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まだない名前

〜プロローグ 世界のはしで〜


昔、トーマス・エジソンという非意図がある大発見をした頃、
世界のはしでは、ある出来事後あった。
それはね・・・


〜第一章 まだない名前〜


「ホギャア、ホギャア」
「どうしちゃったの」
木で作られた古屋からは何やらやかましい声が聞こえている。
おいらは、「郵便ですよ」と知らせるために各家についている鐘を鳴らした。
 チャリンチャリン
 バタッ
ドアが開いてお上さんが出てくる。
手に_赤ん坊を抱いていた。
「生まれたんですか⁉︎」
「やぁね。違うわよ。親戚に預かってくれって言われちまってねぇ」
人柄の良いおかみさんのことだから、断れなかったのだろう。
「あ、そうだ。郵便どうぞ」
おいらはおかみさんに当てられた手紙を取り出す。
「あぁ、ありがとう。どれどれ・・・」
おかみさんはしばらくすると、震え出した。
手紙をのぞいてみると、
『ハイ!メアリーのおかみさん。元気⁉︎赤ん坊の名前なんだけどね、できれば、そっちの町一番の名付け上手の方につけてもらいたいの。お願いね!』
ちなみに、メアリーのおかみさんというあだ名は
おかみさんが『喫茶メアリー』を開いているからだ。
なぜパブではないか不思議だ。
「ねえ、郵便屋。頼んでもいいかい?」
「いいっすよ。このあと回りますし」
おいらは地図を指でなぞった。
一つの名前の前で指が止まる。
この町一番の名付け人といえば、誰もがこう答える。
『付け仙人』


〜第二章 付け仙人〜


「ありがとうねぇ。あの仙人様、おっかないからねぇ」
おかみさんが震えるのもよくわかる。
付け仙人は名前の通り漬物が好物で、名前をつけたら日本一。
と、いいとこばかりに思えるのだが実際は頑固でケチ。
たくあん一箱と引き換えにしか名前をつけてくれないんだ。
ここみてぇな田舎じゃろくにつけもんもねぇし、
里市場に行かなきゃなんねぇ。どうするもんかね。
別に、仙人ではないんだ。
ただ、ものすごい山奥に住んでるし、ガチで妖術を使うとかなんとか。
変な噂が流れるもんで、いつの間にか仙人って呼ばれるようになった。
影では『噂仙人』と呼ばれているそうな。
「お、おかみさん、つけもんってありますか?」
「あるともよ。うちにゃ、極秘があるのさ。今すぐ付けてもらわないとね。
もちろん、あの子にもお金をたーっぷり払ってもらわないとだしねぇ」
おかみさんは家の方へと歩き出す。
その背中がちょっと不気味に覚えておいらは寒気を感じた。
「ついておいで!」
それはもういつものおかみさんで、おいらはついていくことにした。


〜第三章 がめの中〜


あんなに小さい小屋に地下倉庫なんて想像できるか?
少なくともおいらは無理だったね。
でも、おかみさんの喫茶の下には馬鹿でかい地下倉庫があった。
この家は結構裕福と風の噂で聞いたことがあるが本当だったとは・・・
さすが、金持ちは違うぜ。
 ポッ
明かりがついて、おいらはその景色に息を呑む。
床一面にがめが置いてあった。

「えーっと、左から・・・」
「あの〜〜〜」
「あった!これだよ。別にね、全部がたくあんってわけじゃないからさ」
おかみさんはおいらを無視して一際大きいがめを差し出してきた。
受け取った両手がブルブルと震える。
「ほら、見な。極上の金たくあんだよ」
「うわぁ」
蓋を取られたがめの中はぜーんぶたくあんでギッシリつまっとったからね。
「ほい」
「はい⁈」
「はい」
「ええっ⁉︎」
「だから、配達頼んだよ」
「こ、これをあの頼りな〜い自転車に乗せて運べと?仙人様のところへ?」
「それ以外なにがあるんだい。バカだねぇ」
おかみさんが眉を寄せた。
「しゃあないね、報酬ならたんまり払ってあげるさ」
「ううっ」
どこまでも金に弱いおいらであった。
仕方なく引き受けたのである。


〜第四章 ぼうやの名前を配達です〜


おいらは仙人様の家まで自転車をこいだ。
着いた時にはもう汗だくで、動けないかと思ったほどだ。
仙人様が住んどるのは洞窟というか、洞穴だ。
でっぱりがあってインターホン代わりと聞いたことがある。
早速それを見つけて押してみる。
 チャリ、チャリ
「なんか用かい‼︎‼︎」
と、耳が破れそうな怒鳴り声が聞こえて、おいらも怒鳴り返した。
「名前を付けてとのご依頼配達しに来ました!」
すると、なぜか孫悟空が乗るような雲が出てきた。
雲の上に、「紙を貸せ」と文字が浮かびあがる。
これじゃあ、まるでミヒャエルエンデの『モモ』のパクリじゃないか。
全くもってカシオペイアではないか。
と思いつつ、おいらは予備の伝票を取り出す。
雲の上にそれを置くと、伝票は消えてしまった。
いくら待っても無駄だろう、とお思って帰ることにする。
あの仙人はノロマなのだ。
その後、どうなったのかは知らないけどよ。


〜エピローグ 名前はモウアル〜


一週間後、おいらに当てて手紙が届いた。
『ありがとう』というそっけない言葉に、赤ん坊の写真だ。
名札がついていて、
『モゥアル』という名前になったそうだ。
そしてなぜか、『仙』と印が押されたたくあんも届いた。
これが報酬なのか、と愕然して、
おいらはたくあんの箱を机から落としてしまった。


あとがき


どうでしたか?
これまた、過去の日記シリーズになります。
ちなみに、過去シリーズは全て私の師匠のAAA+以上を獲得したものです。
今回の作品はSのものです。
私としてもかなり自信作(ふん!)
連続投稿きつい、しんどい。
けど、頑張ります!
ここまで読んだらフォロー、スキ、お願いしま〜す!
今頑張ってフォロワー100人目指しております。
ただいま95人なんです!
三日間で5人増えました(奇跡)(涙)
ちょっと、色々雑談挟んだんですが、
それでは、おつかさでした!





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