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6.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北栄治、深津一成)

主人公アキちゃん、2年生設定
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完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な高校生として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。
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文化祭の日がきてしまった。
工業高校は女子が少ない。だから高校の文化祭にくるのは他校の女子が圧倒的に多い。
男子のみんながやる気満々なのを尻目に朝からクレープの生地を準備する。
深津先輩来てくれるって言ってたし…。
と、どこかで期待してる自分がいる。
私ってバカだなぁ。
でも、昨日は話せてよかった。
自分がどうしたいのかはわからない。
あのまま、話しかけなければもう傷つかないのかもしれない。そんな事を考えながらクレープの生地を準備し続けた。

心なしか今日は沢北がずっと隣にいて距離が近い。
終わったら話せる?といっていた深津先輩の言葉と、昨日一緒に帰った事に私はどこか後ろめたさを感じてた。
「アキ、昨日深津さんと会ってただろ。」沢北が私の頭を掴んで耳元で言う。
それを聞いた私はホットプレートを落とす。
「え…」
沢北はその様子をみてホットプレートを拾い上げる。
「俺、深津さんの事好きだよ。」
沢北を手伝いながらホットプレートを机に並べた。
「でもさ、お前泣いてたじゃん。」
それに、とその先を言いかけて、沢北は顔をしかめて何もいわなかった。
「心配だって事だよ。」
沢北が私のほっぺを掴んでぎゅっとする。
しばらく私の顔を見て離した。
そのまま頭を掻いて、この場を離れる。
その後沢北はクラスの男子から無理やりメイド服を着せられていた。
その様子を見てふふっと笑いながら
沢北の事を考える。

沢北、すごい嫌そうだったな…。
沢北がアメリカに行く事が衝撃的すぎて、
告白の返事はできてない。
沢北はいつから私のことを思ってたんだろう。


クレープの生地作るのが上手くなってきた…
沢北は他校の女子に囲まれてクレープ作りどころじゃない。そのおかげがコスプレクレープは大繁盛だった。

沢北がさっき、嫌そうな顔をしていたのを思い出す。
再び目線を沢北と沢北を囲む女子達をうつす。

私、沢北が他の女子と話したり何かしても嫌じゃないんだな。と考える。
沢北の小さい頃を知っているからか、あの子がこうなるんだなぁ。と親目線でみてる私がいる。
「次の人どうぞー!」
そう言って振り向くと、3年生のバスケ部の先輩達だった。
周りの黄色い声援がすごい。
「アキちゃんそれ可愛いな」
河田先輩が
私が被っている耳がピコピコ動くうさぎの帽子を指差す。
そう言われて、帽子からたれている両方のうさぎの手を握るとウサギの耳がピコピコ動かす。
へへ…しょうもなくてごめんなさい。と笑う。

松本先輩達がチョコバナナクレープを頼んでいた。
沢北が女子に囲まれながらこちらに手を振る。
先輩達があいつ…と文句を言うのを見て笑った。
深津先輩は…?とチラッと見た時ウサギの帽子の両端にたれた手を誰かに触られた。
耳がピコピコ動く。
深津先輩が私の帽子で遊んでいた。
「どうも…」
遊ばれながら挨拶すると、深津先輩が
「これ楽しいぴょん。」と言った。
顔が真っ赤になるのがわかる。
深津先輩近い…。
周りのクラスの子がクスクス笑う。
「深津ってクレープ好きなんだな。1番最初に行こうって先陣切ってたもんな。」
野辺先輩がそう言ったのを聞いて、深津先輩がやっとウサギの帽子から手を離した。
下を向きながら赤面する私。
深津先輩かわいい…。
「アキちゃんはやく作ってあげて深津に」
「食べたくて食べたくてしょうがなかったぴょん」
松本先輩もそう続けるので、深津先輩は真顔で言った。
クレープを巻いてあげて、深津先輩に渡す。
「ありがと、ぴょん」
なんだか照れ臭かった。
きてくれたことが嬉しかった。
その時だった。
「一成!」
ロングヘアのお人形みたいな大人びた女の人が後ろから教室に入ってきた。
「よかった早目に見つけられた」
一ノ倉先輩だけが、あっ。という顔をしたのを見落とさなかった。
商業高校の制服だった。
誰だろう。かずなりって…深津先輩の事?
「リョーコ」
深津先輩が少し動揺した声で名前を呼んだので
私は思わず片手で持っていた生クリームのチューブを思いっきり握ってしまった。
「みんな元気ー?かずなりのクラスに連れてってよ」
そう言って慣れた様子で深津先輩の腕を掴んだ。
そのまま3年生達はリョーコさんを囲んで久しぶりーとか親そうに離してクラスから移動していった。深津先輩が一番最初に腕を掴まれて教室の外に連れてかれてしまった。
「アキ…手ふきな?」
そう、クラスの子に言われてこぼれた生クリームを拭く。
「あ…ごめんごめん」
そう言って動揺するのを沢北がバツが悪そうに女子に囲まれながら見ていた。
自分の自由時間になったので何度か校舎をまわってみた。
でも、深津先輩を見かけるとリョーコさんといるので、見かけるたびに目を逸らした。
私、深津先輩とあんなに近くにいたはずなのに。
昨日一緒に帰ったのに本当嘘みたいだ。
こんなに遠く感じる。


夕方になると、校舎の出し物を見終わったのか校庭にみんな自然と集まっていた。
キャンプファイヤーがあって、なんだかロンマンチックだ。
私はクレープ作りがひと段落ついて校庭にある階段に腰掛けていた。
そこに沢北がプレゼントの山を両手にしながらふぅ。と少し下の段に腰掛ける。
「アキ」
沢北が荷物を置いた後にペットボトルのジュースを私のほっぺにくっつけた。
ありがとう。と言って飲み物を手に呆然とする。

校庭の真ん中にある台に何名か生徒が集まって何か話し始めた。
ああ、あれか。
いつもふざけてやっている、カップルコンテストだった。工業高校だから女子が少ないので、仲良し男子生徒同士が選ばれたり、実は付き合ってるカップルが暴露されたりふざけ半分のコンテストだった。
カップルかぁ。
と呼ばれていく名前を、飲み物を飲みながら聞いていると3年生達も校舎からでてきた。
バスケ部の人達の中には深津先輩とリョーコさんが並んで歩いてくる。
なんか、すごいお似合いだな。
そう思って思わず目を逸らす。
沢北もそれを見て、私の顔をじーっと見つめる。
そしてはぁっと大きく息を吐いた。
「アキは彼氏できたら何してみたい?」
「…急に何」
「いいから言えよー」沢北が子供みたいにごねるので
んー。と考えて
「お祭りとか行きたい。免許とったらドライブしたいし、カフェとか海行ったり買い物とか行きたい。」
「そんなんでいいのかよ。」
聞いたあと沢北が言った。
「じゃあ、それ全部俺がアメリカ行く前にしよう。」
「え…?」
きょとんとする私を見て沢北しゃがんだ膝の片方に
顔を横にのせて私の顔を覗き込んだ。
「だってアメリカ行ったらずっとバスケすんだぞ。女の子と遊んでる暇ねーよ。だからアキが俺と遊んでよ。」
「…免許は取れないでしょ」
まるで愛しい物を見るような目で私を見るから、私はなんだか恥ずかしくなる。
「じゃあ、それは帰ってきてからだな。」
そう言って階段の下から手を伸ばして私のほっぺを摘んだ。
そして沢北が私の足下に近づいてくると、
私の膝に顔を横にしてのせた。
上目遣いで甘えたように私を見る。

その時、ふいにアナウンスの声が響く。

『カップルコンテスト1位をとったのは、えーっと。名前が、2年の沢北 栄治と同じく2年の佐藤アキでした!』

「「え?」」
私と沢北が同時にアナウンスした台の方を見る。

「ちょっと、あの時沢北が付き合ってるとか言ったからじゃないの?!」
「お、おお。」
みんながおめでとうと冷やかしの声をあげる。
沢北がありがとうー!と調子に乗って私の手を掴んでブンブン空中で振った。
「ちょっとやめてよー」
そう言いながら止めようとする私をバスケ部の先輩達も見ていた。


おめでとう!そう言われて実行委員会の子に渡されたのは沢北とお揃いのピンクのTシャツだった。印字されたカップルコンテスト1位の文字が憎らしかった。
クラスの子がニヤニヤして話しかけてくるので、付き合ってないから。と1人ずつ誤解をといてるのを、沢北はまんざらでもない様子で見守っていた。
ふと廊下で3年生を見かけて
体育館で言われた事を思い出す。

「その日、ちょっと話せる?」
深津先輩、何を言いたかったんだろう…。
リョーコさんといるから話せないよね。
2人でいる姿が浮かぶ。
Tシャツをギュッと握りしめた。
もう、文化祭も終わりだ。
いつもの1日が終わる。
心のどこかがザワザワとした。
まだ、深津先輩と話してない。

「アキちゃん」
呼ばれて教室の入り口を見ると
一ノ倉先輩がいた。
「一ノ倉先輩…?」
手招きされて近づくと
「このクラスの予算表ないって先生に言われてさ、とりにきた」
「えっ?」
こないだ一ノ倉先輩に3年生の教室で会ったとき、渡したと思っていた。もちろん手元には予算表はない。
「先生怒ってるから、3年2組に直接書きにきてよ」
そう言われたので、わかりました!とレシートを集めてから教室に走る。


「先生遅くなりました!あれ?」
2組は先生がもう帰っていた。
先生はおろか帰されたように誰もいない。
文化祭の終わりに、校庭で誰かが流行っている曲を爆音でかけながらキャンプファイヤーをまだ続けていた。
どう言う事なんだろう…?と教室の真ん中で考えていると
後ろから聞いた事ある声がする。
「一ノ倉…遅いぴょん」
そこには深津先輩が立っていた。
「あ…。」
「アキちゃん。」
深津先輩が私の姿を見てから、少し躊躇してゆっくりと近づく。
校庭から聞こえてくる音楽がこもっててなんだか聴き心地がいい。
私は深津先輩の目をじっと見た。
すごく会いたかった。

深津先輩は私の目の前で立ち止まった。
そして手を伸ばして、私のうさぎの帽子の両方を手に持って耳をピコピコさせる。

「ぷっ…」
思わず吹き出す。

深津先輩は私を笑わせて泣かす。
リョーコさんに腕を掴まれてた事を思い出してピコピコを取り返す。
手をフリーズさせて、少ししょぼんとする深津先輩。

「その帽子、かわいいぴょん」
すごい似合ってる。って俯いた私の顔色を伺うように言う。
「…アキちゃん」
急に名前を呼ばれたから顔を上げる。
「触ってもいい…?」
ぴょん。と小さくつけたして
深津先輩が私の反応を待つ。
その時私が持っていたカップルコンテスト1位のTシャツを私の手から剥ぎ取った。
そして深津先輩の机の横に置いて、深津先輩が机の上に座る。
校庭から音楽が鳴ってるから心臓の音が聞こえなくて安心する。
私の両手を深津先輩の手が包み込む。
深津先輩が座ってるところに引き寄せられる。
「まだ…いいって言ってない…です。」
「…いいってアキちゃんの顔が言ってるぴょん」

あ、ちょっと強引な時の深津先輩だ。
「泣かせてごめん」
あまりにも優しく言われたから、頷いた。

「….嫌いになった?ぴょん?」
リョーコさんといる時の深津先輩は嫌い。
そう言いたかった。
静かに頭を横にふる。
リョーコさんが深津先輩の腕を掴んでいた事を思い出す。
嫌だ。触らないで欲しい。
私だけが触れればいいのに。

机の上に座った深津先輩は目線が少し近い。
手を握られたまま、深津先輩の真似をして
顔を傾けてそっとキスをした。
唇がただ触れただけ。恐る恐る唇を離すと
すごくびっくりしてる深津先輩が見えた。
思わず逃げようとする。
「ダメ!」
深津先輩が両足で私を挟む。
うさぎの帽子の両側のぴこぴこを掴んで顔を引き寄せた。
「なんで…アキちゃんはすぐキスするぴょん」
顔が真っ赤になる。
深津先輩の表情はいつもと変わらないけど、目がいつもと違う。
その目を見て、深津先輩に抱かれた日を思い出す。

帽子の両側にたれた手の部分を引っ張られて、深津先輩の顔に引き寄せられる。
私の顔をジッと見ながら、食べるみたいに深津先輩が私にキスをする。
なんか、止まんないかも。と私の頭が一気にボーッとする。
すると唇の動きが止まって、私がキスするのを深津先輩が待つ。
また、待ちきれずに私がキスをする。
その様子を見て深津先輩もキスにこたえながら私の背中に手を回す。
後ろの机に倒れるようにゆっくり押し倒される体。
薄暗い教室の中で深津先輩が私を見下ろしながら
私の唇を指でなぞる。
「深津先輩…好きです。」
そうつぶやいた時

「やば!止まれ!」
急に教室後ろの入り口から男子な声がする。
誰かが教室に入ってこようとして私達を姿を見てしまったらしい。誰だ?と言う声もする。

私は赤面して、深津先輩はその顔を見てふぅーと息を吐いて私の身体を起こした。
「アキちゃんが…キスするからだぴょん」
「わ、私のせい?」コソコソ話しながら
深津先輩がははっと笑った。
深津先輩がちゃんと笑うの初めて見たかもしれない。
キャンプファイヤーの光だけが教室に入ってきて
、私と深津先輩は笑い合った。
「逃げるぴょん。」
深津先輩は私の手を引いて、私も走って前のドアから2人で教室を飛び出した。


「深津…ごめん。引き止められなかった。」
一ノ倉は心の中で謝っていた。
松本野辺河田が教室の入り口から恐る恐る教室に入り困惑していた。
「あれ…深津だったよな…?」
松本がアタフタしていっていた。
「俺たちはとんでもない物を目撃してしまった。」
野辺は窓の外を呆然と見ていた。
河田だけはじっと一ノ倉を見つめる。
「一ノ倉…知ってたな。だからリョーコちゃんを巻いて、俺たちもここに来させないように…」
ぎくっとしたのを河田は見逃さなかった。
「おい!」
松本はワナワナして手に何か持っていた。
「これって…」
片手にカップルコンテスト1位が印字されているTシャツを持っていた。
みんなギョッとする。
「……沢北と深津が?」
「そっちじゃないだろ」
野辺の言葉にみんな突っ込む。
「深津…複雑だな。」河田が腕組みをして校庭のキャンプファイヤーを見つめた。
一ノ倉は再び、ごめん深津…と心の中で謝っていた。

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