見出し画像

【インタビュー】松居大悟監督に聞くー『ちょっと思い出しただけ』への思いー

今年の東京国際映画祭のコンペティション部門の作品『ちょっと思い出しただけ』が11/2に世界初上映されました👏
それに伴い前回から松居大悟監督へのインタビューをお届けしています🍓
第2回となる今回は『ちょっと思い出しただけ』についてお話を聞きました。
これを読んでから作品を観ると、さらに楽しめるかもしれません……!

第1回記事はこちら↓

ーー『ちょっと思い出しただけ』を通して伝えたい"いちばん"の思いはなんですか?

松居監督:"いちばん"ですか?うーん……クリープハイプの曲がすてきに聞こえたらいいなと思います。尾崎君のために作ったので。

画像1

©2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会


ーー主題歌の曲名は『ナイトオンザプラネット』ということで、もともとクリープハイプさんの楽曲の映像を撮られていたんですよね。そういう経緯があって、今回も撮られたんですか?

松居監督:そうです。もう5年くらい一緒にやっていなくて、去年の6月くらいに、尾崎君から一緒に撮りたいものができたって連絡がきたんです。尾崎君が映画の『ナイト・オン・ザ・プラネット』が一番好きなのは知ってたし、『ナイト・オン・ザ・プラネット』のハイプって台詞からクリープハイプってバンド名になった由来も知ってるし、これはバンドの中でも大切な曲になるって思いました。

その曲を自分に託してくれたから、いい映画にしようと思ったんですけど、結構難しくて。1年くらいかかったんですよ。1年くらいかけて台本作って「ああようやくできた」って思って、そっから撮ったんです。撮り始めたの今年の夏なんですよね(笑)

2021年から始まっていく話で、普段会えない人だとか、通り過ぎた恋愛のことだとか、いろんな伝えたいことというか、感じて欲しいことはもちろんいっぱいあります。でも自分はこの曲(『ナイトオンザプラネット』)のために作りました。


ーークリープハイプの『ナイトオンザプラネット』も『ちょっと思い出しただけ』も、ジム・ジャームッシュ監督の作品を意識して作られたんですよね。今年の夏から秋にかけて上映されたジャームッシュ監督作品特集と『ちょっと思い出しただけ』ってもしかして何か関係ありますか?(笑)

松居監督:全然関係ないです(笑)ジャームッシュの再上映も満員になっているみたいで、興味持ってくれる人がいるのは嬉しいことです。『ちょっと思い出しただけ』もそうなってほしいですよね。タイミングが合って、運がよかったなと思ってます。


――学生時代に一番観た映画は何ですか?
松居監督:大学時代は、北野武監督ですね。困ったらとりあえずタケシ映画を観てました(笑)

――中でもおすすめはありますか?
『菊次郎の夏』です。お母さんに会いに行く映画なのに、帰り道がすごい長いんですよ。それがすごく優しくて、映画って目的じゃないよなと思わせてくれるので好きです。
あとは相米慎二監督ですね。第1回東京国際映画祭で『台風クラブ』がグランプリを獲っているということが自分の中ですごく大きくて。日本映画が獲りづらいというのはわかりつつも、東京国際映画祭に参加できるというと、いつも相米監督と重ねますね。

画像2

満席で迎えた世界初上映の舞台挨拶(2021.11.2)

――『ちょっと思い出しただけ』が満席になり、大学の友人からも観たいという声をもらっています。監督から大学生や20代の若者へなにかメッセージありますか?

松居監督:いま一緒にいる人やいま過ごしてる時間は、すこし後になるとすごくかけがえのないものになったりします。そして気軽に会えなくなったからこそ、会えていた時間や話していたことってい愛おしいんだなって思いながら作った映画です。大学の友達と夜中しゃべり倒したことや飲み過ぎてフラフラになったこと、情けないことだったりどうでもいいことだったりが、意外と今に繋がっていたり、その時の連中と今も何かをやっていたりします。いまの時間て愛おしいんだなって感じてもらえたら。と言いつつ偉そうなことは言えないので、ただ楽しんでもらえたらと思っています。

画像3

©2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

<プロフィール>
松居大悟さん(Daigo Matsui)
1985年生まれ、福岡県出身。慶応義塾大学に在学中、演劇サークルに所属し、2006年に演劇ユニット「ゴジゲン」を結成。2007年から自主映画を発表し、『ちょうどいい幸せ』(10)は沖縄映像祭2010でグランプリを受賞。2012年、のりつけ雅春の人気漫画を映画化した『アフロ田中』で商業映画監督デビュー。脚本家としても活動し、NHK連続テレビ小説『ふたつのスピカ』(2009)を手がけた。また俳優や舞台の演出など芸術の境界を超えて幅広く活動している。近年は監督として『くれなずめ』や『ちょっと思い出しただけ』など意欲的に作品を発表している。ジム・ジャームッシュ監督作品の中で、一番好きな作品は『パターソン』

『ちょっと思い出しただけ』は東京国際映画祭で11/7に2度目が上映されます。
また劇場公開は2022年早春。とても素敵な映画なのでぜひ足を運んで観てくださいね🎬

(取材/執筆・トモカ、タクミ)

いいなと思ったら応援しよう!