【くすぐり小説①】初めてのアルバイト先の可愛い先輩と...?
新生活
大学進学でド田舎から上京してきて1ヶ月ほどが経過した。
大学の始まり、授業はこんなもんかと思えるほどには慣れてきた。
4年生大学に進学したのだが、授業数の少なさに正直驚いている。
友達作りのために初心者歓迎と謳うテニスサークルに所属したものの、ただの飲みサーだったので初回以降は顔を出していない。
ただ、俺と同じ目的で所属した人も多かったので、大学でぼっち生活を送ることになる心配はない程度に友達はできた。
そんなわけでサークルは無所属に等しい状況で、正直授業以外の時間は暇を持て余している。
最初のテストが終わる半年後くらいからバイトを始めようかと思っていたが、予定を早めることにして、今早速ベッドに寝転がりながら求人サイトを見始めたところだ。
最寄駅付近で状況を絞っているのに、数百件もヒットするなんてド田舎じゃありえない。
それに、どこも時給が高すぎて逆に怪しく思えるほど、俺の地元と最低賃金が違いすぎてビビる。
せっかく上京してきたのだから、オシャレなカフェとかが良いかなぁ。
条件を飲食<カフェと絞り、検索結果が表示された。
そこには、俺の地元の主要駅にすらあるような全国チェーンのカフェがたくさん並んでいた。
こーゆうとこもオシャレっちゃオシャレだけど、なんかもうちょっとマイナーなカフェが良いんだよなぁ〜。
そう考えて画面をスクロールしていると、聞き馴染みのないお店が画面に現れた。
詳細ページに飛んでみると、チェーン店などではなく、そこの1店舗しかないこじんまりとしたカフェだった。
ここまでは期待通りなので、さらに続きを読み進める。
『バイト未経験歓迎。ミスしても笑い合える職場環境です』と記載があった。
バイトはしたことないし、正直大手チェーンのキチッとしたルールの中に入るのはちょっと怖いから、これはちょっと嬉しいかなぁ。
時給は大手全国チェーンと比べると50円程度安いけど、初バイトということもあり、とりあえずここに応募してみることにしよう。
まぁ不採用になっても、半年間は親が仕送りを多めに送ってくれるらしいから焦ることはない。
名前、内山浩太っと。えーと年齢、職業は...
などと、簡単のプロフィールを入力して応募が完了。
自動返信メールが届き、当日〜翌営業日までに電話をするとのことだ。
電話か、少し緊張するな。
いつもサイレントマナーにしているスマホの設定をバイブに変更し、電話に気づきやすいようにして生活を送ることにした。
昼頃に応募して、現在夕方になった。
今日はもう電話が来ることはないかなと思い、警戒モードを解いて夕飯の準備に取り掛かろうとしたその時。
机の上でブーとスマホが鳴り響く。
バイブモードにすることは滅多にないので、硬い机の上で鳴り響く音に少しビビってしまう。
急いでスマホに表示されている番号を確認すると、このエリアの市外局番からの電話番号なので、ほぼ確実に応募したカフェからだろう。
「はい、もしもし」
『○✖︎カフェ店長です。内山さんの携帯電話でお間違い無いですか?』
と明るい男性の声。
「はい!」
警戒モードは解いていたものの、予想通りの電話相手ではあったので問題なく電話は進み、明日の17:00に面接が決定し電話が終了した。
はぁ、緊張した。
けど怖い男性じゃなかったから普通に話せたな、さすがカフェの店長さんだ。
履歴書不要、服装も自由でと言われたので、これといって準備はすることはない。
明日授業が終わり次第ちょっと休んでから行けばちょうど良いだろう。
ドキドキの面接へ
時刻は16:50。
面接先のカフェの前を行ったり来たりしながら時間が過ぎるのを待っている。
遅れてはいけないと思い早めに出て店の位置を確認したところ、15分前に到着し、この通りを今3往復目に入ったところだ。
10分前に入るのは早すぎて迷惑になるだろうか...
5分前になったら行こう。
そうして4往復目に入る。
ただ付近で立っていれば良いのだろうが、そうすると時間の経過がものすごい遅く感じるのと緊張していて動いていないと落ち着かないのだ。
ティッシュ配りの人、他のお店の人に、「あれ、この人さっきも通らなかった?」と思われていそうな目線を浴びながら時間が経つのを待つ。
よし、16:54!行こう!
さっき5分前に、と決めたところ少しフライングだが、入店して挨拶することには5分前になるだろう。
何度も確認して間違いはないのだが、看板の店名と面接先の店舗名を確かめてから入り口のドアを開ける。
「いらっしゃいませ〜」
入店するとすぐレジに立つ綺麗な女性が声をかけてきた。
「あの、17:00からの面接で来たんですが...」
「あ、はい!伺ってます。こちらへどうぞ〜」
女性に案内され、『スタッフオンリー』と書かれたドアの先へ入る。
「店長、面接の方きましたよー」
「はいよぉ〜。ここにかけて待っててねぇ」
「はい。失礼します!」
店長と思わしき男性は面接の準備なのか何か書類をプリントアウトしている。
「どうぞ」
案内してくれた女性が来て水の入ったグラスを置いて店頭へと戻っていった。
「ありがとうございます!」
水を見て思い出したが、ひたすらこの辺を給水せず往復していたため喉が渇いていた。
一気飲みしたら引かれそうなので、無難に半分ほど飲み干す。
グラスを置いたところで、店長が書類を持って正面の椅子へとやってきた。
「お待たせしました。内山さんで間違い無いですよね?」
「はい!」
「じゃあまずはこれにプロフィールとシフト希望書いて〜」
「かしこまりました!」
さっき大学のパソコンで面接対策について調べた際に学んだ、言い馴染みのないフレーズを返してペンを握る。
記入が終わり店長さんに書類を渡すと、そこからはこれは面接なのか?と思うほどフランクな質問をたくさんされて受け答えをする。
その中にはシフトやなんでこの店を?などと言った質問をうまく混ぜてきたが、雑談の流れで不自然な感じはなく回答できた。
後半になって気づいたが、俺が緊張しているのを気づいて雑談をしつつ質問してくれたのだと分かった。
さすが接客のプロだ...
15分ほど会話を続けると店長が背筋を伸ばし口を開いた。
「よし、じゃあ内山くんさえ良ければ是非この店で働いてもらいたいんだけどいいかな?」
「え、あ、はい!よろしくお願いします!」
バイトの合否は数日後に電話で来ることが多いとさっき学んでいたので、もう採用宣告がなされて驚いてしまった。
そこからは、店長の口調が部下と会話するような話し方に変わり、入社にあたっての注意点や手続きを伝えられ、初日のシフトインの予定まで確定した。
「じゃあ、明後日の木曜17:00〜20:00で。まずは短めにね。よろしく!」
「はい、よろしくお願いします!」
はぁ、なんか一気に疲れが...
店を出て家まで歩き始めると、感じていなかった疲労が一気に押し寄せてきた。
合計1時間程度のお店滞在だったけど、やはり緊張していたんだろう。
まぁ、なんだか実感はないけど、とりあえず採用で良かった。
俺もおしゃれカフェでのバイトデビューか。
バイト初日
時はあっという間に流れ木曜日。バイト初日だ。
制服は黒いYシャツ貸与で、下はシンプルなズボンを自分で用意してとのこと。
昨日バイト用に買った黒のチノパンを履いて、お店に入る。
「あー、内山くんだよね。こっちね〜」
入った瞬間レジの女性に案内され、一昨日面接した事務所に入る。
お店にはもう2人女性のバイトさん?がいた。
「一昨日は受かったんだねぇ。おめでとう。教育担当の真白です。大学2年ね」
「ありがとうございます。真白さん、よろしくお願いします」
「まぁ受かるとは思ってたけど。身だしなみも挨拶もできてれば基本ウチ合格だしねぇ〜」
「あ、もしかして一昨日レジにいらっしゃった方ですか?」
「そうだよ?ふふふ。今気づいたの?」
「あ、あの時は緊張して周りが全然見えてなくて、綺麗な女性だなぁ、としか思って...あっいやっ!変な意味じゃ!」
あの時思ったことをそのまま口に出してしまった...
「あはは!分かってるよ。まぁ綺麗と思ってくれたなら嫌じゃないしね。ふふふっ!」
「おーーい、おしゃべりしてないでしっかり教えてくれよー、先輩〜〜〜」
奥から店長の声が飛んでくる。
「分かってますよぉ〜〜〜。えーと、まず出勤したらこのパソコンで出勤の打刻。次にあのカーテンの裏で着替えね」
などなど、出勤してからの流れを一通り教わり、それを持ってきた小さいメモ帳に残しておく。
カーテンを閉めて着替えを始めると、壁側にはなぜか持ち手がやけに低いところにある懸垂バーのようなものが置いてあったが、特に気にせず着替えを済ませる。
そして、店が空いているからということで、早速コーヒなどのドリンクの作り方を教わることに。
初めてのことだらけで、このおしゃれな食器を割ってしまったら...などと不安になってしまう。
「そういえば、店長から罰ゲームのことって聞いてる?」
「罰ゲーム?いや、聞いてないと思います」
「そっか...この店ね、ミスするとちょっと特殊な罰ゲームがあるんだよね。減給とかじゃないから安心してね!」
「罰ゲーム...どんななんですか?」
「それはミスしたら教えるね」
そのほうがビクビクして余計ミスしてしまいそうだけど、まぁ教えてくれないなら仕方がない。
ミスしないようにするだけだ。
慎重すぎるくらいゆっくり教わった作業を続けているおかげで、2時間くらい経った現在ノーミスだ。
「真白さん、ちょっと行ってきますーーーー」
俺と真白先輩以外にいた2人の女性スタッフが、真白先輩に声をかけて事務所の方へ消えていった。
接客組がいなくなってしまったので、お客さんが来たら真白さんが対応することになる。
さっきから全然お客さんがこないので、そんなことにもならないのかなと思っていると、タイミングを見計らったかのようにお客さんが入ってきた。
「あ、内山くん。事務所入ってすぐ左の棚にストローがあるから1袋取ってきてもらえる?」
とこそっと指示を受け、俺は言われた通り事務所へ。
「えーーと、ストローは...」
高い棚にいくつもある段ボールを漁りストローを探す。
すると、事務所奥のカーテンの裏から声が聞こえてきた。
「ふふふ。ひっ!あはは!やぁ、あああああ!」
なんだ、この笑い声と悲鳴は...
疑問に感じつつも、今の俺の脳内はストローを探すことでいっぱいだったので、あまり気にせず目的のものを見つけて店頭に戻る。
真白先輩は先ほど入ってきたお客さんへのコーヒーの提供が終わったところのようだった。
そしてストローを補充したりと研修を再開すると、さっき事務所に入っていった女子2人が戻ってきた。
1人は顔が不自然に赤く疲れている気がするけど、どうしたんだろうか...
いや、他のことを考えている余裕はない!早く仕事を覚えなくては。
その一心で教わることだけに集中して早く戦力になれるよう励んでいると、いつの間にか19:50、勤務終了10分前となっていた。
「え、もうこんな時間」
「集中してたからね。じゃあ、洗い終わった食器を定位置に戻して今日は終わりにしよっか」
「はい!」
俺は他のキャストさんが洗い終わって溜めておいた食器・グラスなどを、元あった位置を思い出しながら戻していく。
「えー、このグラスはっと...あっ!」
キョロキョロしながら場所を探していると、ちょうど後ろを通りかかったキャストさんと肩がぶつかりバランスを崩してしまった。
パリーン!!!
という音が店内に鳴り響く。
「あ...」
バランスを崩したことで、トレーにのせていたグラスが落ちて割れてしまった。
「あちゃーーー!やっちゃったねぇ〜〜!」
「わ、私がぶつかっちゃって!」
後ろを通ったキャストさんがフォローに入ってくれた。
「いえ、自分が周りを見ずに動いてたせいです。すみません...」
「いいよいいよ!良い機会だからこーゆう時の片付け方教えるね!こっちきて〜」
明るく気遣ってくれながら指導してくれるが、正直やってしまった感がハンパない。
「箒と塵取りはここね。あとガラスは燃えるゴミに出せないからこのビニール袋を持って行くこと」
「はい、かしこまりした...ほんとにすみません...」
「私もやらかしたことあるから全然大丈夫さぁ!こーゆうときは掃除方法を覚えられる!ってプラスに考えよ?あ、あと罰ゲームを受けてもらうことになるね」
「あ、はい。なんでもします...」
ポジティブにさせてくれようとしているのはすごい感じるけど、そんな風に気を遣わせていることにも申し訳なく思えていくる。
「あはは、とりあえず散らばったの集めて退勤。その後償いとして罰ゲーム受けて罪は流して帰ろうね」
乾いたような、少し呆れて笑った真白先輩と落ちた破片を片し、気づけば退勤の時間まであと1分程度となっていた。
「今入ったフードの注文終わったら行くから、ちょっと待っててね〜」
真白先輩はオーダーを受け付ける機会から出てきた紙で注文内容を確認し、フードを作り始めた。
どうやらパンの注文のようで、パンを焼いてから間に色々挟み込む商品のようだ。
もう俺の退勤時間間近だからか、急いで作業をする先輩。
30秒ほどでパンは焼き上がり、ホカホカのパンをトングでお皿に移した、その時だった。
勢い余ってパンが転がってお皿、テーブル、床へと転がり落ちる。
「あっ!うわぁ〜、久々にやっちゃったぁ〜〜...作り直しっと」
俺の退勤時間だから焦っていたんだろう、おそらく普段はしないであろうミスをしてしまった真白先輩。
次はテキパキと商品を作りあげ、お客さんに提供は終了して俺の元へとやってきた。
「はぁ〜〜、私もやっちゃったぁ〜〜...頼りないとこ見せちゃったね...」
「いえ、俺の退勤時間だから急いでくれてたんですよね」
「それとこれは別問題だよ。はぁ、罰ゲーム苦手だしミスしないように仕事してたからここ数ヶ月はノーミスだったんだけどなぁ。ま、仕方ない。退勤の流れ教えるね」
テンションの下がった真白先輩から退勤の打刻の方法など、その他タスクを教わる。
「じゃあ最後。罰ゲームね。お互いに1回ずつ」
「あ、はい。それで、罰ゲームって何をしたら...」
さっき真白先輩が苦手だと言っていたので、すごい不安になってきた。
「はぁ...うぅ...それはね、こちょこちょ、されるの」
「へ...?」
「だからこちょこちょ!!はい、こっち来て」
手を引っ張られ、2人で更衣室に入りカーテンを閉められる。
罰ゲームの内容は聞き取れたんだけど、理解が及ばない。
「あの、こちょこちょって言いました?」
「うん。ミス1回につき15秒こちょこちょの刑ってのがウチのルールなの。ほら、そこにバーがあるでしょ?そこ握ってて」
「え、自分、今からこちょこちょされるんですか!?」
3回目も同じワードを聞いてやっと頭が追いついてきたが、理解した同時に、今から真白先輩にこちょこちょされることを考えたら恥ずかしすぎて動揺が止まらない。
え、こんな可愛い人にこちょこちょされるなんて、恥ずかしすぎる!!!
「そう、こちょこちょされるし、することになるの!!私はまだこの後も働くから早く終わらせるよ!」
「え、あ、はい!」
勢いの強くなった真白先輩に従い、ここは受け入れるしかない。
そういえば、俺がさっきストローを取りに事務所に入った時、更衣室から笑い声が聞こえてきたのはそういうことだったのか...
「じゃあ上にバー掴んでて。あ、このお店女の子しかいないからバー低いね...まぁいっか」
「え、女の子しかいないんですか?」
ひょんなところから知らぬ情報を知ってしまった。
「うん。社員が店長含め2人男性だけど、その他は全員女の子だよ。聞いてなかった?あ、いや、こんなことしてる暇じゃない!始めるよ!」
「はい!!」
バーにはなぜかマジックテープが2つ吊るしてあるが、これは何なんだろうか...
考える暇はなく、勢いに押されて頭のすぐ上にある懸垂バーを両手で掴む。
「よし、じゃあ15秒ね。はじめ!」
更衣室の壁にタイマーが磁石で貼ってあり、STARTボタンを先輩が押して俺に手を伸ばしてきた。
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