吾輩は100万回生きた猫である #18
エジプトも8月の終わりになり、暑さが和らぎ始め、夜はひんやりとした風が吹く時期となってきた。
アクティウムの海戦が近づくにつれ、エジプトの王宮内では緊張が高まっていた。クレオパトラとアントニウスは、オクタウィアヌス率いるローマ軍との激戦に向けて、戦力を集結させるべく奔走している。バスティもまた、王宮内でクレオパトラのそばに寄り添い、彼女の支えとなる存在として役割を果たしていた。
クレオパトラは、アントニウスとともに戦略会議に出席し、最善の作戦を練り上げることに専念していた。彼女は敵であるオクタウィアヌスの脅威を知りつつも、エジプトの未来のため、そしてカエサリオンのためにも勝利をつかむべく覚悟を固めていた。
アントニウスは、クレオパトラの決意を感じ取り、彼女に対して尽力を誓った。「クレオパトラ、私はあなたと共に戦い、エジプトの未来を守るために全力を尽くすことを誓います。アクティウムの海戦で、オクタウィアヌスを打ち破りましょう。」
バスティは、クレオパトラがアントニウスと共に戦いに向かうことを知り、彼女の安全を祈るばかりだった。猫として何もできないと感じた彼は、クレオパトラが王宮を出発する前に、彼女の足元に駆け寄り、愛情と忠誠を示すように彼女の足にすり寄った。
クレオパトラはバスティに微笑みかけ、「私たちは必ず勝利を収め、無事に帰ってくるわ。待っていてね、バスティ。」と言葉をかけた。そして、アントニウスと共にエジプト軍を率いて、アクティウムの海戦に向けて出発した。