45.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(一之倉聡)
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※スピンオフ
※44話の続き
完全自己満、創作なので苦手な方はご遠慮ください。誤字脱字あり。すみません。
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あの、曖昧なキスの続きをしようよ。
そう思って呼吸をどうやってするのか
忘れる位唇を合わせる。
初めて繋いだ左手がゆっくり降りていく。
なんとか触れそうな糸を手繰り寄せる様に
指を絡めたまま。
私の心臓がうるさくて、聞こえないか心配になる。
ベットに座り込んだままキスしてると
一之倉をもっと触りたくなる。
唇を合わせたまま、右手を伸ばす。
背中にゆっくり手を回した。
想像より広い背中にドキっとする。
私にキスされた事に驚いているのか、
しばらくされるがままの唇。
その内、私の腰を右手で優しく支えた。
初めて男の人に優しく触られる。
もっともっと一之倉の事が知りたいよ。
緊張して少し震えた唇を離すと
少しずつ引き寄せられて
一之倉が少し顔を傾けて唇を挟みこむ。
上唇と下唇を交互に唇で挟まれて
嬉しくて、心臓が痛くなる。
それと同時に何もできなくなる私。
唇が離れて、私の目を見る。
恥ずかしくて目を逸らすと
違う角度からキスされる。
今度は私が驚いて、されるがままになる。
唇を吸われて舌が入ってくる。
どうしたらいいか分からなくて
大人のキスが気持ちよくて体が動く。
絡めてた指が離されて抱きしめられるから
両手を背中に回して抱きしめた。
吉原と、こんなキスした事ないな。
少女のまま、ただずっと傷ついてた。
部屋の温度が上がってクラクラする。
好きな気持ちがつっかえて
苦しくなる。
ドキドキして倒れそうだ。
そう思って一之倉の背中を撫でた。
一之倉が顔を離して、赤い顔の私を見る。
背中をなぞる手を静止するように
肩を摘んだ。
「俺…」
一之倉が私を見て俯く。
「ミレイの事大切にしてるから、これ以上したくない。」
伏せた顔をあげて、真っ直ぐ言う。
「傷つけないよ、俺は。」
掴まれた手が肩から腕まで降りてきて優しく撫でる。
恥ずかしくて、嬉しくて思ってもいなかった言葉に何て言えばいいかわからない。
やめて欲しくない気持ちと
怖い気持ちが半々。
「でも…私一之倉に触られたい。」
思わず言葉に出た。
「えっ。」
予想してなかったのか、一之倉が少し顔を赤くする。
「いや…そんな事言わないでよ。反則だよ。」
そう言った後、思い出した様に続ける。
「あと、こんな所男の人と来ちゃダメだから。今日の服も露出しすぎ。」
「なんで怒るの〜。」
しゅんとする私を見て、やりづらそうにする。
「相変わらず、私叱られてばっかりだね。」
そう言って口を尖らした。
「叱ってないよ。」
そう言いながら私の少しはだけたバスローブを整える。
「ミレイだから言ってるんだよ。色んな男がミレイの事見てるから。俺が嫌なんだよ。」
そう飄々と言う一之倉の顔を見て
さらに顔が赤くなる。
その様子を見て、ため息をつかれた。
「自分が魅力的なのに気づいてよ。」
眉を下げて困った様に言うのを見て
ドキドキした。
何も言えなくなってる私に優しく笑いかける。
「…今日は、どんな1日だった?」
高校生の時を思い出す。
あの頃のままの表情。
その言葉が大好きだったよ。
「今日は…一之倉に会えて嬉しかった。ファッションショーも大成功だった。」
「うん。見てたよ。ミレイ、格好よかったよ。」
笑顔で褒められて、どうしようもなく嬉しくなる。
「服、持ってきたんでしょ?見してよ。」
一之倉が頬杖をついて、もう片方の手で私のバックを指差す。
「…見てくれるの?」
我慢できずにはしゃぐ私を見て、優しくうなづいた。
バックを持ってきて、振り向き様に服を体に当ててポーズをした。
「格好いいじゃん。それ。」
驚いた顔をするのを尻目に2着目も取り出して
ベッドの上でポーズを決めた。
キャットウォークを歩く様に一之倉に見せつける。
楽しそうな私を見て一之倉が笑うから
私も嬉しくなる。
3着目を一之倉に渡して体に合わせる。
服の説明をしながら、自然と会えなかった期間の話をした。
何も変わらない表情で話を聞く一之倉。
いつも通りだけど、前より熱を持った目を見て
何かが変わる気がした。
きっと校舎裏で出会った日から
私達は始まっていたんだ。
もしこれが夢だとしても、早く目を覚まして。
私が見つけに行くから。
あの日、一之倉が私が見つけたみたいに。
世界中を敵にまわしても
全然平気だよ。
この瞬間をずっと待ってたから。
※
「ただの拷問だぴょん。」
言わなければよかった。
飲んでいたジーマの瓶を傾けて、そう思った。
こないだの子とはどうなったんだ。と
近状を聞かれえ、酒の席なのも相まって話してしまった。
美談のつもりが
深津はとにかく、眉間に眉を寄せて引いていた。
「コンドーム持ってないのか?」
「いや、そう言う事じゃなくて。」
深津に言い返そうとした所で
松本が前のめりで聞いてきたので
イラっとする。
「俺は深津と違うから。」
怒りもせず、いつもの感じで呟く。
店に設置されているテレビから流れる
自分たちには縁のないスポーツ実況を
無心で見つめて会話する。
「俺も、我慢した事あるぴょん。部室で。」
「でも、お前の初体験、部室じゃん。」
さっきの仕返しといってはなんだけど、
ジャブを打った。
深津がバツが悪そうにハイネケンの瓶を傾ける。
「お、おま。そんな事してたのか…?」
テレビから目を離して
いぶがしげに深津を見つめる松本。
「童貞の松本には刺激が強すぎる話ぴょん…」
「童貞じゃねーよ。」
松本が慌てふためく。
「あんな、自主練してお前ら…いつそんな暇あったんだ?」
2人で松本が聞いてきた事を無視する。
同時に瓶を傾けた。
「てか、なんでHUBだよ。」
「松本がHUBに来てみたいって言ったぴょん。」
「HUBって…椅子ないのか?」
松本がキョロキョロする。
「椅子空いたら座れるぴょん。」
そうなのか。と椅子を探す松本そのまま
思いついたように言った。
「イチノ今日呼んでもいいんだぞ。
その子。ついでに友達紹介してくれ。」
松本がちゃっかり付け足しながらパスタを揚げたやつを食べる。
「その子未成年だから。飲み屋これないよ。」
ジーマを飲みながら飄々と言う。
「…。」
ドリンクを飲む手を止める2人。
「いや、言葉選ばれるのが1番くるからやめて。」
一之倉もパスタを揚げたやつを食べ始める。
「珍しすぎぴょん。」
「イチノ年上キラーだもんな。」
それぞれ勝手に話し始めるので好きにさせる。
「18以上なら法に触れないぴょん?」
「深津ググるのやめて」
「付き合うのか?」
松本が目を丸くして聞く。
「うーん。」頭を掻いた後、瓶を見つめて
テーブルに両腕を組んで考える。
「正直びびってる。」
そう言ったのを2人は不思議そうに見た。
「イチノ…好きなんだな。俺応援するよ。」
松本がきゅんきゅんして揚げたパスタを食べた。
「19歳なら大丈夫らしいぴょん。」
「深津、知恵袋読むのやめて」
「今日も、連絡すんの我慢してんだから。」
そう言って前髪を触った。
顔を赤くする松本と、口をポカンと開けてる深津のリアクションがうざくて無視した。
「挿れても、挿れなくても一緒ぴょん。」
深津なりの鼓舞。
「あー…。お前ならやるよな絶対。」
そう横目で答えた。
「やっても付き合う時は付き合うし、
付き合わない時は付き合わないぴょん。」
「やだー。あたし、下ネタ言う人無理ー。」
松本がさっきの部室のくだりで
深津を軽蔑しながらふざけた。
なんとも言えない気持ちになって
またお代わりをカウンターに買いに行った。
どこかで触発されそうな自分がいて
気持ちを落ち着ける。
※
携帯と睨めっこする。
連絡しない方がいいよね…。
「LINEきけばよかったかなぁ〜。」
そう頭の中で格闘する。
でも既読にならなかったら
ショックでしんじゃう。
そう思って、散らかった部屋の小さなベッドの上で、寝返りをうつ。
おとなしく寝る事にする。
目を閉じると一之倉とのキスを思い出して
足をジタバタする。
全然眠れない…。
「一之倉、何してるんだろう。」
思わず呟いた。
どこに住んでるんだろう。
今もバスケしてるって言ってたな。
始発までの時間じゃ、全然話し足りなかったな。
久しぶりにあっても
大好きだった。
そう思ってると、電話が鳴る。
「えっ」
画面に表示された見慣れない文字。
目を丸くして、起き上がる。
急いででた。
「起きてた?」
雑踏の音と、低い声。
「お、おきてた。」
聞きたいと思ってた声が聞こえて
心臓がバクバクなる。
まさか、一之倉から電話が来ると思ってなくて
ドキドキする。
次の言葉が返ってこなくて
少し緊張する。
「一之倉…?」
「今、飲んでた帰り。」
飲んでたんだ。と思うのと
あれ?酔ってる?と気づく。
「酔ってる?」
「ちょっと。」
酔って電話してくるとか、嬉しい。
声を聞いて、布団を手繰り寄せてぎゅっとする。
「今何してる?」
「今は、布団の中いるよ。」
「家にいて、えらいね。」
何もしてないのに褒められる。
「安心した。」
そう言われて、どう言う意味か考えた。
「また変な男に捕まってないかなーって思って。」
「つかまらないよっ」
きっと一之倉の中で、私は高校生のまま。
沈黙が流れる。何か大事な事を言う前みたいな。
「ミレイ、彼氏いるの?」
さらっと聞かれた。
今日何してた?って聞く感じで。
「えっ。」思わず声が出る。
「いないよ。」
当たり前じゃん。という感じで伝えた。
そうなんだと言う一之倉に、思わず聞き返す。
「一之倉は?」
「え?俺?いないよ。」
きょとんとして言うから
私も今、聞かれて同じ気持ちだよ!と言いたくなる。
「なんで今更!」そう言う私に
「だって、俺ミレイのこと何も知らないし。」
そう笑いながら言われて、確かに同じような事は思っている。と自覚する。
「だから、文化祭でも話しかけれなかった。」
そう付け足されて、一瞬止まる。
「…なんで?」
約束したのに?と付け加えて言いたくなった。
「…こいつ、本気にして会いにきたのかよ。って思われるかなーって。」
少し弱気な一之倉の声が、思ってもみなかった言葉で驚く。
「だから…帰ろうとしてたんだ。」
「ミレイに見つかったけどね。」
全部、全部わかってないよ。って
言いたくなるけど
何から話していいのかわからない。
胸に溜まっていく、この気持ちを。
「でも行ってよかったよ。歓声がすごくてさ。
ステージにいたの似合ってた。」
そう言って笑う一之倉。
「ああ、やっぱりこの子、あんな体育館裏で泣いてる様な子じゃなかったなって。」
一之倉が見つけ出してくれたんだよ。
私をあのステージまで、拾い上げてくれた。
「一之倉のおかげだよ?」
電話の向こうの騒がしい人混みの音を聞きながら
言う。
「俺、なんもしてないよ。」
そう言った一之倉は嬉しそうだった。
「ステージの上で目立ってたミレイ見たらさ。
あーもう、ミレイ俺の事忘れてそーって思って」
明るく言う一之倉。改札を通った音がした。
「私はずっと一之倉の事考えてたよ。」
「あ、ごめん。今携帯使って改札通ったから聞こえなかった。」
「…もう言わない!」
勝手に顔を赤くして、足をバタバタさせて言った。
「ねぇ。」
私の反応が落ち着くのを見計らって呼びかけられる。
「いつ会える?」
一之倉の声が、いつもより男らしくてラフで。
お酒が入ってるからか
ガードが緩くなってる気がして
動揺する。
「え?」
心臓がだんだんうるさくなる。
もう、待てないよ一之倉。
そう伝えたくなる。
時計を見たら0時を周っていた。
憧れてた大人のデートはまだ出来そうにない。
けど、顔見る位許してくれるよね。
「今あえる。」
「今…はまずいな。」
そう聞いて落ち込む。
「俺、今日は我慢できなそう。」
「え?」
息を吐く音が聞こえて、なんて言ったらいいかわからなくなる。
「昼会おう。」
「じゃあ…明日。」
あっと気がつく。
「バイト終わってからになっちゃう。」
「バイト?何してんの?」
少し一之倉が構えて言うからおかしくなる。
「キャバじゃないから安心して。」
懐かしくて笑いそうになる。
「はは。そしたらまた迎え行くよ。」
「カフェでバイトしてる。」
「じゃあ、そこに迎え行くよ。」
そう言われて嬉しくて、にやつく。
「ありがとう。楽しみ。」
「場所おくっておいて。」
会う約束をして「おやすみ」って言う。
それだけで、電話の余韻を引きづりながら
すごい幸せな気持ちでベッドに倒れ込んだ。