「やったあ!」
「やったあ!」
今日かえされたテスト、100点だった。
生まれて初めての100点。
これはのび太じゃなくても嬉しい。
何度見返しても100点だけど、私はまだ信じられない。
ママとパパに早く知らせようと駆け足で家に帰った。
「ただいま!」
「しーっ。今ミーティング中だから」
ちぇっ。つまんないの。
パパはコロナになってから、ずっと家にいる。
ママは仕事中であとどれぐらいで帰ってくるかわかんないし、
せっかくの100点なのに自慢しようがない。
このテスト、ちゃんと見てくれるかな。
私は不安を抱きながら、もう一度テストを見直そうと自分の部屋に上がる。
おやつに煎餅が用意されていたので、落とさないように気をつけて食べる。
『高松あやね』という名前もバッチリ。
「あやねん、遊ぼうよ!」
友達のみゆなが外から私を呼んだ。
私二階の窓から身を乗り出してOKのサインを出して見せた。
大声を出してパパを怒らせないようにしないと。
怒ったパパはすごく怖いんだ。
二人で公園に向かう途中、私はできるだけさりげなく尋ねた。
「今日かえってきたテスト、何点だった?」
「100点だったけど」
「そ、そう……すごいね!」
成績のいいみゆなに自慢しようとした私がバカだった。
「あやねんはどうだった?」
「100点」
はじめての、とは言えなかった。
「よかったじゃん。ほら、遊ぼ!」
う、うん。
私は頷くと黙りこくってしまった。
時間は早々と過ぎていって、私とみゆなは手を振って家に帰った。
「はあ。100点のテストなんて誰も注目してくれっこないよね」
捨てよっかな。特に持ってても意味ないし。
私がそう思って家に入った途端。
「あやね!」
げげっ!お母さんだ。もう帰ってたんだ。
「今日のテストどうだったの💢」
かんかんだ……てか、なんでテストのことを……
「帰りにスーパーに寄ったらみゆなちゃんのお母さんに会ったのよ!
どうせ、また中途半端な点数でポケットに入れてるんでしょ。見せなさい」
私はテストをつきだした。
これまでのテストはずっと机の引き出しに隠していた。
「100点……」
「うん。まあね」自信なさげに私は言う。どうせ大したことじゃない。
「すごいじゃないの!額縁に入れて飾っておきましょう」
「えええっ⁉️お母さん、いくらなんでも大袈裟すぎだよ!」
そう言いながらも私は嬉しかった。お母さんに褒められた。
しばらく、引き出しの76点のテスト・5枚の事は秘密のままで。
あとがき
テストで100点を取った時は誰だって嬉しいと思います。
日記のネタ帳で「やったあ!」から始まる物語というのがあり、
一番最初に浮かんだのはテストで100点を取った時でした。
雨虹発動近々。
今は連続投稿を頑張っていますが、結構大変です。
記事を溜めておいてよかった。
それでは、おつ玉!