冬、久しぶりの登校。
久しぶりの登校だ。体調不良に精神的な不調と、私事で休み続けただけあって、流石に留年にはなってしまっているだろうが、そんなことは関係ない。きっと今動かなければ、何もできなくなってしまう。そんな危機感と焦燥感からの登校だ。
12月も3週目の週末となると、なかなかの冷え込みだ。肉の少ない私にとっては、嫌だという感想の他に無いだろうと思われるこの季節だが、寒いおかげで、風景の見え方がまた変わってくるので、案外苦情ばかりではない。乾燥している分、空気が透き通って見え、太陽光が跳ね返る日向のそこらは、夏と比べると、とても眩しい。いつからそうだったかは忘れたが、私は、冬の風景が好きなのだ。
ふと、高校時代、通学中などに見かけた、下の学年にいた白手袋の少女を思い出した。新型コロナウイルス感染症による休校期間があけ、それからしばらくして、全体登校が実現したときに初めて目にした。その姿のまとまりの良さと言ったらなかった。艦これの不知火みたいな、そんな感じだった。制服に白手袋のかっこよさは、なかなかだった。
3段落目だけを見ると、変態男子高校生だった過去を回顧するヤバさを未だ孕んだヤツの書いた過去譚に見えなくもないが、言うまでもないが、決してそんな意図があったわけではなく、お洒落ファッション知識的な感覚で覚えていたのだ。なぜ今ふと思い出したのだろうか。なにか関わりがあったわけでもないのに。
そうだ。手袋だ。私は今、手袋がほしいのだ。寒い。手先が冷えて仕方がないのだ。今年の頭にでもつけていたあの手袋はどこへ行ったしまっただろうか。実家に戻ってきたときに、何かと一緒に処分してしまっただろうか。いっぺん探してみねば。なんせ今は冬だ。温かいことに越したことはない。言ってることが違う?そんなことはないだろう。寒さは寒さで苦手なのだ。
この寒い中登校するのには、ちょっとばかり勇気が要った。何を隠そう(隠してないが)、今もまだ体調が良い訳ではないのだ。喉がまだ、少しばかり痛む。それでも、何もしないよりはきっとマシだ。後期が始まって、まともに登校できたのはたったのひと月程だ。しかも、今週は頭からずっと休んでいた。無気力を携えていることもあり、このままでは流石にまずい。改善する気が起きただけ奇跡かもしれない。活動的な側面を持ち合わせているものの、私の根っこにある無気力は、ガキの頃から何一つとして進歩を見せなかったどころか、最近はひどくなっていた。こうした、動けるチャンスは絶対に見逃してはならない。火種に対して好意的に反応を示せているのは救いだ。無気力が無気力だけで存在するようになるまでは、案外時間が掛かるらしい。よかった。
そろそろ何か作らなければならない。私を私たらしめる何かを残さねば、また腐り始めてしまう気がする。そんなことも思って、思い始めて、少し思い詰めて、そんな私を乗せて、電車が走る。