サンタさんは本当にいるんだ!!~不思議だったクリスマス~
我が家は貧乏でしたので、他の家庭よりファミコンを買ってもらう時期が遅れました。
ファミコンが流行りだして、欲しいと母に頼んだ結果、1人100円くらいしかもらえていないお小遣いを貯めて、姉妹3人で買うように、と指示されました。
もちろんその100円から文具代なども出さないといけなかったので、当然ファミコン代は全く貯まりませんでした。
2、3年近く3人で出し合って貯金していたと思います。
全く金額には届かず・・・
とうとう父が我慢できなくなり(自分もプレイしたかったらしく)購入してきました。
ところが、本体と一緒に購入してきたソフトは2つ。
そのたった2つのゲームを大切に、そして奪い合いながらファミコンをしていました。
クリスマス前に欲しい物を書くなどという習慣はありませんでした。
なぜなら、親にそれを買うお金がなかったので、親から「サンタさんは勝手にプレゼントを持ってくるんだよ」と言われていたからです。
サンタさんのプレゼントは、いつもブーツのお菓子とかそういったものでした。
いつも寝ている間にそっと枕元に置かれていたのです。
ところがある年のクリスマス。
クリスマスだけど、珍しく家族全員揃って(父はいつも仕事に行っていていないか、彼女のところにいて帰ってこないとか、飲みに行っちゃってるとかでした)鍋を食べていたんです。
家族全員そろっていました。
何の物音もしませんでした。
団地でしたので、リビングにしている部屋から自分たちの部屋まで、ダイニングしか挟んでいないのですが、食べ終わった頃父がおもむろに
『ちょっと部屋に行ってきてごらん』
と言いました。
鍋のあとにケーキを食べる予定があったので、席から離れるつもりはなかったのですが、父の言う通りに部屋に戻ると。
そこには、夜枕元に置く予定の大きな父の靴下にプレゼントが入っていました。
なんと、念願のファミコンソフトが2つ。
妹も、姉も、例年より少し豪華なプレゼントが入っていました。
驚き喜んでそれを父に見せに行くと、父は『よかったね、あとでお父さんと一緒にゲームをしよう』と言いました。
人が入ってきた気配はなかったし、ご飯の直前まで私達は部屋にいたし、父はずっと座っていたし、母は調理をしていました。
『サンタさんは本当にいるんだ!!』
私はその後、サンタさんに手紙を書くためローマ字の練習に励みます(英語だと思っていなかった)。
そしてそのまま中学生になり、サンタクロース村に何回も英語でお礼のメッセージを送ったのです。
あのとき、何が起きたのか。
誰がプレゼントを置いたのか。
今でもわからないままだし、母も父もその年のことを覚えていないと言います。
あのとき、煙突はないけれど、我が家には本当にサンタクロースが来たのかもしれません。
未だに謎は解けないままです。