる。
「まさか当たると思ってなかったぴょん…」
困った顔のウサギを見つめて呟いた。
これどうしよう…。
何かを見て、誰かの事を考えたのは初めてだった。

周りを見ると、自然にカップルに目がいく。
アキちゃん、何してるかな。と考える。
そんな事を考える自分に違和感を覚える。
普通なら、お祭りに誘ったりするんだろうか。
アキちゃんは誘ったらきてくれるのかな。

何かを漠然と求める事には慣れてない。
勝つために努力することと、違うから。

リョーコに伝えた言葉には確信があった。あの瞬間はハッキリと違う。と言えた。
じゃあ、何が違うのか?考えてみたけど言葉にできない。
こんな事は面倒くさくて、くだらないとさえ思う。
でもこんなにくだらないのに、どうしようもなく振り回される。

今まで通りでよかったのに、会いたくなる。

「野辺まだ屋台見てるから先に花火のとこ行こうぜ。」
その声で我にかえる。
声の方を見ると松本が張り切って先頭を歩いていた。
今日、なんだか上の空だ。
すぐアキちゃんの事が頭に浮かぶ。

後からとぼとぼ歩くと動きを止めた松本が視界に入る。
何か騒いでる。
そう思った時、目が合う。
アキちゃんが居て、思わず心臓が鳴った。

その横にいる沢北を見てさらに頭が殴られた感覚になる。

でもそれより、アキちゃんが自分をずっと目で追っている。
それに気づいて胸が高鳴る。
沢北がいる事もどうでもよくなる。
アキちゃんはいつもそう。
自分を同じ目で見つめる。
こんなにたくさん人がいるのに。
今日まで確信が持てなかったけど、今、やっぱりそうだ。と思えた。
浴衣姿にみとれてたけど、アキちゃんの手にあるものに目線がうつる。
アキちゃんの手には、もうぬいぐるみがあった。

沢北にもらったのかもしれない。
俺のウサギの出番はないかも。と急に恥ずかしくなって、体の後ろに隠した。

みんなの声が遠のいて、自然と隣に足が動く。
歩き出した沢北とアキちゃんの後を追う。
アキちゃんはなんだかほうっておけない。
気がつくと襲われてたり怪我してたり、今も転んだり。

人混みの中一緒に歩きながらつい考えてしまう。
沢北より前に誘ったら、俺と来てくれたのかな。

花火じゃなくて俺を見てほしい。
どうしても気が引きたくて、
思わずバカなことを口走る。
何も言わなくていいよ。今すごく確信がある。
この言葉をどうしても伝えたくなった。

大人になって思い出す瞬間があるとしたら、
この瞬間だろうな。と思った。


途端にあたりが暗くなった。
花火が終わった途端に一斉に人が押し寄せて流され始める。
「ファミレス行こうぜー」
後ろから河田先輩の声が聞こえる。
それを聞いた沢北が、わかりましたー。と言って
沢北がさりげなく私の腰を掴んではぐれないようにする。
横にいる深津先輩をチラッと見る。
深津先輩はいつも通りの表情で、聞き間違えたのかな?と動揺が止まらない。

「一成!」
急に深津先輩の横に見た事がある、お人形さんのような女性が話しかける。
リョーコさんだ…。
「おー、久しぶりです。」
沢北も気づいて私越しに挨拶する。
リョーコさんは深津先輩の肩に手を置いて、まさか会うとはね。とイタズラっぽく笑った後、私と沢北にも手を振った。

こないだ泣いていたリョーコさんと同じ人に見えないくらい明るく、力強い。
リョーコさんは友達と来ていたようで、4人の女友達も後ろを歩く河田先輩達に話しかけていた。
いきなり大所帯になる事に焦りながら、
流れるようにファミレスに入る。

松本先輩が、リョーコさんの友達と嬉しそうに話していたので自然とリョーコさんの友達と松本先輩達は一緒のテーブルに座る。
と、なると…。
4人がけのテーブルに沢北と私。
深津先輩とリョーコさんが座った。
き、きまづい。
沢北も少し様子を伺いながら取り留めない話しをしていた。
深津先輩がその中メニュー表を見て、すぐ呼び出しボタンを押す。

「プリンパフェひとつぴょん」
この状況でも普通に注文した…。
動揺とかしないのかな…深津先輩。

「あー、じゃあクリームソーダ2つ」
沢北もつられて私の分もジュースを頼む。
「じゃあ、私もパフェ頼む」
リョーコさんが深津先輩と同じものを注文する。

「相変わらずプリン好きなのね。」
「ぴょん」
リョーコさんが呆れて言うので、深津先輩は携帯を見ながら答える。
その様子がなんていうか、すごい自然でずっと昔から一緒にいるんだな。と感じる。
だめだ、モヤモヤする。
注文した物を店員さんがそれぞれ目の前に置いた。
私がクリームソーダに乗っているさくらんぼを何も言わずに沢北のアイスにのせてから飲み始める。

その様子を見て面白そうにリョーコさんが笑った。
それを見て不思議そうにする沢北と私。
「もう付き合って長そうだね?」
リョーコさんがそう言ったのを聞いて、
そうか。深津先輩達も私達を見て同じ事思ってるのかな…。と自覚する。
「幼稚園から一緒ですよ。」
と、沢北がアイスを食べながら言う。
質問を聞いて、リョーコさんは沢北とつきあってると思ってるんだなと感じた。

「幼なじみなんだ!私と、一成と一緒だね。」
リョーコさんが深津先輩の頭をくるくる撫でる。
深津先輩がそんな扱いされてるの初めて見るので、びっくりする。

「一成が髪の毛ふさふさだった時から知ってるよ〜」
深津先輩が携帯をいじりながら横目でリョーコさんを牽制する。
「昔は私がバスケやってたから髪の毛なかったけどね」
「お前は坊主の方が似合ってるぴょん」
「坊主にした事ないんだけど…」
そのやりとりを見て沢北が笑いながら、少し私の様子も気遣う。
リョーコさんもバスケやってたのか…となんだか疎外感を覚える。

「一緒にきた友達は商業高校のバスケ部だよ。」
と指を指すので、だから河田先輩達も話してたのか。と思う。
「リョーコさんはバスケやらないんですか?」
私が思わず口を開くと
「私は今はマネージャー!中3の時に膝壊したんだよね!」
と急に片膝をあげて傷を見せた。
リョーコさんって話してみると、綺麗な顔してるのにすごいサバサバしてて男っぽいんだな。と感じた。
それがギャップで話しやすくていい人そう。
と勝手に今まで嫌な人だと思ってた事を反省する。

「一成がリハビリ手伝ってくれたんだよね。
すんごいスパルタ。沢北君も大変そうだね一成が先輩とか。」
ははっと笑う沢北。
なんだか深津先輩との歴史を感じて、すごい嫉妬する自分がいた。
でも、深津先輩の性格的に幼なじみが怪我とかしたらほっとけなそうだな。と
アイシングしてもらった事を思い出した。

多分私が色々考え込んでそうだな。と沢北が察したのか、私の様子をチラチラ見る。

「沢北君、アメリカ行ったら寂しくなるね?」
リョーコさんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「えっ、そ、そーですね本当に」
突然話しかけられて慌てる。
ヘラヘラ笑う私を見て、沢北がニヤニヤし出す。
「アキが寂しくないように毎日テレビ電話するから」
そう言って私の肩を掴む沢北。
「しなくていいぴょん。」
パフェを食べながら深津先輩がそう言ったので思わず固まる。
沢北がちょっとー!と笑うのできまづくならなかったけど、ヒヤヒヤした。
リョーコさんは少し不思議そうだったけど、一緒に笑っていた。

「一成、なにそれ」
リョーコさんが深津先輩の横にあるぬいぐるみを手に取る。
困った顔をしたウサギの人形だった。
「可愛い。ちょうだい。」
リョーコさんがキラキラした笑顔で深津先輩の方を向いたけど、深津先輩がぱっとぬいぐるみを取り上げた。
「だめぴょん」
出されたくなかったのか深津先輩が自分の背中でぬいぐるみを隠す。
いーじゃんケチー。とリョーコさんは不満そうにパフェを食べる。
ウサギ…可愛い。深津先輩どうしたんだろう。


その後は何を話したのかも覚えていないけど、改めてリョーコさんと話す深津先輩を見て、私と沢北を見るときの深津先輩の気持ちがわかった気がした。

リョーコさん綺麗でいい人だったな。とやっぱり気分が落ち込む。
バスケの事も理解深そうだし、お似合いだな。と思った。
リョーコさんの友達がもう帰るねー。と声をかけてきたので、リョーコさんと一緒に私たちも席を立つ。
沢北が、俺とアキの分と言ってお金を出したけど深津先輩がまとめて払ってくれたみたいだった。
外に出て、リョーコさん達が私達に手を振る。
またね。と言ってすらっとしたお姉さん達が去っていくので、松本先輩は人一倍手を振っていた。

沢北が河田先輩に話しかけられていたので、私の元から離れる。
1人になって、少しため息をつく。
やっと気持ちが落ち着いた。
やっぱり目の前でリョーコさんと深津先輩を見るのはしんどい。
深津先輩も、もしかしていつもこんな気持ちだったりして…。
それでも、待つって言ってくれた。

そう思っていたら、気づいたら深津先輩が横にいた。
「アキちゃん、俺達寮だから先帰るぴょん」
「あっ、そうなんですね。ご馳走さまでした」
もっと話したかった。そう思った。
がっかりした様子の私の反応を見て、深津先輩が言いにくそうに口を開く。
「これ、アキちゃんにあげるぴょん。」
「え…」
ウサギのぬいぐるみを自信なさそうに、私に渡す深津先輩。
「いいんですか?」
「ん…いらないかもしれないけど」
小さくぴょんと付け足す深津先輩が可愛かった。
「大切にしますね」
ウサギを見つめて思わずぬいぐるみを抱きしめた。
深津先輩はほっとした様子だったけど、見てられないのか、じゃ。と足早に歩き出した。

「河田いくぴょん。」
先に歩いていった一ノ倉達を指差しながら、深津先輩は河田先輩に声をかけた。
河田先輩が後を追いかけるついでに私の横で立ち止まる。
「アキちゃん…」
「はい?」
河田先輩が、沢北と松本先輩と話し込んでるのを横目に確認する。
「俺、アキちゃんの学生証預かってる。」
「私のですか…?あ、確かに無くしてました。」
「部室で拾ったんだ。」
私がそれを聞いて、フリーズする。
「あ…あの違うんです。」
二つのぬいぐるみを抱きしめたまま、慌てる。

「あの2人、アキちゃんがたまにはコントロールしてやって。」
河田先輩が顎で2人を交互にさす。

「特に深津は、今アキちゃんの事になるともうダメみたいだわ。」
少し困った顔でそう言い残し、学校で渡すわと手を上げてみんなを追いかける河田先輩。

「え…深津先輩の方?」
きょとんと立ち尽くす。
沢北が、アーキいこう。と背中をポンと叩いた。
松本先輩と一緒に3人で歩き出す。

深津先輩の言葉が頭に巡る。

『好きだよ。』
私はその言葉を思い出して、沢北に気づかれないように少し泣いた。

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