10.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北栄治、深津一成)
主人公アキちゃん、2年生設定
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完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な高校生として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。
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今日は学校行事で、全学年が一斉に掃除をする日。
割と珍しい行事らしく、ずっと昔から行われてるみたいだ。
みんなやりたくなくて文句を言っている。
私は教室の窓ガラス掃除を割り振られて、特に何も考えずに理科室にむかう。
新聞紙を持って窓ガラスと向かい合う。
こないだ沢北と実験してた時は、今みたいな状況になると思わなかったな。
と懐かしく思う。
窓ガラスが高くて手を伸ばしていると、ふとベランダにいる人に目がいく。
ベランダの手すりによりかかって外をただ見てる。
その横顔に見覚えがあった。
深津先輩だ…。
思わず隠れたくなる。でもなんだか見ていたくて、でも話しかけらなくて窓ガラス越しに見つめる。
気づいて欲しいけど、気づいて欲しくない。
ふいに、深津先輩が降り向く。
反射してるから私に気づかない。
あ、どうしよう。と見上げていたら
段々ピントが合ったように私の顔を見た。
しばらく固まる深津先輩。
私の顔がある場所を窓ガラスごしに手をパーにして置いた。
何してるんだろう。と考えていると、手をどけた深津先輩の口が「小さい」と言った。
意味がわかって、ふにゃっと笑うしかない私。
その顔を見て手まねきされる。
「…?」
私はカラカラとベランダに続くドアを開ける。
深津先輩が手すりに寄りかかりながら、自分の横にある手すりを手でポンポン叩く。
来てってことかな。と思い、恐る恐る近づく。
やっぱ背、高いな。
と思ったのと同時に深津先輩の部屋の匂いがしてドキドキする。
「元気ぴょん?」
「はい、元気です…」
私の顔を横目に覗く。
深津先輩の表情がなんだかどう接していいかわからないって感じで。
微妙な空気感を感じた。
なんとなく、深津先輩怒ってるのかな。とも思えた。
「深津先輩は…元気ないですね。」
絞り出すように聞く。
「うーん。」
深津先輩が急にうなる。
「相談してもいいぴょん?」
「え?」
急に私の方を向いてポケットに手をいれて見下ろす。
「最近告白されたんだけど」
「はい?」
急な話に私が思わず大きな声を出す。
「アキちゃん、どうして欲しいぴょん?」
「告白って…」
私は思わず口走る。どうして欲しいって…。
「深津先輩、彼女いるんじゃないですか?」
私の言葉を聞いて深津先輩は首を傾げた。
「俺?彼女いないぴょん」
私はえっ。とさらに驚く。
「彼女…いると思ってました…」
「彼女いたら、部屋に呼ばないぴょん」
そう言ってまっすぐ見つめられて、恥ずかしくて赤くなる。
どういうことなんだ?とさらに首を傾げる。
首を傾げた私の顔をのぞく深津先輩。
「え…」
思わずタジタジになる。
深津先輩積極的…。
「アキちゃんが修学旅行の日、本当はこの事言いたかったぴょん」
はっとして顔を見上げる。
沢北が電話を出た時だ…。
「沢北といたいなら、それはそれでいいぴょん。」
なんて言ったらいいかわからない黙ったままの私を見て深津先輩がいった。
告白した日から、色々あった。
でも深津先輩が今目の前にいる。
深津先輩は私のことどう思ってるんだろう。
「私が、沢北といてもいいんですか?」
「…アメリカ行くまでは。」
「行くまでは…?」
「それ以上は待てないぴょん。」
沢北が触んないでくださいよ。と言っていたのを思い返す深津。
そこまで言ってじーっと私を見つめる深津先輩。
リョーコさんのことが頭に浮かぶ。
「好きじゃない人とは付き合わない方がいいと思います…」
小さい声で言う。
「いやってことぴょん?」
「うん。いやだ。」
あ、思わず口走って焦る。
誘導されたようではずかしくなる。
「わかったぴょん。」
なんだか満足げの深津先輩が私の頭を触ろうとして途中でやめた。
身構えてたわたしがきょとんとする。
手をグーにして校庭を見る深津先輩。
「俺からは触るのやめるぴょん」
遠くからふかつー!と呼ばれる声がした。
「アキちゃんが触りたくなったら触ってぴょん」
少し意地悪く言って深津先輩が教室の中には入っていった。
どういう意味?
私が顔を赤くしながら、深津先輩を見送る。
深津先輩、沢北とのこと知ってそう…だなと頭をかかえた。
でも、それでもいいって。思ってるって事だよね。とさらに頭をかかえた。
※
今日は金曜日だ。
たまたま委員会があって遅くなってしまった。
そして、渡り廊下を歩いていると体育館が見えて嫌な事を思い出す。
「深津先輩、今日もリョーコさんと会ってるのかなぁ。」
今日のベランダでのやりとりを思い出す。
足がおそるおそる、体育館の方へむかう。
案の定、すらっとした高身長の男女が見えた。
どうしてもきになってしまう。
やっぱりリョーコさんに告白されたのかな。
体育館の周りの通路を辿っていくと、会話が聞こえてきた。
「好きな子でもできたの?」
リョーコさんの声にびくっとする。
曲がり角から顔を出すと深津先輩の横顔が見えた。
思ったより近すぎる。
引き返したかったけど、リョーコさんの質問が気になった。
「好きな子ができてもいいよ。」
何も答えない深津先輩に向かってそう続ける。
リョーコさんは練習着のままの深津先輩にそっと抱きついた。
「リョーコ、もうやめよう。」
深津先輩はリョーコさんの肩を持ってそっと引き離す。
「一成の事、忘れられないもん」
そう言ってリョーコさんが泣く。
リョーコさんが美人だから思わず腰が引ける。
「リョーコには感謝してるぴょん。」
すすり泣く声が聞こえる。
「でも…リョーコと付き合いたいとか、そういうのじゃないって気づいた。」
すごい言いにくそうに伝える深津先輩。
多分、すごい大切な人なんだな。と思った。
リョーコさんはそれを聞いて、急に深津先輩にキスをした。
「何も感じない?」
「リョーコ…。」
深津先輩は困った顔でリョーコさんをまた離す。
「その子と違うの?」
リョーコさんが引き下がらない。
その様子を見て、ハラハラする。
「うん…違う。」
深津先輩はリョーコさんを優しく見つめて、でもはっきり伝えた。
そうか。とリョーコさんは悲しそうに言った。
「今日は先、帰るね。」
とリョーコさんが涙を拭きながら言った。
「私、諦めないよ?」
歩きながら、そう言って少し笑って振り向く。
深津先輩はリョーコさんの姿が見えなくなるまで見ていた。
どうしよう…。
思ったよりすごいもの見ちゃった。と息をひそめる。
深津先輩は体育館横の部室に向かって歩いて行ったので、思わず後をついていく。
リョーコさんとキスしてるところまで見てしまった。と少し心がざわつく。
部室に入ろうとする、寂しそうな背中を見て思わず話しかけた。
「深津先輩」
「…アキちゃん?」
さすがに驚いていた。
あー。と言葉に詰まる私。
「委員会が遅くなって!深津先輩を見かけたから。」
明るく話しかけたけど、無理があったと思う。
でも、意外と深津先輩は安心したような表情をした。
「ちょっと話すぴょん?」
口角がちょっとあがる。深津先輩が優しい時の表情だ。
「はい…」
部室とか始めて入るな。
キョロキョロしながら恐る恐る入る。
ロッカーの間にある背もたれがない椅子に、ロッカーから荷物を出して帰る準備をする深津先輩。
腰掛けて練習着を脱ぎ出したので、私は部室を見るふりをして目を逸らした。
深津先輩は無意識に裸を見せる。
あの夜を思い出してしまう。
誰もいない夜の部室の雰囲気がいっそう深津先輩を意識させる。
ちらっと様子を見ると、なんだか呆然としてるように見えた。
私は沢北を拒絶できなかった。
深津先輩にとってリョーコさんが特別な人なら、拒絶することは辛かったと思う。
自分の中の罪悪感を肯定するようで気が引けたけど、今は深津先輩の気持ちが痛いほどわかった。
でも、リョーコさんが深津先輩を触るのを見て心がモヤモヤする。
私はひどく嫉妬してた。
その気持ちで、自分の中の深津先輩への気持ちを再確認する。
私はどうしようもなく深津先輩が好き。
でもずっと一緒にいた沢北を遠ざける事も出来なくて、自分が嫌になる。
深津先輩が頭にタオルをかけて、バッシュを脱ぎ出した時、気づいたら深津先輩の前に立っていた。
それに気づいて目線を上にあげる深津先輩。
「辛かったです、ね?」
私は優しく語りかけた。
黒目が泳ぐ。聞いていたのか。と、
図星のようだった。
「私のキスは違うといいな。」
私はそう言って屈んで深津先輩にキスをした。
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